建築学生必見!知識で差がつくゼネコン業界の「構造形式と実務フロー」について知ろう!

2025年4月13日 更新

建設業界への就活がいよいよ本気モードに突入する時期です。しかし、志望動機や企業研究だけではなく、業界の基礎知識を身につけることがとても重要です。

特に「RC造・S造・SRC造・PC造・木質ラーメン造」の違いと、実際の工事の進み方を理解していると、面接で深みを出すことができます。

この記事では、それぞれの構造の違い、工事の流れ、さらに就活にどう活かすかまで、詳しくまとめていきます。

主な構造形式とその違い

下記に構造形式の特徴をまとめました。

比較表を見ると、用途別にどんな構造形式が適しているのか理解することができます。構造形式の特徴を理解することで、身近な建築物の構造の違いが見てわかるようになるでしょう。
また、ゼネコンによって得意な構造形式や建築物は異なるので、企業や建物ごとに比較をしてみると、構造形式の理解度を面接に活かすことができるでしょう。
             

構造形式の特徴比較

RC造(鉄筋コンクリート構造)

RC造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造です。鉄筋は引張力に強く、コンクリートは圧縮力に強いという特徴を持っています。この2つを組み合わせることで、非常にバランスの良い強度を発揮します。

マンションや中規模以上のビルでよく採用されており、耐火性や耐震性が高く、防音性も優れています。
ただし、構造自体が重いため、基礎も強固にする必要があり、施工期間も比較的長くなる傾向があります。

S造(鉄骨構造)

S造は、鉄骨、つまりスチールをフレームにして建てる構造です。軽くて強いため、オフィスビルや商業施設など、大規模空間を確保する建物に適しています。

工期が短く、設計の自由度が高いというメリットがありますが、火に弱いため耐火被覆が必要となり、また錆びやすいため定期的なメンテナンスも欠かせません。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート構造)

SRC造は、S造(鉄骨)とRC造(鉄筋コンクリート)を組み合わせたハイブリッド型の構造です。
鉄骨の強さとコンクリートの耐久性を兼ね備えており、高層ビルやタワーマンションで多く採用されています。

耐震性、耐火性ともに非常に優れている反面、工期やコストはRC造よりもさらにかかるため、施工管理者の手腕が問われます。

PC造(プレキャストコンクリート造)

PC造は、工場などであらかじめ製作したコンクリート部材(プレキャスト部材)を現場に運び、組み立てていく工法です。部材の品質を安定させることができ、現場作業の効率化や工期短縮が可能になります。

一方で、現場での柔軟な対応が難しく、部材の運搬や接合部の施工に高度な技術が求められる点がデメリットです。

木質ラーメン構造

木質ラーメン構造は、鉄骨やコンクリートではなく、主に集成材などの木材を使って柱と梁を剛接合する構造方式です。自然素材ならではの温かみがあり、木のしなやかな特性を活かして高い耐震性を発揮します。

環境配慮型建築にも適しており、近年注目されていますが、防火対策や耐久性の確保には十分な配慮が必要です。

それぞれの構造形式には一長一短があり、用途や建設条件によって最適なものが選ばれます。
就活においては、各構造の特徴とメリット・デメリットを正確に理解しておくことが大きな強みになります。

基本的な工事の流れ

調査・設計フェーズ

最初に行うのは調査・設計フェーズです。

この段階では、建設予定地の地盤調査を実施し、土地の状態を把握します。その上で、構造設計、意匠設計、設備設計などを進め、建物全体の設計図を完成させます。
この段階での正確な調査と設計が、後の施工品質を大きく左右するため、非常に重要な工程となります。

施工準備フェーズ

設計が完了すると、次は施工準備フェーズに移ります。
ここでは施工計画書を作成し、工事の具体的なスケジュールや手順、安全管理体制などを細かく定めます。
また、必要な資材や機材、人員の手配も行い、工事開始に向けた万全の体制を整えます。

基礎工事

施工準備が整ったら、いよいよ基礎工事がスタートします。
基礎工事では、まず杭打ちを行い、建物を支えるための深い杭を地中に打ち込みます。その後、地中梁や基礎スラブの施工を進め、建物全体を支える頑丈な土台を作り上げます。

基礎工事の品質は、建物全体の安定性に直結するため、重要な工事となります。

躯体工事

基礎が完成したら、次は躯体工事に進みます。躯体工事では、建物の骨組みをつくる作業を行います。RC造の場合は鉄筋とコンクリート、S造の場合は鉄骨、SRC造の場合は鉄骨とコンクリートの組み合わせによって、それぞれ異なる方法で骨組みを構築していきます。この工程が建物の形を決定づけるため、非常に重要です。

仕上工事

躯体が完成したら、仕上工事に移ります。仕上工事では、内装や外装、設備工事を進めます。具体的には、壁や天井の仕上げ、床材の敷設、電気・給排水設備の取り付け、空調設備の設置などを行います。建物の見た目や使い勝手を左右する部分なので、細部にわたる丁寧な施工が求められます。

検査・引き渡し

最後に行うのが検査と引き渡しです。竣工検査では、設計図通りに施工されているか、安全性に問題がないかを徹底的にチェックします。不備があれば是正工事を行い、最終的にすべての検査に合格した後、オーナーへ建物を引き渡します。この工程をクリアすることで、プロジェクトは正式に完了となります。

構造別の施工の具体的な工事の進み方

RC造の場合

1.型枠設置
建物のコンクリート部分を形作るために、まず型枠を設置します。型枠の精度がそのまま仕上がりに直結するため、位置や寸法管理が非常に重要です。

2.鉄筋組立
設置した型枠内に、設計図通りの鉄筋を丁寧に配置し、結束線でしっかり固定します。鉄筋の配置ミスは構造強度に直結するため、慎重な作業が求められます。

3.コンクリート打設
ポンプ車などを使用して型枠内に生コンを流し込み、バイブレーターで振動を与えながら隙間なく打設します。均一な密実性を確保するために、打設スピードやタイミングの管理が重要です。

4.養生・脱型
打設後は適切な温度・湿度管理を行いながら養生し、設計強度に達したのを確認して型枠を外します。例えば、夏場のスラブのコンクリートは打設後、2、3日間水を蒔く散水養生やシートを被せることで乾燥やひび割れを防ぎます。

S造の場合

1.鉄骨製作
鉄骨部材を工場で高精度に製作します。ここでの精度不足は現場施工に大きく影響するため、厳しい品質管理が行われます。鉄骨の実物が完成すると、施工者が工場に行き実際に製品を見て検査を行い、異常がないか確認します。

2.鉄骨建方
大型クレーンを用いて現場で鉄骨を順番に組み立てます。重機作業と人力作業の連携が必要で、常に安全確認を徹底しながら進めます。

3.接合作業
ボルト締めや溶接によって、各鉄骨部材を強固に接合します。鉄骨建方と同時並行で行われ、溶接部の検査(超音波探傷検査など)も同時に実施されることが多いです。

4.耐火被覆
火災に備えて鉄骨表面に耐火材を吹き付けたり、巻き付けたりします。建物の耐火性能を確保するため、厚みや施工精度の管理が重要です。

S造は工場製作の割合が高いため、現場作業はスピード勝負となることが多いです。1〜3ヶ月の間で大部分の鉄骨が建てられるので施工者にスピード感覚や現場対応力が求められます。

SRC造の場合

1.鉄骨建方
まずS造と同じ手順で鉄骨フレームを組み立てます。SRC造は内部に鉄骨フレームがあるため、建物の芯となる部分です。

2.型枠設置・鉄筋組立
鉄骨を囲うように型枠を設置し、その間に鉄筋を配置します。鉄骨と鉄筋が正しく組み合わさることで、SRC造特有の強度が生まれます。

3.コンクリート打設
鉄骨と鉄筋を包み込むようにコンクリートを打設します。このとき、RC造より正確な鉄骨とコンクリートの密着性を高めるための適切な打設管理が求められます。

4.養生・脱型
コンクリートが十分な強度に達するまで養生し、型枠を取り外します。SRC造特有の重い構造体を支えるため、特に慎重な管理が必要です。

SRC造は施工者の目線からしても、図面の難易度が上がり、現場でのミスや問題を見つけることが難しくなります。また、検査項目もRC造、S造それぞれの項目より多くなるため、現場以外の面でも厳しい管理が求められます。

PC造の場合

1.部材製作
プレキャストコンクリート部材を専用工場で製作します。高い精度と品質管理のもと、鉄筋配置や型枠精度にも厳しい基準が設けられています。

2.現場搬入
製作された部材を大型トレーラーなどで現場へ搬入します。搬入経路やクレーン計画も事前に綿密に立てておく必要があります。PC搬入は鉄骨部材と同様に大規模な搬入となるので、道路許可申請や他の工事との調整が必要になります。

3.建方・組立
クレーンで部材を吊り上げ、設計図に基づいて順番に組み立てます。組み立て後には仮設支保工などで安全性を確保します。

4.接合・補強
各部材の接合部に後打ちコンクリートや溶接を施し、構造体全体を一体化させます。ここでの精度不足は最終的な耐震性に影響するため、慎重な作業が求められます。また、一般のコンクリート同様にPCにも強度管理が必要になり、仮設物の解体期間には十分な注意が必要になります。

建築工事でPCを部分的に使用する箇所として、犬走・バルコニー・パラペット部分などがありますが、どれも仕上げ物になるので、現場作業も丁寧な扱いが求められます。工期短縮と品質確保の両立が求められるため、高度な現場マネジメントが求められます。

木質ラーメン構造の場合

1.部材搬入
工場で加工された集成材の柱・梁部材を現場に搬入します。湿度管理や傷防止対策も徹底されます。

2.骨組み建方
クレーンや手作業を併用して、柱と梁を順番に組み立てます。ボルト接合や専用金物で強固に固定し、ラーメン構造特有の剛性を持たせます。

3.防火・防腐処理
耐火・耐久性を向上させるため、必要に応じて表面処理や耐火被覆工事を実施します。特に公共建築物では厳しい基準をクリアする必要があります。

4.完成・仕上げ
骨組みが完成した後、外装・内装工事へと進みます。木の温かみを活かしたデザイン仕上げが特徴ですが、同時に耐震性・耐久性の確保にも十分注意します。

5.防火対策として表面処理や耐火被覆工事を施すこともあり、施工後も木材の乾燥収縮や耐久性に配慮しながらメンテナンスを行う必要があります。

就活に活かす方法

面接での「構造理解アピール」

面接では、「私はRC造・S造・SRC造それぞれの特徴と工事フローを理解しています」とサラリと説明できると、現場感を持っている人材として高く評価されます。

単なる座学だけでなく、実際に現場をイメージして話す力をアピールすることが重要です。インターンや現場見学で多くの現場に行き、実際に見る機会を増やしていきましょう。

志望動機で「構造×企業特性」を絡める

たとえば、「貴社はRC造の高層マンション開発を多く手掛けられているので、RC造の品質管理に強い施工管理技術を極めたいと考えています」といった具合に、企業の強みと自分の興味をリンクさせて志望動機を組み立てると、説得力が大幅に増します。

インターンや面接で「具体例トーク」

インターンや現場見学での経験を、「S造現場見学で、建方のスピードに衝撃を受けました」や、「RC造のコンクリ打設のとき、温度管理が非常に重要であると学びました」といった具体的なエピソードに落とし込んで話すと、リアリティが一気に増して面接官にも刺さります。

面談の際に具体的に「このような構造が見られる現場に行きたい」とリクルーターや企業の人にリクエストできると良いでしょう。
学生はどうしても住宅などの身近な構造である木造に興味がいきがちですが、木造以外の構造で知識や体験談を持って就活を進められると有利になるでしょう。

まとめ

建設業界の構造形式にはそれぞれに強みも弱みもあり、工事の進め方もまったく異なります。それを理解しておくと、就活において非常に大きな武器になります。

施工管理志望でも設計志望でも、「構造と施工のリアルなつながり」を語れることは大きなアドバンテージになります。今からでも間に合いますので、現場見学に行ったり、施工ステップをイメージトレーニングしたりして、単なる知識ではなく「言語化できるレベル」を目指しましょう。

きっと未来の自分に役立つはずです。今日から一緒にレベルアップしていきましょう!

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