ハウスメーカー特有の選考である「即日設計」とは?出題事例や事前対策について解説します

ハウスメーカーなどの住宅業界の就職活動では、企業によって、選考の過程で「即日設計」という課題が課される場合があります。
即日設計とは、設計のお題が与えられ、短時間で設計案を作成し、提案を行う課題です。
緊張感のある限られた時間内で、密度の高い提案を完成させるためには、戦略的なアプローチと事前準備が大切です。
今回は、即日設計において効果的な事前準備・対策の方法をご紹介します。
ぜひ住宅業界を志望する方は、対策を万全にして、選考に臨みましょう!
この記事の目次
即日設計の出題イメージ
まず即日設計のイメージを持つために、出題内容の事例をご紹介します。
当然、企業ごと、年度ごと、人ごとに出題内容や形式が変わることが想定されるので、参考として把握しておきましょう。
【出題例(大手ハウスメーカー)】
出題内容:女性暮らす2階建て戸建住宅
制限時間:90分
回答形式:手書き(筆記用具自由)
必要図面:建物平面図(1・2階)※駐車場位置明記有(手書きパースは必須ではない必須ではないが時間があれば表現できた方が良い)
設定条件:新築の動機、家族構成(ライフスタイル・趣味)、間取りの希望、敷地条件
即日設計の基本的な流れ
即日設計の試験時間(プレゼン資料完成までの時間)は、1〜3時間が一般的で、効率よくアイデアをまとめる必要があります。また、回答出題形式は傾向として、手書きの傾向が多いです。
制限時間によってペース配分が変わってくるため、これからご紹介する時間配分をベースとしながら、全体の制限時間に応じて、柔軟に対応するイメージを持つと良いでしょう。
完成させることが大前提となるため、時間配分を意識し、各工程を計画的に進めることはとても大切です。
全体の流れ
まず全体の流れは、以下の通りです。
①課題の把握・コンセプトの設定
②プランニング
③図面やパースの作成
④プレゼンシートの作成・最終確認
⑤プレゼンテーション
ここからは、各工程ごとのポイントと、時間配分の目安について解説します。
全体時間:90分の場合
課題の把握・コンセプトの設定(約20分)
・設計条件(敷地条件、用途、規模、法規、お客様の要望など)の整理
・重要なポイントの洗い出し
・求められている空間を読み解き、設計テーマやコンセプト(機能性、快適性、景観)の方針決め
プランニング(約20分)
・各空間の配置を大まかに決めるための、ゾーニングとボリュームの検討と動線計画(人や車の動き)
・設計テーマやコンセプトとの矛盾がないかの確認
図面やパースの作成(約30分)
・人や家具、開口幅や天井高さなど、基本的な住宅のスケール感を意識し作図
・平面図の基本的な図面表記も確認
・余裕があれば、パースの表現を検討
パースがあると、より伝わりやすく密度の高いプレゼンテーションシートを作ることができます。
プレゼンシートの作成・最終確認(約20分)
・作成したプランニングのメモや図面、パースを規定のプレゼンシートにレイアウトし全体を整理
・設計条件と図面を照らし合わせ、矛盾や説明不足がないか確認
ここまでが即日設計の成果の取りまとめまでの流れです。
次のプレゼンテーションは、企業ごとに形式が異なる場合が多いため、汎用的なポイントを解説します。
プレゼンテーション
プレゼンテーションのポイントは、設計テーマや特に伝えたい点、設計主旨を整理し、簡潔に伝えることです。
住宅は、お客様の家族構成や住まいへの要望を実現し、生活スタイルに寄り添った提案の仕方(聞き手が、その設計で快適な生活をイメージできるような話し方)を意識し、論理的な根拠なども交えながら、説得力のあるプレゼンテーションを行えるようにしましょう。
即日設計に向けた具体的な対策
短時間で完成度の高いプレゼンテーションを行えるように、基本的なプランニング力や作図やパースの表現力を鍛えましょう。
定番の住宅のプランをストックする
戸建て住宅や賃貸住宅など、各ハウスメーカーによって様々な事業を行っていますが、住宅の基本プランの知識を持っておくことで、短時間でプランニングをスムーズに行うことができます。世帯人数別の一般的な広さや2LDK/3LDK/4LDKや吹き抜け/スキップフロア/中庭/ガレージなど、適切な位置関係などを整理しておきましょう。
情報収集には、住宅雑誌などからさまざまなバリエーションの図面(平断面)を取り揃え、設計意図を確認しながら、大まかなプラン構成のパターンをインプットすると良いでしょう。
敷地条件に応じた対応力を身に付ける
建物を建てるときに重要なのは、方角です。東西南北それぞれに、どの部屋を配置すべきなのか。また、敷地の変形地や狭小地の場合の立面計画の仕方、隣地や道路との関係を配慮した開口計画などです。
練習方法としては、敷地条件をランダムに決めて、多くのパターンの間取りを考える練習をすることで、鍛えることができます。
手書きスケッチのスピードをあげる
短時間でプレゼンテーションを魅力的に仕上げるために、素早くアイデアスケッチを描く力が必要です。
時短のためのテクニックとして、
・定規を使わずにフリーハンドで描く(スケール感の意識)
・最小限の線で伝わる図面を意識
・家具や人のアイコンを簡単に描く練習
があります。
練習方法は、自分が描きやすいテクニックを見つけ、制限時間を設けて1プランを描き完成させる練習を繰り返すなどです。
プレゼンテーション力を強化する
プレゼンテーションを行ううえで、伝わりやすい説明ポイントを整理し、端的に伝えることが大切です。
まず、コンセプトを明確に提示(例:「だんらんを楽しむ明るいLDK」)し、次の流れではポイントを3つほどに絞り、魅力をアピールします。(例:「家事を楽にする動線」「多目的収納」「子供を見守れるキッチン」)
そして、要望に対して、どのような提案を行ったか。その提案をすることでどのような暮らしを提供できるかなどを説明します。
練習するときには、制限時間を3~5分で話す練習やスマホで録画し、自分で振り返りながら練習を重ねることで慣れることができます。
過去の出題傾向をチェックする
選考を受ける各ハウスメーカーの過去問の情報を得て、出題傾向や特徴をあらかじめ捉えておきましょう。
例として、A社では二世帯住宅、B社では狭小地の住宅などが挙げられます。
情報収集の手段として、OB訪問や企業説明会で情報収取をすることもおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は住宅業界の就職活動で課される場合がある、即日設計の基本的な流れや具体的な対策などについてご紹介してきました。
即日設計の対策は、練習を重ねることが大切です。可能な限り、時間を確保し、余裕を持った対策をしていきましょう。
ハウスメーカーの就活において、各企業の選考内容の特徴を把握しておくことは有効であり、対策も行いやすくなるため、情報整理のためにも、積極的に分析を行うようにしましょう!