住宅が完成するまでのイメージを持っておこう!戸建住宅が建つまでの施工の流れを解説します

2025年5月3日 更新

はじめに

戸建住宅が完成するまでの工程は、大規模建築とは異なり、比較的短期間で進行しますが、品質や安全性を確保するために多くの手順が必要になります。

以下の記事では、ハウスメーカーが手掛ける住宅の一般的な施工プロセスを紹介していきます。この記事を読むことで、住宅が完成するまでのイメージを持ち、業務として住宅に携わるイメージを掴むこともできます。

施工の具体的な工事手順

【0.着工前準備】

戸建て住宅の着工前には、スムーズな施工を行い、品質を確保するために様々な準備が必要です。

①施主との打合せや近隣挨拶
建築プランの確定や、予算・資金計画の確認、工期のスケジュールの調整、トラブル回避のための近隣住民への説明・挨拶を行います。

②設計・申請手続き
建築物を新築・増築・改築する際に法律や条例に適合した建築計画であることを確認するために行う”建築確認申請”や、工事を行うための開発許可、道路占用許可、水道工事申請などの各種許可申請、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアした住宅を証明する長期優良住宅やZEHなどの認定手続きなどを行います。

③土地の準備
地盤調査や地盤改良工事、隣地との境界線を明確にする境界確認・測量や樹木や敷地の整備のために障害物の撤去などを行います。

④仮設工事の準備
施工に必要な環境を整えるため、仮設電気や水道の手配、現場職人用の仮設トイレの設置や安全対策や近隣配慮のための工事用フェンス・防音シートの設置、資材置き場の確保や搬入動線の確認を行います。

⑤着工前確認
設計者を交えた施工図・工程表の最終確認や職人や協力業者との安全管理や工程の打合せ、近隣住民への騒音や振動対策などの工事説明・挨拶回りを行います。

⑥地鎮祭
土地の神様への祈願のための神主によるお祓いを行います。

⑦基礎工事の準備
建物の正確な位置や高さを決める遣り方や安全確保のための仮設足場の設置を行います。

【1.基礎工事】

基礎工事は建物を支える重要な工程であり、建物の強度や耐久性に大きく関わります。
建物の重さを地面に均等に伝え、建物が沈んだり傾いたりする「不同沈下」を防ぐことが目的です。

また、基礎は地面から隔て、湿気やカビから室内を守るとともに、床下の配管工事などのメンテナンスに人の作業スペースとしても必要な土台です。

一般的な戸建て住宅の基礎工事には、「ベタ基礎」「布基礎」「独立基礎」があります。

①遣り方(やりかた)出し
建物の正確な位置・高さを決めるため、杭や水糸を使って基準を設定します。

根切り(掘削)工事
基礎を作るために地面を掘る工程です。
布基礎なら必要部分のみ、ベタ基礎なら全面を掘っていきます。

③地業工事
掘削した地盤を安定させるため、砕石を敷き、転圧し、防湿シートや捨てコンクリートを施工します。

④基礎配筋
コンクリートの強度を高めるための鉄筋を組む作業です。

⑤コンクリート打設
型枠の中にコンクリートを流し込む工程です。
振動機(バイブレーター)で気泡を抜きながら均等に施工し、養生(乾燥・硬化)期間を置いた後、型枠を外します。

【2.躯体工事】

躯体工事は、工法によって詳細な手順は異なりますが、今回は大枠を捉えてもらえるような項目をご紹介していきます。

①土台敷き
土台敷きの目的は、建物を基礎コンクリートの上に安定して建てられるように基礎と建物の間に構造体を構築することです。基礎の上に木材(または鋼材)を設置し、建物の骨組みを支える準備をします。アンカーボルトで固定し、床下の湿気対策も行います。

②建方(たてかた)
建方とは、柱や梁、桁を組み立て、建物の骨組みを形成する工程のことです。クレーンを使い、上棟(屋根の一番上の部材を設置)まで進める作業です。

③耐力壁、床の施工
建物の強度を高めるために、耐力壁(構造用合板や筋交い)を設置します。
床の下地合板を施工し、剛性を確保します。

【3.外装工事】

外装工事は、住宅の美観を整えるだけでなく、防水・断熱・耐久性を高める重要な工程です。
外装の劣化や損傷が原因で発生する事故を防ぎ、安全な住環境を確保することも目的です。

①防水シート・通気胴縁の設置
外壁下地に防水シートを貼り、雨水の侵入を防ぐために透湿防水シートを施工します。
壁の内側に通気層を作り湿気を逃がすために通気胴縁という部材を設置します。

②外壁施工
サイディング、モルタル、タイル、ガルバリウム鋼板などを設置します。
外壁同士の隙間を埋める目地部分にコーキングを施し、防水性を高めます。

③屋根工事
屋根の下地(野地板)を施工し、その上に防水シート(ルーフィング)を敷きます。
その上に瓦、スレート、金属屋根などを取り付けます。

④開口部(窓・ドア)施工
窓や玄関ドアを設置し、周囲に防水処理を施します。サッシの気密性・防水性を確保し、歪みがないか確認します。

⑤仕上げ・最終チェック
外壁の塗装や仕上げを行い、美観と耐久性を向上させます。建物全体の防水・気密・断熱性能を最終確認し、補修が必要な箇所を修正します。

【4.内装工事】

①断熱材施工
断熱・防音効果を高めるため、壁や天井に断熱材(グラスウール、ウレタンフォームなど)を設置します。また、結露を防ぐため、気密シートを施工します。

②間仕切工事
石膏ボードや木材を使い、部屋を仕切る壁を作ります。戸建て住宅の場合、壁の内部に電気配線や給排水管を通すことが多いです。

③天井・床仕上げ
天井に石膏ボードやクロスを貼り、仕上げを行います。
床材(フローリング、クッションフロア、畳など)を施工します。

④設備工事
戸建て住宅に必要なキッチン、トイレ、浴室などの住宅設備を設置します。この時に電気・給排水・換気設備を接続し、動作確認を行います。

⑤クロス・塗装工事
壁・天井にクロス(壁紙)を貼る、または塗装を施して仕上げます。仕上げ後、傷や汚れの最終チェックを行い、補修します。

【5.仕上げ・検査】

①社内検査・役所検査
社内検査では、施工会社が自主的に仕上がりや不具合を確認します。
役所検査では、建築基準法に基づく完了検査を受け、適合証明を取得します。

②建物最終チェック
施主(建築主)と施工会社が一緒に仕上がりを確認し、傷・汚れ・動作不良(ドア、窓、設備など)をチェックします。

③手直し工事
最終チェックで見つかった不具合の修正を行います。例として、クロスの補修、設備調整、塗装の手直しなどを実施します。

④引き渡し
施主に建物を正式に引渡しをするため、鍵を渡します。このタイミングで設備の使い方やメンテナンス方法の説明を行います。施主が確認し、問題なければ引き渡し完了となります。

住宅に用いられる工法の比較

どのような工法にも、強みや弱点は様々であり、各ハウスメーカーは特定の工法に特化しています。

工法によって、間取りの自由度、耐久性、耐震性、耐火性、工期、コストなどが異なります。自社技術を駆使して弱点を補うことで商品の強みとして住宅を提供しています。

各工法による技術や性能、価格帯などは企業のブランド力や戦略によっても異なるため、「コストを抑えやすい工法だから安価に売り出している」というわけではありませんのでしっかりとした企業研究を行うことが大切です。

ハウスメーカー業界における各工法の特徴

在来工法(木造軸組工法)

「自由な間取り・デザイン重視」
柱と梁を組み合わせることで自由な設計が可能なため、注文住宅として採用されることが多いです。特徴として、吹き抜けや大開口の窓が作りやすく、デザインの自由度が高いことがあげられます。

ツーバイフォー工法(2×4工法)

「耐震性・断熱性・コスト重視」
工期の短縮によるコストの削減が可能なため、建売住宅や規格住宅に多く採用されています。特徴としては、気密・断熱性に優れ、耐震性が高く、環境性能が良いが「面」で構成されているため間取りの自由度は低いことがあげられます

鉄骨造(S造)

「コストを抑えつつ耐震性の確保」
戸建て住宅や中層ビル向けに採用されることが多いです。特徴としては、工事生産された鉄骨部材を使うことで、品質が安定し、工期が短くできることがあげられます。

鉄筋コンクリート造(RC造)

「高耐久・高遮音・高級志向」
高級住宅やマンションに採用されることが多いです。
特徴としては、遮音性・耐火性・耐久性は高いが、コストがかかるため一般的な戸建て住宅では少数派ということがあげられます。

まとめ

ハウスメーカー業界の就活を進めていくうえで、住宅がどのような工程で作られていくかというイメージを持っておくことで、入社後の仕事内容のイメージを持つことにもつながるため、あらかじめ知っておくことが重要です。

「住宅に興味がある」という印象を与えるためにも、本記事で紹介した住宅が完成するまでのイメージを持つことや、各企業の技術力などの分析を進め、熱量をアピールできるようにしましょう。

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