CASBEEとBELSって何? 就活で役立つ日本の環境建築認証をわかりやすく解説!

2025年11月2日 更新

近年、建築業界では「環境にやさしい建物づくり」への関心が高まっています。地球温暖化対策やエネルギー問題への意識が強まる中で、企業も「サステナブル建築」を重視するようになってきました。

※サステナブル建築とは、エネルギーや資源をできるだけ無駄にせず、環境・人・社会にやさしい建物を目指す建築のこと。省エネ設計や再生可能エネルギーの活用、長寿命化などがその特徴です。

そんな中で注目されているのが、建物の環境性能を評価する「環境認証制度」です。

今回の記事では、日本で主に使われている環境認証制度「CASBEE」と「BELS」について、その特徴や違いをわかりやすく紹介します!

建築・不動産・リフォーム業界を目指す就活生にとっても、知っておくことで業界への理解が深まり、自己PRにもつながる知識ですので、参考にしてみてください!

日本の主要な「環境建築認証制度」とは?

建築物の環境性能を評価する制度は、国内外でさまざまに制定されています。
今回は、CASBEE・BELSに関してご紹介していきます!

「建築環境総合性能評価システム」とは

近年、建物にはデザイン性や快適さだけでなく、環境への配慮や省エネルギー性能も求められるようになっています。

こうした流れの中で、日本では建物の環境性能を“見える化”して評価する仕組みとして、建築環境総合性能評価システムが整備されました。

このシステムには、建物の環境性能を総合的に評価する「CASBEE(キャスビー)」と、主に省エネ性能を評価する「BELS(ベルス)」の2つが代表的な制度として知られています。

どちらも「どの建物が環境にやさしいのか」を客観的に示す指標として、建築・不動産業界で広く活用されています。

出典:国土交通省提出資料「国土交通省の環境施策」

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)

正式名称:建築環境総合性能評価システム
目的: 建物の「環境性能」を総合的に評価し、より環境に配慮した建築を促進すること。

CASBEEは、日本で開発された建物の環境性能を第三者が多面的に評価する認証制度です。
評価対象は、エネルギー効率だけでなく、室内の快適性敷地周辺への環境配慮なども含まれ、建物全体のバランスを重視しています。

評価結果は「S(最高)〜C(最低)」のランクで示され、環境への負荷が少なく、快適に過ごせる建物ほど高い評価を得られます。

特に、自治体の公共建築物や庁舎での導入が多く、日本独自の「総合バランス型」評価制度として定着しています。設計段階から環境性能を考慮する動きが進む中で、建築業界全体の環境意識向上に大きく貢献している制度です。

出典:省エネ性能表示制度 事業者向け概要資料

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)

正式名称: 建築物省エネルギー性能表示制度
目的: 建物の「省エネルギー性能」を数値化・可視化し、消費者や企業が性能を比較しやすくすること。

BELSは、建物の省エネ性能を第三者が評価・認証する制度で、その結果を★(星)の数でわかりやすく表示します(★〜★★★★★)

たとえば、住宅やオフィスの「どのくらいエネルギーを使わずにすむ建物か」が一目で分かるようになっており、家電の“省エネラベル”に近い感覚です。

評価対象は新築・既存や住宅・非住宅を問わず幅広い建物に適用可能で、最近では不動産市場での「省エネ性能の見える化」としても活用が進んでいます。環境性能を高めたい企業や、省エネ住宅を選びたい消費者にとって、信頼性の高い第三者評価基準として注目されています。

CASBEE・BELS認定を取得するメリット

CASBEEやBELSの認定を取得した建物には、企業や利用者にとってさまざまな利点があります。ここから、そのメリットをご紹介します。

企業の信頼性やブランド価値の向上

環境認証は、「環境性能の高い建物であることを第三者機関が正式に証明する仕組み」です。そのため、企業にとっては社会的信頼の裏付けとなり、ブランド価値の向上につながります。

また、近年はSDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)への関心が高まっており、環境配慮を経営方針に掲げる企業は、投資家や取引先からも好印象を得やすくなっています。

たとえば、「LEED認証」(国際基準の環境認定制度)や「CASBEE評価Sランク」などの実績は、企業が環境に責任ある姿勢を持っている証拠として、採用活動や広報・IR(投資家向け情報)にも活用されています。

つまり、環境認証は「建物の評価」だけでなく、企業イメージを高めるPRツールにもなるのです。

建物の資産価値・競争力の向上

環境認証を取得した建物は、省エネ性能・快適性・安全性などの品質が高いことを客観的に示せるため、テナント企業や住宅購入者からの信頼を得ることができ「選ばれやすい建物」になります。

結果として、賃料水準や入居率の維持・向上につながり、長期的に見て不動産の資産価値を高める効果があります。

特にオフィス市場では、「ESG対応オフィス」や「ゼロエネルギービル(ZEB)」の需要が高まり、企業の入居判断の基準に「環境性能」が加わるケースも増えています。

つまり、環境認証の有無が市場での競争力を左右するケースもあります。

エネルギーコストの削減

環境認証を取得する過程では、省エネ性能を高める設計・設備の導入が求められます。
その結果、照明・空調・給湯などのエネルギー消費量が抑えられ、光熱費の削減や維持管理コストの低減につながります。

さらに、設備の効率化によって機器の劣化を抑え、メンテナンス頻度や修繕費を削減できる点も大きなメリットです。

単に「環境に優しい」だけでなく、上記のようなエネルギーコストを抑えることで、経済的にも持続可能な建物運営を実現できることが、環境認証の強みといえます。

法制度・補助金への対応

一部の自治体では、建築確認申請時にCASBEE評価書の提出を求めるケースがあります。
これは、自治体が環境性能の高い建物を増やすための取り組みの一環です。

また、省エネ性能を示すBELS評価やZEH・ZEB認証を取得した建物は、国や自治体の補助金・税制優遇制度の対象となることもあります。

こうした制度を活用することで、初期投資の負担を抑えながら、高性能な建物の実現を目指すことが可能になります。結果的に、環境対策とコスト削減を両立できる仕組みとして、多くの企業が注目しています。

ZEH・ZEB認証について興味のある方はこちらの記事をご覧ください!
ZEH・ZEBってなに? これから省エネ建物を支えるカタチ

日本の認定制度と国際基準「LEED」の違い

世界的に広く使われている環境認証制度として、アメリカ発の「LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)」があります。

LEEDは国際基準であるため、グローバルでの共通言語として活用され、海外の企業やオフィス、国際的な不動産市場での評価指標として広く使われています。

一方で、日本国内で主に用いられるCASBEEやBELSは、国内向けの制度として設計されており、特に公共建築物や不動産市場での省エネ性能の見える化などに活用されています。

就活生としても、「国内基準と国際基準の両方を理解している」という視点は、建設・不動産・環境分野で語れる強みになります。

日本と海外の認証制度の違いや活用場面について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。
LEEDとは?建築・土木学生が知っておきたい国際的な環境認証制度

CASBEE・BELSを知っていると就活で有利? 注目される理由とは

建築・不動産業界を志望する学生にとって、CASBEEやBELSなどの環境建築評価制度を知っていることは、面接やES(エントリーシート)でのアピールポイントになります。
今回は、その理由についてご紹介します!

業界理解の深さを示せる

環境建築の評価基準を理解していることは、建築や不動産業界の最新トレンドや社会的な取り組みを押さえている証拠になります。

国内ではCASBEEやBELS、海外ではLEEDが基準として使われることを知っているだけでも、幅広い知識を持つ学生として評価されます。さらに、グローバルな視点を持って学んでいる学生として印象づけられます。

グローバルで活躍する企業を目指す就活生は、国内外の基準の違いを踏まえた学びの姿勢を伝えることもポイントです。

志望業界との関連性が高い

CASBEEやBELSなどの環境建築評価制度は以下の業界と関連性があります。

住宅・インテリア業界:「快適性」や「省エネ性能」の評価を理解できる

ゼネコン(総合建設会社):公共建築や大規模ビルでの認証制度の重要性を理解できる

デベロッパー・不動産開発:環境認証が建物の価値や賃料水準に影響することを理解できる

これらを踏まえて面接で話すことで、志望業界に即した知識を持つことを示せるので上記の業界を志望する方はぜひ業界との関連性についても調べるようにしましょう。

まとめ

CASBEEやBELSは、日本の建築業界で広く活用されている環境建築の評価制度です。

どちらも「環境に配慮した建物づくり」を推進するための重要な仕組みであり、企業にとっては信頼性やブランド価値の向上につながり、利用者にとっては快適で省エネな暮らしを実現する指標となります。

建築や不動産業界を目指す学生にとっても、これらの制度を理解することは業界研究の第一歩であり、授業で学ぶ知識を実際の制度や事例と結びつけることで、より実践的な視点を身につけることができます。

学生のうちにCASBEEやBELSの評価基準や活用事例を調べ、自分の関心分野やキャリアにどうつなげられるかを考えることで、学びを実践的に活かす力を身につけることができるので、進んで就職活動に取り入れてみてください!

建築土木学生向け就活イベント開催中!
【27卒向け】施工管理職志望の方向け 施工管理職の説明から選考対策まで徹底講座
建設業界において重要な役割を担っている「施工管理職」は、建築土木を学んでいる就活生に人気の職業のひとつです。しかし、施工管理職の具体的な仕事内容や、似た職業との違いなど、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。また、施工管理職を採用する業界の中でも、網羅的なゼネコン業界や
11月10日(月) 09:00〜
オンライン
企業選びから面接準備まで 就職何でも相談会
志望度の高い企業になぜ行きたいのか、自信をもって志望動機を伝えることはできますか? 論理性や独自性に欠ける、どの会社にも当てはまるような志望動機になってはいないでしょうか。 本選考では、サマーインターンの選考と異なり、「学生と自社とのマッチング度」や「学生の自社への本
11月11日(火) 09:00〜
オンライン
【27卒向け】不動産管理職志望の方向け 不動産管理職の説明から選考対策まで徹底講座
不動産管理というと、一人暮らしや家族でマンションなどに住む場合の賃貸の不動産管理が身近なものだと思いますが、不動産管理業は賃貸のみを扱っているわけではありません。不動産管理業の仕事は、入居者やテナントを募集し、契約を結ぶことだけではなく、他にもたくさんの業務を行う、奥深い仕事で、
11月11日(火) 09:00〜
オンライン
【27卒向け】建築土木学生向け 模擬面接会
面接本番を前に「自分の伝え方に不安がある」「何を聞かれるかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。 今回のイベントでは、実際の面接形式で模擬面接を行いながら、回答内容や受け答えのポイントをフィードバックしていきます。 質問の意図や構造を理解しながら練習できるため、「
11月11日(火) 09:00〜
オンライン

まずはコレ!編集部おすすめ記事

「業界研究」の新着記事

もっと見る
コンキャリ建築土木に登録すると...
新規会員登録(無料)

最新情報をチェック!新着記事はこちら

もっと見る