建設工程の見積もりを行う「積算」ってどんな仕事?

2021年12月29日 更新

建設業界に限らず、仕事で案件を始める前に材料や人件費などを考慮して見積もりを出すのが一般的になります。

建設業界にも見積もりの工程が存在しますが、建設業界では積算と呼ばれ1つの仕事として成り立っています。

今回はこの積算という仕事について仕事内容や建設業のどの工程で必要とされるのか、そして積算の仕事を行う上で必要な資格などを中心にご紹介していきます。

積算の仕事に興味がある方や、建設工程の流れを知りたい方などもぜひ参考にしてみてください。

積算とは?

建設工程における位置づけ

積算の仕事内容を紹介する前に、積算は建設工程のどの段階の仕事なのかを説明します。

世の中にはそれぞれ異なる建設物を建てたいという希望を持ったクライアントが存在します。
通常クライアントの希望に対して、複数のゼネコン企業(工事希望者)が工事価格を競うことになります。

そのクライアントに対して、施工を行う建設会社が金額の見積もりを出すことになりますが、この見積もりを算出するのが積算の仕事です。

つまり、積算は、設計と施工の間に行われます。これは、設計者と施工者が異なるためです。

具体的な仕事内容について

では積算がどのような仕事かを具体的に説明していきます。

積算の仕事を一言で表すと、建物を建てるのに必要な工事費の見積もりを算出する仕事です。

見積もりを出すという作業は建設業界に限らず、仕事をするうえで欠かせない作業にですが、なぜ建設業には積算という言葉が存在し、仕事として確立されているのでしょうか。

それはこの積算が非常に専門性の高い仕事だからです。

工事費の見積もりを算出するためには、計画図や設計図、仕様書をもとに建物に必要な材料の算出、建物に必要な材料の数を明確にし、建築費用の算出、内訳明細書・数量調書・見積書等の作成など多くの仕事内容があります。

そして、これらの業務をこなすためには、工事過程の流れを理解することはもちろん、図面や仕様書の読み取りや、CADの操作のスキル、材料価格や人件費の一般的な相場の理解など分析能力や建築関係の知識やスキルが求められます。

実際に工事が始まると、積算によって算出された建築費によってその後の工事は行われます。

そのため見積もりにミスがあった場合には、クライアントに追加請求することになり、企業の利益の損失に繋がってしまう責任感の大きい仕事です。

積算を行う企業は?

ではこの積算という仕事は実際どのような企業が行なっているのでしょうか。

建築積算を行う企業としては主に2通りの方法があります。

ゼネコンやハウスメーカーといった施工を行う企業

まず1つ目がゼネコンやハウスメーカーなどの自社で施工を行っている企業です。

ゼネコンやハウスメーカーなどには積算部と呼ばれる部門がある場合があり、積算部が企業の中で積算業務を担当しています。
自社で設計した構造物の場合でも、設計事務所などの他社が設計した構造物の建設を受注した場合でも、同様に積算を行います。

しかし積算という業務のルールは法律で定められておらず、は企業によって異なります。ゼネコンやハウスメーカーは行なっている業務が多岐にわたるため、積算以外の業務を担当する可能性もあります。

積算事務所

建設業界の中には積算業務を専門としている積算事務所という企業もあります。

積算事務所はゼネコンや官公庁から積算業務の請け負うのが一般的になります。

しかし、次の章でも説明しますが、積算の業務は明確な資格が必要とされるわけではないく、事務所の規模や仕事を行う形態も異なっているため、積算事務所は多様化しているのが現状です。

こちらも仕事の範囲や取引先のクライアントの特徴、また事務所の労働環境などを事前に調べておくようにしましょう。

積算を行うのに必要な資格はあるのか

ここからは積算に関連する資格についてご紹介します。

結論としては積算の仕事を行うのに必要な資格は現在はありません。
ですが、積算業務に関連した資格として建築積算士という資格が存在します。

建築積算士とは

建築積算士の資格の定義としては、建築生産過程における工事費の算定並びにこれに付帯する業務に関し、高度な専門知識及び技術を有する専門家となっています。

建築積算士の資格を取得するのには工事発注スキーム、設計図書構成、積算業務内容、数量積算基準、主要な市場価格、データ分析と積算チェック、施工技術概要、など多くの知識に加え、建築工事分野の数量算出、工事費算定などの技術も要求されるため、
資格を保有しておくことで、スキルの証明につながります。

満17歳以上であれば、学歴や実務経験を問わずに受験できるため、積算業務を行ううえでは取得しておきたい資格ですが、2次試験には実技試験も含まれるため、就職した後で経験を積みながら取得を目指すという方も多いようです。

建築積算士補と建築コスト管理士

建築積算士の下位の資格として、建築物の工事費の算定について、適正な基礎知識を有する建築積算士補という資格もあります。

そして最上位の認定資格である建築コスト管理士というプロジェクト責任者・担当者向けの資格も存在するので、今後建築積算士の取得することになれば、最終的には建築コスト管理士の資格取得を目標にしてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は建築工程の中の1つである、積算という仕事について焦点を当ててみました。

積算は建築の全行程の中でも始めの方に行う業務です。

クライアントの希望金額と企業側の利益を考慮した金額の折り合いをつけなければならない場合もあり、積算で出した見積もり金額が受注を左右することもあります。

見積もりで計算間違いがあるとその後の工程に与える影響も大きくなってしうので、専門性が高く、責任も大きい仕事になりますが、その分やりがいや達成感も多く得られる仕事と言えます。

仕事によって、適性はあると思いますが、計算や図を読み取るのが好きな人や、責任感の大きな仕事がしたい人などはぜひ積算の仕事にチャレンジしてみてください!

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