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スマートシティとはいったい何? 実際の事例や建設業界との関連性をご紹介

2021年5月30日 更新

皆さんは「スマートシティ」という言葉をご存知ですか?

近年では事業参加をする企業が増えていることや、メディアなどで取り上げられる機会も増えているため、名前は聞いたことがあるという方や、単語からしてまちづくりに関連しているワードでありそうというイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?

今回はスマートシティの言葉の定義や、スマートシティによって解決を目指している日本が抱える課題、また実際の国内での事例などを紹介していきます。

スマートシティっていったい何?

スマートシティの言葉ですが、実は明確な定義は存在しません。

いくつかスマートシティの定義の例を見ると、
国土交通省は、「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」
と定義しており、

野村総合研究所は、「都市内に張り巡らせたセンサーを通じて、環境データ、設備稼働データ・消費者属性・行動データ等の様々なデータを収集・統合して、AIで分析し、更に必要な場合にはアクチュエーター等を通じて、設備・機器などを遠隔制御することで、都市インフラ・施設・運営業務の最適化、企業や生活者の利便性・快適性向上を目指すもの」
と具体的にスマートシティを定義しています。

また、アメリカの業界団体であるSmart City Councilは、「全ての都市機能にデジタルテクノロジー(ICT)が組み込まれた都市」と定義しています。

それぞれに違いが見られますが、共通しているのは、「都市の課題を、ICTなどのテクノロジーによって解決する」点であるということです。

スマートシティの取り組み自体も変化しており、以前のスマートシティは再生可能エネルギーの利用拡大など個別の課題を解決する「個別分野特化型」の方法が中心でした。
しかし近年は、先端技術を活用することで、エネルギーや教育、医療など、複数の課題を幅広く解決を目指す、「分野横断型」の取り組みが増えています。

また、国単位や各自治体(各都市)によって抱えている課題も異なるため、国と地方自治体とでは、スマートシティによって目指す都市像は異なる場合もあります。

都市OSとは?

加えて、スマートシティを語るうえでのキーワードとして「都市OS」が挙げられます。
都市OS(オペレーティング・システム)とは、NTTファシリティーズの定義によると、「都市に存在する膨大なデータを蓄積・分析するとともに、他の自治体や企業、研究機関などと連携するためのプラットフォームのこと」とされています。

つまり、建物や土木構造物のようなハードだけではなく、都市単位でのソフトのデータ活用が重要とされているのです。

日本が解決するべき課題とは

では、日本の場合はスマートシティによってどのような課題を解決しようとしているのでしょうか。

日本が現在抱えている問題として挙げられるのが、都市部への人口集中、人口減少と超高齢社会です。
また、人口が集中している都市には環境エネルギーや防災、医療、交通、教育などの課題も付随します。

このような問題に対して、ICT技術を用いてまちづくりに取り組み、持続可能な都市を実現することが日本におけるスマートシティの大きな目標です。

建築土木業界とスマートシティの関わりとは?

スマートシティは持続可能な都市作りを目指すという規模の大きさや、今後もスマートシティ実現に向けた都市インフラ整備の投資額が増加することが予想されるなど、多くの業界にとってビジネスチャンスとなりえます。

特に建設業界にとってスマートシティは業界の強みを活かすことができ、また新たなビジネスモデルへの転換のきっかけになるのではないかと期待されています。

では、建築土木業界とスマートシティの関係性を紐解いていきましょう。

街や都市が、住宅やビル、公共施設など建築物と、道路や橋梁、そのうえに成り立つ交通というような様々な構造物やシステムの集合であるように、スマートシティにおいても建築土木業界が担う各分野でICTなどを用いた取り組みがなされます。

建築業界

そのため、建築では、スマートハウスやスマートビルディングの取り組みがスマートシティに通じます。

具体的には、住宅業界はスマートシティを構成する「スマートハウス」の建設やリフォームや、スマートハウスに関連した太陽光発電装置や家庭用燃料電池、省エネ照明・空調や新型断熱材など多くの分野が挙げられます。

また、デベロッパーやゼネコン建築業界は自動エネルギー管理・運転等を行う省エネ・環境型の「スマートビル」の企画や施工受注が挙げられます。

土木業界

土木では、自動運転技術を用いたモビリティを活かした交通計画などがスマートシティに繋がります。
このように、街づくりやインフラ整備において、重要な役割を果たしている建設業界は、スマートシティにおいても多くの重要な役割を担っています。

建設業界の強みがスマートシティの実現に活きる

スマートシティの実現のためには、自治体と民間事業者との連携、異業種との協業が欠かせませんが、建設業界はこれまでの国土開発の過程で、他産業との協業、行政・地元住民コミュニケーションを築いてきた実績があります。

今後、スマートシティプロジェクトがさらに大規模、複雑化していくにつれ自治体や他業界との繋がりがある建設業界の経験が活かされる可能性があります。

スマートシティが建設業界のビジネスモデル転換のきっかけに

2020年7月に一部エリアが開業した「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)」は、鹿島建設を代表企業とする羽田みらい開発が事業主体のスマートシティです。

上記で挙げたように、スマートシティの取り組みには、建設業界の強みを活かすことができるため、建設会社がスマートシティのプラットフォーマーになる事例がいくつか存在します。

今後日本の人口が減少に転じる中で、建設業界は従来の請け負って建築物を建てるビジネスモデルからの転換が求められています。

スマートシティへの取り組みは、建設業者が主体的に取り組むことで、自治体や他のプレーヤーからの信頼を積み増し、トラステッドアドバイザーとしての地位の確立が期待できます。
そのため、今後もスマートシティへの関心が高まる中で、スマートシティが建設業界のビジネスモデルの転換のきっかけのひとつになるかもしれません。

現在進んでいるスマートシティの事例を紹介

最後に日本におけるスマートシティの事例を紹介します。
今回は2つのスマートシティを取り上げますが、取り組みの背景や過程は異なるのがスマートシティの特徴でもあります。

それぞれのスマートシティにどのような特徴があるのかにぜひ注目してみましょう。

Woven City(トヨタ自動車)

自動車メーカーのトヨタは、2020年1月7日、米国・ラスベガスで開催されるエレクトロニクスとITの見本市「CES」にて、あらゆるモノやサービスをオンラインでつなげる実証都市「コネクティッド・シティ」プロジェクトを発表しました。

「ウーブン・シティ(Woven City)」と呼ばれる実験都市は、東京ドーム15個分の工場の跡地に建設が予定されており、プロジェクト初期はトヨタの従業員など、2,000名程度の住民の入居を想定しています。

ウーブン・シティの目的は自動運転、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などの技術を導入・検証できる実証都市を、人々が生活を送るリアルな環境のもとで作ることで、
・サステイナビリティを前提とした街づくり
・燃料電池発電も含めて、街のインフラはすべて地下に設置
・住民は、室内用ロボットなどの新技術を検証する
といった多くの目標を達成することです。

ゼロから街を作り上げることになるため、完成時期は未定とされていますが、2021年2月に建設が始まっており、将来的には、一般入居者の募集や、観光施設としての運営も期待されるなど、ウーブン・シティ自体が常に進化し続ける街になっていくようです。

スマートシティ会津若松

もう1つの例として挙げるのが、会津若松市のスマートシティです。

こちらは東日本大震災の影響を受けた会津若松市の復興支援の一環であり、先端デジタル技術(ICT)を駆使した「市民参加型のスマートシティ」です。

「スマートシティ会津若松」は、「地域活力の向上」、「市民生活の利便性向上」、「市民との情報共有の促進」の3つの視点でまちづくりを進めいます。

アクセンチュアなどの企業も関わっているこのプロジェクトは、ICT(情報通信技術)や環境技術などを、健康や福祉、教育、防災、さらにはエネルギー、交通、環境といった生活を取り巻く様々な分野で活用しており、市民は学校と家庭をつなぐアプリや、除雪車ナビによる冬の除雪状況の確認など、14のサービスを享受できるメリットがあります。

会津若松市は2021年4月に、医療や交通、教育、行政手続など、生活全般にまたがる複数の分野で、AI(人工知能)などを活用する先端的なサービスを導入することで、便利で暮らしやすいまちを実現することで、市の取り組みをさらに発展・深化させることができる国の「スーパーシティ構想」へ応募したことを公表しています。

まとめ

いかがでしたか。

ICTの導入による課題解決とお伝えしましたが、(1)電化製品をはじめとしたプロダクト単位のIoT家電などを建物の様々な箇所に適応させるスマートハウスやスマートビルディングから、(2)そうした建物の集積に加え、モビリティ、都市OSの取り組みを合わせたスマートシティ、(3)国単位での構想まで、スマートシティは様々なレイヤーで考えることができます。

そして建築土木業界は、これらの様々な観点からビジネスチャンスに繋げることができます。
そして、スマートシティは今後も国の後押しや時代のトレンドなどを受けてさらに多くの自治体が取り組んでいくことが予想されます。

また、スマートシティは最先端のICT技術を組み合わせた街づくりやプロジェクトの規模が大きいこと、自治体が抱えている課題を解決するためのプロジェクトであるという特徴は、就活の志望動機や業界への興味を持ったきっかけなどにも繋げることができます。

今回の記事でスマートシティに興味を持った方や、スマートシティに関わる企業で働きたいと思った方は、スマートシティに取り組んでいる市のホームページや企業の採用ページからスマートシティの取り組みを調べてみましょう!

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