建設業界の未来を担う!ゼネコン業界とBIMの存在について知ろう!

2025年4月13日 更新

建築土木学生の就職先として、非常に人気の高いゼネコン業界。

ゼネコンは昔から現在まで多くの技術と開発を行い、日本及び世界で建物をつくってきました。建設業界ではBIMの導入が増えています。BIMの導入でゼネコン業界や就活はどのように変化していくのでしょうか。また、就活をする上で志望する会社はBIMに関連するどのような技術を持っているのでしょうか。

今回はゼネコン業界のBIMについて、就活する上で知るべき情報について紹介します。

BIMの導入によるゼネコン業界の変化

建設業界ではBIMの導入が進んでいます。BIMは設計者や施工者、業者や施主にどのような影響を与えるのでしょうか。

BIM

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は、建築物の設計、施工、維持管理までのライフサイクル全体で、建物の情報を包括的にデジタル化して管理する手法のことです。

BIMの主な特徴と利点は以下の通りです。

3Dモデリング

BIMといえば、3Dモデリングのイメージを浮かべる人が多いでしょう。建物を立体的に表現するだけでなく、各部材の属性情報(材質、コスト、耐久性など)も含まれており、構成要素が分かりやすいことが特徴です。

情報の一元管理

BIMでは複数人で1つのデータを管理・編集することが可能です。プロジェクトに関わる全ての情報が1つのモデルに集約され、関係者間で共有することができます。
近年では、このような共同編集ができる機能は珍しくないですが、2次元の図面のみを取り扱っていた時代からすると大きな変化と言えます。

整合性の確保(図面、積算情報など)

プロジェクトにおいて、設計変更が行われると、関連する図面や数値などを変更する必要があります。
BIMを使用すると図面や積算などが自動的に更新されるため、共有者間で矛盾が生じにくくなります。

シミュレーション能力(構造解析、施工手法など)

BIMを使用することで、モデリングされた内容を基に構造解析、環境性能、施工シミュレーションなどを事前に検証することができます。また、日本では避難訓練という言葉があるように地震対策は欠かせません。プロジェクトにおいて、BIMによる避難シミュレーションなどは重要な役割を持ちます。

4D・5D機能

4Dは、3Dモデルに「時間」の要素を追加したものです。工程計画と連携し、建設の時間的進行を視覚化が可能になり、工程の問題点を事前に発見し、建設前に解決を図ることができます。

5Dは、4Dにさらに「コスト」の要素を追加したものです。 モデルの各要素にコスト情報を関連付け、設計変更によるコスト影響を即時に確認可能となります。
このように時間(工程)やコストの情報を加えることで、より高度な計画立案が可能になります。

BIMは従来のCAD(Computer-Aided Design)と異なり、単なる図面作成ツールではなく、建物に関する情報をデータベースとして管理するプラットフォームです。設計者、施工者、発注者、維持管理者など、建築プロジェクトに関わる全ての関係者が、より効率的に協働できるようになります。

ゼネコン業界のBIM導入の影響

日本のゼネコン業界におけるBIMの導入による影響について説明します。

設計・施工プロセスの変革

設計初期段階から多くの情報を施工者や現場に関連する業者が取り込むことで、後工程での手戻りを大幅に削減すること(フロントフローディング)が可能になります。

設計者や施工者が構造の躯体工事や設備工事において、干渉する箇所を早期に発見し、現場での問題発生を未然に防止することができ、チェックの効率化に繋がるとされています。

生産性向上とコスト削減

設計図や施工図において、図面作成の自動化や修正の容易さにより、作業時間を短縮し、作業効率を上げることができます。

また、BIMを活用しモデリングしたデータから正確な数量を算出することができます。それにより、これまで人の手で計算していた作業がなくなり、BIM活用のみで資材の無駄を削減することが可能になります。この技術は施工者だけでなく積算を行う人にも良い影響があり、プロジェクトの見積もりが早く、正確に行うことができるなどのメリットがあります。

生産性の面では現場にモデリングを早期に導入し、検討する時間を多くすることで、綿密な施工計画が可能になり、工期短縮に繋げることができるとされています。

コミュニケーションの改善

発注者、設計者、施工者、業者でそれぞれで役割は異なりますが、情報の共通な認識が必要となります。1つのプロジェクトにおいて関係者間でのスムーズな情報共有が可能となり、3Dモデルによる視覚的な説明で理解が促進されることにより、それぞれの意思決定が迅速になると考えられます。

施工管理の高度化

施工管理において重視されるQCDSEの質が向上すると考えられます。工程やコスト管理だけでなく、危険箇所の事前把握と安全対策の可視化をすることで事故を減らすことが可能になります。これは建設業界において、少子高齢化や人手不足の問題がある中、BIMによる安全管理をすることで貴重な人材を守ることを意味します。

業界構造の変化

業界においてBIMの導入が盛んになるとBIM技術者の需要が高まり、人材育成が課題になると予想されます。業界は人材不足を抱える中で、大手と中小のゼネコンでBIMの人材確保に差が開く可能性があるのではないかと考えます。また、BIMの存在により、新たなビジネスモデルが生まれる可能性が高まっています。

維持管理・運用への活用

BIMがもたらす影響は建物が竣工した後も継続すると考えます。建物のライフサイクルマネジメントにおいて、建物の設計・施工から維持管理までの一貫したデータ活用することが可能になり、建物のメンテナンスや点検などが容易になると考えます。

それらは設備の維持管理情報のデジタル化に繋がり、運用コストを削減することが可能になります。

BIM導入はゼネコン業界の働き方や生産性に大きな変革をもたらしていますが、導入コストや人材育成など課題も存在します。
今後はAIやIoTとの連携によって、さらなるBIMの可能性が広がると考えられます。

現場でのBIM活用状況の現状

BIMがゼネコン業界に与えるメリットについて理解したところで、実際の現場にはどのように活用されているのでしょうか。

現在の日本の建設現場では、BIMは様々な形で活用されていますが、プロジェクトや企業によって導入レベルに差があります。
主な活用方法は以下の通りです。

施工前の活用(施工方法の検討など)

設計者やBIMオペレーターと呼ばれる人たちが図面を作成・モデリングすることにより、複雑な工程や作業手順を事前に3Dで可視化し、施工方法を検討することに使用されています。 特に躯体工事における、鉄筋・鉄骨同士の納まりや設備配管と構造部材の干渉を事前に確認し、現場での手戻りを防止することに役立っています。

また、BIMは仮設計画におおいに役立っています。 躯体の周囲に設置する仮説足場の検討はモデリングにより無駄が最小限となり、安全性の向上、コスト削減を可能にしています。

足場だけでなく揚重機の配置計画をBIMモデル上で検討し、実際の現場状況を踏まえて検討することで安全性と効率性を確保し、工期短縮に役立てられています。

現場での活用(リアルタイムの情報管理)

タブレット端末による図面閲覧

施工管理者はiPadやタブレットで最新の図面情報やBIMデータを現場に持ち出し、リアルタイムで図面及び3Dモデリングを確認しています。職人さんからの疑問に迷った時、完成イメージをすぐに取り出すことにより正確な情報を素早く提供することができます。

施工状況の可視化

施工管理者やサポートの人が施工予定の箇所と実績の進捗状況をBIMモデル上で色分け表示を行うことで、進捗管理を視覚化できます。これは現場会議での情報共有だけでなく、施主やその関係者などの建築知識が浅い人への共有も有効となります。

3Dモデリングを使用することで相手に分かりやすく専門的な知識や技術を共有することが可能になっています。

導入の課題

部分的な活用が多い(2D図面からBIMへの過渡期)

BIMは導入されてから日が浅いこともあり、全面的なBIM活用を行っているプロジェクトは多くありません。そのため、特定の場面(干渉チェックなど)での部分活用が主流となっています。

また、全面的な活用ができないため、従来の2D図面が必須となります。そのため、2D図面とBIMモデルの両方を作成・維持する必要があり二重作業の問題が発生しています。

設計と施工の連携の円滑化

設計用のBIMと施工用BIMは必要な要素が異なるため、大部分のイメージは同じだが、連携がスムーズでない場合があります。設計図と施工図の違いのように、設計者が作成するBIMモデルが施工者の求めるBIMモデルと完全に一致することはないため、連携不足が生じています。

BIM人材の不足

BIMを扱える技術者が不足しており、現場での活用に制限が生まれています。

BIMは近年導入されたばかりということもあり、若手の社員は馴染みがあり触ることができるが、上司となる中年やベテランの社員のBIMへの知識不足が発生しています。そのため、現場に新しくBIMを導入するというよりも、サポートでBIMを使用することになり、BIMの導入が遅れ、社員同士でBIMの知識に差が生まれている状況があります。

大手ゼネコンでは積極的な導入が進んでいますが、中小規模の現場では限定的な活用にとどまっているケースも多く見られます。また、国土交通省のBIM推進策により、公共工事での活用も徐々に広がりつつあります。

BIMの存在と今後の展望

BIMの存在により業界がどのように発展していくのか。それを踏まえて就活生にどのような影響があるのかを解説していきます。

BIMと持続可能な建設(SDGsへの寄与)

BIMは持続可能な建設にも貢献しています。ゼネコン業界は環境負荷を低減しながら高品質な建築を実現することが求められており、BIMの導入はその解決策のひとつとなります。

BIMを活用することで、エネルギー効率の高い建築設計や、資材の最適化が可能になります。
例えば、BIMを用いたエネルギーシミュレーションにより、建物の断熱性能を最適化し、消費エネルギーの削減につなげることができます。

また、建物のライフサイクル全体をBIMで管理することで、解体時のリサイクル計画も立てやすくなります。
使用される建材の種類や量をデジタル管理することで、再利用可能な資源の把握が容易になります。

このようにBIMの存在が環境負荷の低減や循環型建築の推進に寄与することが当たり前になると考えます。

BIMを仕事にする

BIMの普及に伴い、BIMを専門とする技術者の需要が高まっています。今後のゼネコン業界では、BIMを扱う人がどのように注目されるのでしょうか。

大企業ではBIMエンジニアの採用が密かに始まっています。プロジェクトのBIM専門のエンジニアとして、設計者や施工者をサポートする職種があります。

具体的な仕事内容としては現場で納まりが難しい躯体工事のモデルをBIMで作成し、建築の知識を持って施工者と打ち合わせや会議を行います。
よって、施工計画の最適化を支援する仕事になります。

また、ゼネコンなどの会社はBIMの使用率を上げるため、BIMエンジニアを講師としてBIMの講習や研修を行っています。そのためエンジニアとしてだけでなく、プロジェクト全体の管理を担当し、設計・施工・維持管理の各フェーズでBIMの活用を統括する役割もあります。

このように、BIMはゼネコン業界にとって不可欠な技術へと成長しています。
今後の建設業界において、BIMを活用できる人材はますます重要視されるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はBIMという存在がゼネコン業界にどのような影響を与えるのか。また、就活とBIMがどのように関連していくのかについて紹介してきました。

BIMが得意な人やゼネコンに就職を考えている人は、BIMが社会にどう影響しているのか知識として持っておくとよいでしょう。また、BIMを職業にすることも視野に入れ、就活の幅を広げていってください。

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