【建築・土木学生 必読!】ゼネコン業界の業界研究マニュアル(スーパー・準スーパーゼネコン)

建築土木学生の就職先として、非常に人気の高い建設業界のゼネコン。
ゼネコンは昔から現在まで多くの建設技術とプロジェクトの開発を行い、日本だけでなく世界中の主要な建物を建設してきました。その実績と経験値が、日本クオリティの建設技術を培ってきました。
そんなゼネコン業界には、いくつかの主要な企業がありますが、どのような特徴を持った企業があるのでしょうか。また、就活をするうえで自分にあったゼネコンはどのように見つけるべきなのでしょうか。
そんな疑問に答えるべく、今回はゼネコン業界の業界分析として、知っておくと良いゼネコンの知識や情報について解説します。
ゼネコン業界の構成
ゼネコン業界にはスーパーゼネコン、準スーパーゼネコンというように、売上規模や組織規模に応じた、企業群の枠組みがあり、それぞれの企業ごとに特徴があります。
ここからは特にスーパーゼネコンに焦点をあて、それらの比較などを通じて分析をしていきます。
スーパーゼネコン
スーパーゼネコンとは日本の大手総合建設会社(ゼネラルコントラクター)の中でも特に規模が大きく、技術力や実績が優れた企業を指します。
代表的な企業として、鹿島建設、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店などが挙げられます。これらの企業は「五大ゼネコン」と呼ばれ、建設業界をリードする存在です。
企業規模が大きく、年間売上高が1兆円を超える企業をスーパーゼネコンと呼んでいます。
豊富な資金力・人材力・ノウハウを活かし、国家プロジェクトや大規模再開発、万博などの話題性のある大規模プロジェクトを多く手掛けています。
下記にスーパーゼネコンの基本情報をまとめました。
比較表を見ると、代表的なプロジェクトの他に、強みや海外事業の比率、得意とする建物などの違いが見て取れます。
スーパーゼネコンを複数受ける場合には、このように企業ごとの比較をし、対策をすると良いでしょう。

準スーパーゼネコン
準スーパーゼネコンとは、大手ゼネコン(総合建設会社)には業績が及ばないものの、一定規模の建設工事を請け負う中堅の建設会社を指します。
年間売上高は概ね3,000億円から1兆円程度とされており、大手ゼネコンと比べると規模は小さいが、地域や特定分野での実績が豊富で大手ゼネコンと地域の中小建設会社の中間的存在とされています。特定の地域や工事分野に強みを持つことが多いため、地方自治体や地域企業との強いつながりを活かした事業展開を行っています。
マンションなどの専門工事や得意分野では大手ゼネコンを上回る技術力を持っていることもあります。
代表的な準ゼネコンには、長谷工コーポレーション、戸田建設、五洋建設、西松建設などがあります。
これらの企業は、独自の強みを活かしながら建設市場で重要な役割を果たしています。
自分が携わりたい建築がスーパーゼネコンと準ゼネコンのどちらが得意としているかのかチェックしてみると良いでしょう。
企業研究のポイント
就活するうえで必要になる企業研究のポイントについて、企業の情報から就活生が何を重視して見るべきなのかを解説していきます。
企業HPの見るべき情報
ここからは企業のホームページの中で就活生が見るべき項目を解説していきます。
採用情報ページ
1つ目は採用情報ページです。
新卒採用の基本情報に加えて、募集職種や求める人材像、研修制度、資格取得支援などの情報から、入社後のキャリアパスを具体的にイメージすることができます。
特に、設計部門や施工管理以外にも募集している職種がある企業がほとんどなので、どんな職種があるかチェックし、気になる職種あれば調べてみることもお勧めします。
また、入社後の配属方法について明記している企業は少ないですが、説明会やインターンの際に質問できるように予め確認しておくと良いでしょう。
企業の事業紹介ページ
2つ目は企業の事業紹介ページです。
企業が手がけている建築物の種類、規模、デザインの特徴などを確認することで、自身の興味や専門性と合致するかを判断できます。住宅専門なのか、商業施設やオフィスビルも手がけているのか、また、それぞれのプロジェクトにおける企業の建築哲学やアプローチも読み取ることが重要です。
企業によって得意としている建物や技術は当然異なります。
建築土木事業以外に不動産や開発、エネルギー関連などの事業を行っているのかを確認することで、一企業としての強みや存在を確認することができます。
技術・研究紹介ページ
3つ目は技術・研究紹介ページです。
スーパーゼネコンや準ゼネコンは自社の研究施設を保持し、日々建設技術開発に取り組んでいます。
例えば、清水建設は社寺仏閣のような歴史的技術に強みを持ち、大林組はRCと木造技術への取り組みが強いなど、各社で研究・技術開発の方向性は異なります。
自身が建設業界で働くことを想像した時に、どんな技術に興味があるか、活用し仕事をしたいのか考えてみると良いでしょう。
近年では、建設業界にもBIMの活用が促進されており、スーパーゼネコンでは共通したCADを使用していることも多いです。自身の志望する企業がどんなBIMツールを使用しているのか、そのBIMは自身が使用したことがあるものか、就職した際にはどのくらいの頻度で使用するのかなどの情報も確認すると良いでしょう。
社長メッセージ
4つ目は社長メッセージです。
企業の代表である社長の言葉を確認することで、企業全体がこれから何を目指すのか、実際の業務の中でどんなことが意識されているのか感じることができます。
社長メッセージや企業理念は、長期的なキャリアを考えるうえで重要な要素です。
会社が目指す方向性や建築に対する価値観、さらにはサステナビリティや環境への取り組みなどから、その企業の未来像を読み取ることができます。
これらの情報を総合的に分析することで、その企業が自身の目指すキャリアと合致しているかを判断することができます。
また、こうした事前調査は面接時の質問事項を考えるうえでも非常に有用です。志望企業のホームページを確認する際は、単なる表面的な情報収集に終わらせず、自身のキャリアビジョンと照らし合わせながら、深い理解を目指すことが重要です。
企業のニュース、社会との関わり
ゼネコンは日本の基盤をつくる会社です。そんな会社が世間にどのようなニュースを発信して、広報活動を行っているのでしょうか。
SDGsへの取り組み、社会貢献活動には何があるのでしょうか。
企業HPのお知らせ・ニュースリリース
ゼネコンのニュースについて最新の情報を確認する手段として、HPのお知らせやニュースリリースがあります。
これは企業広報が公式に発表する情報として、最も力を入れているものの一つです。ここでは、企業の人事情報や最新技術だけでなく、社会貢献活動について知ることができます。建設技術をどのように社会に活かしているか、身近なところでどのような技術が使用されているのか確認することができます。
最近のニュース
GoogleやAiで就活で気になる企業の名前を調べてみてください。
企業によって、民間の団体や大学などと連携して研究しているかなどの最新の話題を確認することができます。自分が志望する企業は世間に何をアピールし、どんな評価を受けているのかを確認してみましょう。
AIは最近の企業のニュースを簡潔にまとめて教えてくれます。Googleのジェミニやperplexityを活用することをお勧めします。
SNS
スーパーゼネコンのSNSを見てみると更新頻度は高くありませんが、企業の過去のPRやCMを確認することができます。更新頻度がダントツで高いのは大成建設です。SNSのメディア数が多いのは清水建設でした。
これからの学生向けのコンテンツに期待したいところです。

建物に足を運ぶ
建築を理解し、ゼネコンが建設した構造物を理解するうえで、写真や動画による学習だけでなく、実際に建物を訪れることには計り知れない価値があります。建築の実地見学がもたらす具体的なメリットについて考察していきます。
空間体験を通じた直接的な理解
建築空間を理解する最も効果的な方法は、実際にその場所に身を置くことです。
写真や図面では決して伝えきれない空間の広がりや高さ、圧迫感などを、自身の身体を通じて直接的に体験することができます。
建物内を実際に歩き回ることで、設計者が意図した動線計画や空間の連続性を、体験的に把握することが可能となります。これは、平面図や断面図だけでは理解しづらい、建築空間の特質を掴むための重要な機会となります。
五感による総合的な空間把握
実際の建築物に足を運ぶことの特筆すべき利点は、視覚に限らない多角的な建築体験が可能となることです。
壁面や床材の手触り、足裏で感じる床の質感、空間内での音の反響、時間とともに変化する自然光の様子、温度や湿度の変化まで、建築空間を形作る多様な要素を全身で感じ取ることができます。これらを感じ取ることにより、自身の好きな建築要素や建物を理解することができます。
建築ディテールの観察
写真や図面では見落としがちな建築の細部まで、実地で詳細に観察することができます。接合部のディテールや仕上げの質感、建築技術の工夫など、建築の質を決定づける重要な要素を直接確認できることは、実地見学ならではの利点であると考えます。
時間軸での建築理解
竣工直後の姿だけでなく、建材の経年変化や使用による摩耗、メンテナンスの状態など、時間の経過に伴う建築の変化を直接確認することができます。これは、建設された建築物がどのように管理され、設計者が持続可能性や維持を考えているのかという観点から重要な学びとなると考えます。
実際の使われ方の観察
設計段階で想定された使い方と、実際の利用者による使われ方には、しばしば差異が生じるとされています。
実地見学では、人々の実際の行動パターンや空間の使われ方を観察することで、建築の実践的な側面について理解を深めることができると考えます。建築の実地見学は、机上の学習では得られない多面的な理解と洞察をもたらすと考えます。
ゼネコンや建築企業を目指す者にとって、実地見学を通じた直接的な空間体験は、より深い建築的視点を学ぶことができ、その建物を設計・施工した企業を知る重要な要素と言えると思います。
こうして実地見学により自身が感じた建築の特質や疑問に感じたことをメモし、面接で逆質問したり、自身の意見として話せると良いでしょう。また、リクルーター面談での質問やエントリーシートでエピソードとして反映できるように自身の想いを具体化しておくと良いでしょう。
今後の各社の動向
スーパーゼネコン各社は以下のような方向性で事業展開を進めていくと予想できます。
海外市場への積極的な進出
国内市場の成熟と人口減少に伴い、海外市場への進出が重要な戦略となっています。
特にアジアや中東地域では、インフラ整備や都市開発の需要が高まっており、これらの地域での受注拡大が期待されています。また、アフリカ人口増加に伴い、海外で日本の建設技術を普及し、定着を図る狙いがあると考えています。その際に、日本の技術者を派遣するために各社が海外支店を増やしていく可能性は十分にあるでしょう。
新たな産業の発展に伴う建設需要
現在、世界中でAI技術や半導体の需要増加により半導体関連の工場の建設が増えています。このような新たな産業の登場に伴い、ゼネコン業界にも既存の建設技術を活用し、半導体工場やデータセンターの建設が求められます。ゼネコンは積極的にこの市場に参入し、自らの最新技術の取得や建設DX化を進めていくと予想されます。
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また、再エネ活用、持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギー施設の建設や省エネルギー技術の導入が進められています。特に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー活用は当たり前となり、CO2ゼロ化に向けたプロジェクトへの参入が増加していくと考えられます。
独自の高度な技術力の提供
高層ビルや大型インフラの建設において、独自の技術やノウハウを活かし、他社との差別化を図るとともに、高付加価値なプロジェクトへの参入が期待されています。
東京や都市部だけでなく、地方でもゼネコンの技術力を活かして、大規模な工場やビルなどのプロジェクトが進行していくと考えられます。
(参考)進行中の各社の大規模プロジェクト
最後にスーパーゼネコン各社の進行中の大規模プロジェクトについて紹介します。
企業研究では、その会社の今後竣工予定の目玉物件の情報は押さえておくと良いでしょう。
目玉物件であれば、当然に面接官も含めて、社内での認知度も高く、その情報を基にした逆質問などへの応用ができます。
・鹿島建設:JASM熊本第二工場(半導体工場、2027年竣工予定)
・大成建設:新宿駅西口地区開発計画(大規模複合再開発、2029年竣工予定)
・清水建設:Torch Tower (大規模複合再開発、2028年竣工予定)
・大林組:アトラシアン・セントラル(複合施設、2026年竣工予定)
・竹中工務店:大井町駅周辺広町地区開発(大規模複合再開発、2025年竣工予定)
工事が進行中のプロジェクトには最新の建設技術、デザインが施されています。
最新のプロジェクトの情報を得て、ゼネコンの動向に注目していきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は就活でゼネコンを志望するうえで持つべき観点や具体的な企業の情報についてご紹介してきました。
ゼネコンに就職を考えている人は「企業を知る」ことが大切です。企業のリサーチを通して自身について理解し、分析することが本質的な就活に繋がると考えます。
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