建築土木学生に人気の「施工管理職」の仕事内容とは?

2025年4月10日 更新

「自分が関わった建物が、誰かの未来を支える。」
そんな誇りを持てる仕事が、施工管理職です。

施工管理は、設計図に込められた想いを、現場で確実にカタチにする建築プロジェクトの司令塔。
品質、コスト、工程、安全、環境のすべてを管理し、完成まで導く重要な役割を担います。
ものづくりの現場に立つ覚悟。
それは、設計だけでは味わえない、本物のやりがいを教えてくれます。

この記事では、施工管理職のリアルな仕事内容と、多くの学生がこの道を選ぶ理由を紹介します。
あなたの可能性を広げる一歩になるかもしれません。

施工管理とは?

施工管理職とは、簡単にいうと建設現場の現場監督です。建設現場で起こるすべての工程を管理し、適正な方法・部材・工期で図面通りに建設行為が進んでいるかをチェックする仕事です。

施工管理職の魅力

施工管理職は、残業が多くて大変。そんなイメージを持っている方も多いと思います。しかし、施工管理は「指揮者」のように自身の建築の知識を用いながら建設現場を取りまとめ、「建物」や「インフラ」をつくることができる唯一無二の仕事でもあります。

「QCDSE」とは?

施工管理において、重要なポイントとして、「QCDSE」という言葉があります。
これは、Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(工程、工期)、Safety(安全)、Environment(環境)の5つの言葉の頭文字をとったものです。

施工管理の目的は、担当するプロジェクトにおいて、上記の5項目が最大限に高めながら建設行為を進めていくことです。

具体的な仕事内容

では、具体的に、施工管理職の業務内容はどのようなものがあるのでしょうか。
業務内容は大きく分けて「施工計画の作成」「現場の職人との打ち合わせ」「QCDSEのチェック」「施主及び設計者との意見調整」「職人が働きやすい環境整備」があります。

各項目についてご紹介致していきます。

施工計画の作成

施工計画とは、設計図をもとに、施工方法及び工期を想定し、人員配置を決め、どのように工事を進めるかを計画するものです。

現場の職人との打ち合わせ

以上の施工計画をもとに、現場の職人との打ち合わせを定期的に行い、進行状況が計画通りなのか、問題はないかなどの確認を行います。

QCDSEのチェック

施工管理において、重要な言葉として、「QCDSE」という言葉があります。これは、Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(工程、工期)、Safety(安全)、Environment(環境)の5つの言葉の頭文字をとったものです。施工管理の目的は、担当するプロジェクトにおいて、上記の5項目を最大限に高めながら建設行為を進めていくことです

QCDSEは、それぞれが独立しているわけではなく、工期が伸びるとコストがかかるが、後期を短くすると品質や安全性が落ちる可能性があります。その中で、状況を素早く把握し、何を優先するべきかを考えることも、施工管理職の仕事になります。

Quality(品質)

品質管理には建材の製品検査、材料の受入検査、品質書類の作成、図面との整合性確認などがあります。

・建材の製品検査では施工する前に設計者や施主と打合せで決めたものを確認します。
例えば、外装に使用するカーテンウォール(ガラス材)を工場に出向き品質を確認します。

・材料の受入検査は、現場に搬入された鉄骨のボルトやコンクリートの品質を見た目や試験で確かめる行為を指します。また、試験や検査したものは品質を担保している証拠として写真をとり書類として記録し保管します。

・図面との整合性確認は主に担当者が現場巡回を行い、図面通り施工されているか確認します。
例えば、鉄筋が図面で指示された材料で配筋されているかチェックします。

Cost(原価)

原価管理には機械・資材の管理、適切な歩掛り、建材の数量拾い出し、建材選定などがあります。

・前提として現場では機械や道具はほとんどがリース品が多いです。そのため機械や道具をリースする適切な期間を定め、必要な量を見越して資材を発注する必要があります。

・歩掛りとは、施工作業にかかる単位数量や手間、作業日数を指します。施工箇所に対し適切に歩掛りをとり、職人の人数を決定することで適切な価格で業者に発注をかけます。

・建材の数量拾い出しとは例えば、1部屋のスラブに必要なコンクリートの量を求めることです。スラブの厚さ・段差・面積などを考慮してコンクリートを余らせないように発注します。

・建材選定は施主の要望と予算以内で実現するためにどう施工し再現するのかを考え建材を選定します。近年ではVE提案という施工者が必要な機能を低コストで実現し、価値を向上させる手法があります。

例えば高価な鉄の内装材の代替として木の表面を同じ材質に見えるように加工することでコストを抑え施主の予算内で要望を実現します。これには施工者の経験・柔軟な発想が必要であり、施工管理者にしかできない役割であると言えます。

Delivery(工程)

工程管理には竣工に向けた工程表の作成、連絡調整、現場内の事務所・資材・機械等の配置計画などがあります。

・施工者は施主との打合せで決定した竣工日に向けて工程表を作成します。工程表にはマスター工程表・月間工程表・週間工程表などの種類があります。

・連絡調整は工期を厳守し、工程表通りに工事を進めるため業者との朝礼及び昼礼を行い作業の進捗・調整を行います。

・工程表通りに工事を進めるポイントとして大切なのが、一番生産性が高い配置計画をすることです。
例えば、資材を作業に必要な箇所に移動するためにクレーンが必要です。クレーンを何台どの場所に配置することが各業者が効率良く作業ができるかを検討することが施工者の重要な役割です。

Safety(安全)

安全管理には安全衛生計画の立案・実施、安全パトロールの実施、作業員への安全教育、事故防止対策の実施などがあります。

・安全衛生計画とは工事を安全に進めるための計画書であり、事故を防ぐために具体的な方法が書かれたものを指します。無事故・無災害で工事を終えるために危険を予測し、予め対策を明確にしておく必要があります。

・安全パトロールは現場の施工管理者の日々の巡回はもちろんのこと、現場以外の関連業者や会社関係者と共に現場をパトロールすることがあります。第三者の眼を持って現場の安全性を判断、指摘することで安全を確かなものにしていきます。

・安全教育とは、例えば作業員がしっかりと安全帯をかけているか、危険な作業をしないように指導し、安全に対する理解を深めます。

Environment(環境)

環境管理には朝礼看板の設置、周辺環境への配慮(夜間照明、騒音対策等)などがあります。

・朝礼看板の設置により作業員がいつでも現場の状況や通路を確認できる環境をつくります。多くの人が出入りする現場では1人1人が全てを把握することは不可能です。なので、現場の状況や通路を常に可視化することで安全性の確保や生産性向上に繋がります。

・環境の面では現場外の人への配慮が絶対です。現場前を通る歩行者の安全確保するために朝顔(物の落下防止用の仮説物)の設置や照明を近隣に向けないための配置計画などが必要になります。

施主及び設計者との意見調整

施工を進める中で、どうしても設計図通りに再現することが難しい場合があります。
この時、施工管理の立場から現実的な対策案を提示し、設計側との意見の調整をします。調整により、設計図が修正されることもあります。
こうして修正された図面を工事に落とし込む際に、品質を確保し工期を守ることも重要な仕事です。

資格について

施工管理職として働く上で、どのような資格が求められるのでしょうか。
ここでは代表的な資格である「建築施工管理技士」について解説していきます。

建築施工管理技士(1級、2級)

建築施工管理技士とは、様々な用途の建物を建てる際に、現場の施工管理を行う技術者の資格であり、各工事現場に必要な「専任の技術者」です。

施工管理技士にも、1級、2級とあり、それらの違いは資格用件と建設工事の規模です。
1級は、「監理技術者」2級は「主任技術者」の資格要件となります。
工事の規模については、下請け業者に請け負う金額が4000万以上の現場なら1級が、それ以下なら2級以上の資格所有者が必要になります。

ある程度の規模以上の現場所長になるためには、1級建築施工管理技士が必須になることもあるので、キャリアアップを目指したい方には重要な資格になります。

その他

そのほかにも、土木施工管理技士、電気工事施工管理技士、など様々な専門的な資格があるため、自分が関わりたい工事の種類によって、取る資格を選定する必要があります。

施工管理職が必要な業界

施工管理職を設けている業界は、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなどの建設行為を行う業界が挙げられます。
しかし、業界ごとに建物の規模や用途、土木であれば構造物の規模や種類などが異なるため、自分が携わりたい事業領域を明確にしておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
施工管理職は、普段短かな存在ではないため、資格や給料、働き方の実態など、具体的なイメージがわかない職種だと思います。その分、就職活動では、自ら積極的に情報を得て、入社後のギャップがないようにしましょう!

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