理想的な住宅を提供する「ハウスメーカー」ってどんな業界?
建築学生だけではなく、多くの学生から人気のハウスメーカーですが、仕事内容や業界はどのような特徴があるのでしょうか。住宅を提供している業界ではありますが、近い業態の企業もあり、明確に区別して認識することが難しい業界でもあります。
そこで今回は、ハウスメーカーの概要や、仕事内容、職種、関連する資格などに加え、業界全体の特徴や今後の展望についてもご紹介します。
この記事の目次
ハウスメーカーとは?
ハウスメーカーとは、全国規模または広範囲のエリアで、住宅の設計や施工を行う会社です。特に、大手のハウスメーカーは、自社工場で建材の生産ラインを持っていることも多く、建築部材生産から設計、施工までの安定的な工程で住宅を提供しています。
基本的には、注文住宅を提供していますが、企業によって得意とする建材や工法などが異なります。
パワービルダーと工務店の違い
ハウスメーカーについてご紹介しましたが、ハウスメーカーと同様に住宅を取り扱う業態である、パワービルダーや工務店との違いについても解説いたします。
パワービルダー
パワービルダーとは、建売住宅を専業としており、土地を仕入れ、住宅を建てた後にそれを販売する業態の企業です。1~3都道府県程度のエリアを対象としてる場合が多く、ハウスメーカーと比べて、クライアントがいない段階で住宅を建てるため、打ち合わせ等の期間が少ない分、短い期間で住宅を建てることができることも特徴です。
工務店
工務店とは地域密着型の大工及び職人の集団であり、クライントの要望を着実に住宅に反映させるため、1棟1棟オーダーメイドの住宅の設計及び施工を手掛ける企業です。地域密着だからこそ、このオーダーメイドの住宅を提供できるため、今後も対象エリアの大幅な拡大は見込まれないでしょう。
以上の住宅領域の3つの業界の特徴を示しましたが、対象とするエリアの広さで比較すると、ハウスメーカー、パワービルダー、工務店の順番になります。実際、ハウスメーカー業界は、広いエリアを対象とするため、組織規模が大きい企業が多いです。また、材料の生産から設計、施工までを一貫した工程によって安定的に住宅を提供できることも、ハウスメーカーの強みと言えます。
ハウスメーカーの仕事内容
ハウスメーカーには、設計職、施工管理職、営業職の主に3つの職種があります。それぞれについて、仕事の内容についてご紹介します。
設計職
まずは住宅の設計を手掛ける設計職です。
ハウスメーカーの設計職では、建築の法規的なルールに適合しているかを確認しながら、お客さんの要望を具体的に図面に起こす作業が主な業務となります。
一方で、ハウスメーカーは企業によって、得意とする材料や工法などがある場合もあるため、法律やそれらの条件などをクリアしながら設計を進めていく職種であると言えます。
さらに設計業務を進めるうえで、建築全般の知識に加え、CADのスキルも伸ばしていくことが求められます。
ハウスメーカーの設計職の業務を経れば、建築に関する知識とスキルを網羅的に固められるため、建築を志す人にとって登竜門のような職種とも言えます。
施工管理職
次に、施工管理職です。
ハウスメーカーは、設計と施工を自社で担う企業もあれば、設計は自社で行うが、施工は馴染みのある地域の工務店に外注するという企業もあります。しかし、ハウスメーカーの施工管理職は、どちらの場合でも、現場の管理を行います。実務の内容としては、担当する物件における、スケジュールや品質、コスト、工程、安全、環境(騒音など)の管理です。
このように、現場の職人の方々とのやりとりも多い一方で、設計担当者が書いた図面の通りに施工できるかどうか確認し、打ち合わせをすることも業務の1つです。
営業職
最後に、お客さんとの窓口となる営業職についてです。
ハウスメーカーの営業職の仕事は、集客、顧客獲得、ヒアリング、契約、アフターサービスまで一貫してお客さんに関わる業務です。
具体的には、チラシやCM、住宅展示場などのプロモーションを行い、顧客を獲得するところから始まります。その後、ヒアリングを行い、お客さんの理想の住まいやライフスタイル、予算の相談をします。その際、自社の強みを伝えると共に、その理想をイメージさせることが重要です。
契約が完了した後は、設計職にヒアリングやお客さんの希望を伝え、設計に反映してもらい、設計と施工が始まります。
竣工、引き渡し後は、「構造上重要な部分の補修を20年間無償」「雨漏りに対する補修を15年間無償」などのアフターサービスの対応も行います。
営業職と言えど、建築の知識は必要ですし、お客さんの言葉をその場でイメージとして見せるためにも、スケッチが描けるとより良いでしょう。
ハウスメーカーで働くうえで重要な資格
ハウスメーカーの仕事内容をお伝えしましたが、ハウスメーカーで働くうえで、重要な資格はあるのでしょうか。
今回は、職種を問わず、ハウスメーカーで働くうえで、重要と言える3つの資格についてご紹介します。
建築士
建築士は、建築物の設計および工事監理を行うための資格で、設計職であれば取得が必要でな資格です。建築士には、1級と2級があり、1級建築士の方が設計できる建築物の規模が大きいという特徴があります。
それ以外の職種であっても、建築全般の知識を身に付けるために取得が望ましい資格であり、昇給につながる企業もあります。
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターは、お客様に最適なお部屋を提供するために、室内のインテリアや空間をコーディネートするための資格です。
近年は、高齢者の増加や、在宅勤務をする人も増えてきているため、ライフスタイルも多様化してきていると言えます。そのようなお客様の要望を聞いたうえで、インテリアにおける機能とデザインを両立させるためにも、インテリアコーディネーターの取得は望ましいと言えるでしょう。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、お客様の人生設計に沿って、資産の形成や管理のアドバイスを行うための資格です。
特に営業職であれば、購入の際の住宅ローンの組み方などに関するアドバイスができます。住宅の知識だけではなく、金銭面の相談にも乗ることで、お客様からの信頼を得ることにも繋がります。
資格の取得について
基本的に、上記の3つの資格は、就職前に必要なものではありません。また、設計職における建築士を除き、入社後にも取得が義務付けられることはあまりありません。しかし、住宅に関する知識を磨くと共に、お客さんからの信頼を得ることができますし、仕事で成果出し、キャリアアップにつなげるためにも取得が望ましい資格と言えます。
ハウスメーカー業界の特徴と現状
次にご説明するのは、住宅市場の特徴と傾向についてです。網羅しているわけではありませんが、就職を考えている方は、業界の特徴や傾向について、ポイントをおさえておくと良いでしょう。
消費税増税や金利などの景気の影響を受けやすい
何かを消費する際にかかる税金である消費税ですが、これは住宅にも適応されます。そのため、増税前は駆け込み需要として契約数が増加しますが、それ以降は減少に向かう傾向がよく見られます。
また、住宅を購入する際に、ローンを組む人が大多数ですが、この住宅ローン金利は景気とある程度連動する性質があります。基本的には、景気が良いと金利が上がり、悪い場合は金利が下がる傾向にあります。このように、景気や住宅ローンの金利などが変動することで住宅のニーズにも変化が出てきます。
住宅の性能が強く求められる傾向にある
住宅金融支援機構の2019年度の住宅市場動向に関する調査によると、住宅事業者、一般消費者の双方において、重視するポイントとして多く挙がった事項は、「住宅の性能」でした。ここでいう住宅の性能とは、バリアフリーや耐震耐火性能や省エネルギーなどが挙げられています。つまり、デザインだけではなく、機能性も提供できるハウスメーカーが今後も指示されることを示しています。
大手企業が強いというわけではない
ハウスメーカー業界では、大手が強いというわけではありません。住宅の供給数の内訳のなかで、大手企業が占める割合は3割程度であり、それ以外は多くの地域密着型のハウスメーカーや工務店などが担っています。
もし、地域に密着した仕事をしたい方は、大手ではなくそのような業態の企業に就職した方が自分に合った選択と言えます。
ハウスメーカーの今後の展望
特徴や傾向をご紹介しましたが、今後の展望はどのように考えられているのでしょうか。
リフォーム、リノベーションの仕事が増える
住宅金融支援機構の「2019年度の住宅市場動向に関する調査」によると、販売や仲介も含めた住宅事業者の55パーセント以上が、リフォーム及びリノベーションなど事業にについて、「既に自社で実施中と回答」しており、住宅を取り巻く市場がリフォームやリノベーショ事業に向かっていることを示しています。
また、野村総合研究所の調査によると、2030年の住宅の新築着工数は、2019年の約半分程度まで落ち込むとの予測が立てられています。また、空き家をはじめとする遊休不動産が増加しています。それに対して国土交通省は「住生活基本計画(全国計画)」(計画期間:平成28年度~平成37年度)において、
「既存住宅の流通と空き家の利活用を促進し、住宅ストック活用型市場への転換を加速」
との文言を掲げており、それらの状況を鑑みると、ハウスメーカーもリフォームやリノベーション事業に積極的に参入していくことが想定されます。
そのため、リノベーションに関する知識についても身に付けることで、会社の方針が変わったときでも、柔軟に対応でき、重宝される社員になれるでしょう。
参考:
野村総研 2017年6月20日https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2017/cc/0620_3
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、ハウスメーカーの仕事内容や重要な資格、ハウスメーカー業界と住宅市場の特徴や傾向、今後の展望などについてご紹介してきました。
住宅は、人の生活に最も寄り添うものであり、それを手掛け、提供するハウスメーカーで働くことは、やりがいや社会貢献度も大きいと言えます。
そのうえ、住宅市場は常に社会の動向を反映するため、住宅や建築の知識だけではなく、経済や金融などの幅広い知識を身に付けると共に、リノベーション案件などの業界の展望も意識する必要があります。
就活においても、業界の特徴を把握しておくことは有効であり、志望度も伝わりやすくなるので、積極的に業界研究を行うようにしましょう!
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ここまでゼネコン業界について詳しくお話ししてきましたが、ゼネコン業界といっても企業は多数存在するため、ご自身で選択肢を絞りづらく、また、ご自身で選考対策をすることも大変になってきます。
ここまでハウスメーカーについて詳しくお話ししてきましたが、ハウスメーカーといっても企業は多数存在するため、ご自身で選択肢を絞りづらく、また、ご自身で選考対策をすることも大変になってきます。
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