2024年の4月からどう変わる?建設業界のトピックである2024年問題について解説します

2024年12月22日 更新

建設業界で「2024年問題」というワードが最近話題となっていることをご存知でしょうか?

建設業における2024年問題とは、2024年の4月から労働時間に関する法律が変わるため、建設業界の各企業は2024年4月に向けて、新しい仕組みづくりやルール作りを急いでいます。

今回は2024年問題について、法律がどう変わり、建設業界における働き方にどのような影響を与えるのかを踏まえ、さらに就活の観点での影響についてご紹介していきます。

2024年以降に建設業界で働く方にとっても、関わりが深いトピックになりますので、業界研究や今後就活を行ううえでの参考にしてみてください。

2024年問題とは?

まず初めに今回のテーマである「2024年問題」についてご紹介します。

2024年問題を一言で説明すると、2024年から建設業界における残業の取り締まりが強化されることです。

一見上の説明を見ると、残業の取り締まりが強化されるのは良いことのように思えますが、なぜ建設業界では問題になっているのでしょうか?

こちらを理解するためには36協定と働き方改革といった法律や、建設業界の特徴を把握できるとより理解が深まるため、順番に解説していきます。

36協定と働き方改革

2024年4月から始まる建設業界での残業規制は、36(サブロク)協定を理解する必要があります。

36協定とは、労働者に法定労働時間を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合に、労働者と結ぶ取り決めのことです。

労働基準法第36条に定められた労使協定であることから、通称「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

学生の方でも就活を行う際に、残業時間を気にする人は多いと思いますが、

労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされており、これを「法定労働時間」といいます。

ではなぜ日本の企業では法定労働時間を超えて残業をすることが可能なのでしょうか?

法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、
・労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結
・所轄労働基準監督署長への届出
が必要で、この2つを満たせば残業をさせることが可能になります。

従来、36協定で定める時間外労働は上限の基準が定められていましたが、特別条項付きの36協定を締結すれば、それを超える時間まで時間外労働を⾏わせることが可能でした。

そのため、「特別条項付きの36協定を締結すれば、実質的には時間の上限なく残業ができてしまう」状態でこれが日本で問題となっていました。

こうした背景から「働き方改革関連法(改正労働基準法第36条)」が施行され、大企業では2019年、中小企業では2020年から、時間外労働の上限は原則として⽉45時間・年360時間となり、法律上、特別な事情がなければこれを超えることはできなくなったのです。

つまり、国家として労働時間の改善に取り組み、2019年以降、法律の範囲を超えた残業を行うと企業が罰せられる法律が施行されるようになりました。

建設業界は2024年の4月から適用

2019年4月の法改正に伴い、労働時間の上限が規制されるようになりました。

しかし、さまざまな理由から一部の業種では労働時間の上限規制の猶予期間が与えられており、建設業は労働時間の上限規制まで5年の猶予期間が設けられています。

そのため、建設業界では2024年の4月から、時間外労働の上限規制が適用されます。

働き方改革関連法が施行されたときは、建設業界は5年の猶予が設けられていましたが、2024年の4月の期限が近づいてくる中で、建設業界の各企業は労働時間の改善に真剣に取り組まないといけなくなっており、現在建設業界のトピックの1つとなっているのです。

問題となっている理由

ここまで、2024年問題の背景についてお伝えしましたが、建設業界は他の業界と比べて5年の猶予があったにもかかわらず、なぜ今問題になっているのでしょうか?

続いては、2024年問題が建設業界の問題となっている理由をご紹介します。

結論としては、5年の猶予期間があったからとしても、2024年から残業を減らした体制を整えることが難しいため、期限が迫っている現在建設業界の中で問題となっているのです。

では、なぜ建設業界は労働時間を改善するのが難しいのでしょうか?
それは建設業界の特徴が関係しています。

長時間労働の常態化

まず1つ目として、建設業界は他の業界と比較して労働時間が長いという特徴があります。

建設業では、現場と内業の両方をやらないといけないため、元々の仕事量が多いことや、次に紹介する人手不足、そして工期を厳守するために、繁忙期には残業や休日出勤を行い、納期に間に合わせるということが残業の多い理由となっています。

労働基準法改正による残業の上限規制が建設業には5年の猶予が与えられていたのも、建設業界は長時間労働の傾向が強く、他の業界よりも労働時間の改善に時間がかかると予想されていたためです。

このように5年の猶予期間で、業界の労働時間を改善するのは難しくなっています。

人手不足の深刻化

理由の2つ目は慢性的な人手不足です。

残業を減らすための対策として挙げられるのが人手を増やし、1人の作業量を減らすという方法ですが、建設業界は人手不足が深刻化しており、労働力を増やすことは簡単ではありません。

また、人手不足の影響により、1人当たりの業務量も増え、残業をしてでも業務をこなさなければならないという状況になっています。

建設業界の人手不足は長年にわたる業界の課題であるため、労働時間を改善するためにはこちらの問題も解決しなければなりません。

建設業界における企業の取り組み

ここで2024年問題の背景や、問題となっている理由についてお伝えしました。

建設業界で、残業時間を減らし、労働時間を改善することが難しいということは理解いただけたと思いますが、実際に2024年から法律が適用されるので、2024年の4月以降は上限を超えた残業を行っている場合は企業が罰せられてしまいしまいます。

このような制約の中で、企業が利益を出し続けるためには生産性の向上が必要不可欠となりますが、建設企業はどのような取り組みを行なっているのでしょうか。

ここでは生産性向上のための取り組みをいくつかご紹介します。

ロボットやAI技術の開発・実装

人手が限られるなかで時間的な制約をクリアするためには、人手以外のリソースを活用するほかありません。資本力のあるスーパー・準スーパーゼネコンを中心として、以前から技術開発や実装に向けた実験的な取組みはありましたが、ロボットやAI技術の向上にさらに注目が集まってきています。

具体的には、タワークレーンの遠隔操作、建設素材の自動運搬ロボット、自動溶接ロボット等、元々職人が行なっていた施工をロボットが代替できるようになってきています。

アプリやタブレットの導入

2つ目はアプリやタブレットなどを導入することによる作業の効率化です。

BIMやeYACHO(施工手順書や施工写真を共有するアプリ)などタブレット媒体を通じて業務を行うことにより、作業効率を上げることができます。

その一方で、残業を家に持ち帰りやることになるなどの問題もあるため、こちらについては今後改善の余地はあります。

その他にもノー残業デーの導入や、「極力残業はしないように」と口頭で伝えられることがあるなど、他の業界でも行われているような労働時間を改善する取り組みは行われているようです。

そのほかにも人事評価制度としても生産性や効率性の指標を重要視することで、社員の働く意識の改革に勤めている企業もあるようです。

こうした技術や会社制度などさまざまな観点で改革を行うことで、多層化した業界全体として、2024年問題を乗り越えるべく動いているのが実態となっています。

2024年問題は就活にどう影響する

最後に2024年問題が就活にどう影響するかについてご紹介します。

2024年問題は入社した後の、労働時間の問題のため就活の段階では、あまり関係がないように思えるかもしれませんが、学生の方にとってこの問題はどのような影響があるのか、今回は2つの観点から説明します。

建設業界の悪いイメージの一つである労働環境が改善されていく

1つ目は残業時間が法律によって規制されることによって、建設業界の悪いイメージの一つである労働環境が改善されていくことが期待できる点です。

学生の方でも建設業界のイメージとして、土日も出勤しているイメージや、残業時間が多いというイメージを持っている方も多いと思います。

しかし、2024年の4月以降は他の業界と同じような残業についての法律が適用されるため、法律で規制されている範囲を超えた残業はなくなる想定のため、この点を心配することなく就活を行えるのは学生の方にとってもプラスになると考えられます。

労働時間を減らしながら、成長を続けることができるかを見極めよう

各企業の取り組みでもご紹介したように、今後は建設業界全体で残業時間を減らす、労働時間改善の取り組みが進んでいくと考えられます。

しかし、企業が存続し続けるためには、成長し続けることも重要で、これは企業の将来性とも関係があります。

今後一人当たりの労働時間が減っていくと想定されるため、企業が存続し、成長を続けるためには、テクノロジーの導入や自動化など、より効率的な方法を見つけ出すことが重要です。

そのため、就活で企業をみる際は、残業時間に注目するだけでなく、効率化に向けた取り組みやイノベーションがどのように行われているかといった視点で企業研究を進めてみましょう。

まとめ

今回は、建設業界で話題に上がることが多い2024年問題についてご紹介しました。

労働時間の改善は企業側の課題ですが、残業を減らすためには、実際に働いている社員一人一人が意識し、考えることも求められます。

そのため、学生の段階からこのような問題を理解し、社会人になったときにどのようなことができるかを考えておくと、より進んだ視点で就活を進めることができます。

最後の章でもお伝えしたように、建設業界の問題や課題は、就活で企業を調べる際にどのような点に注目すればいいかや、どのような観点で企業を調べるかの参考になります。

就活の軸で、企業の将来性を重要視している学生の方も多いはずです。

建設業界で起きていることやトピックの背景まで調べ、そこからどのように就活に活かせるかを考えてみましょう。

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