建設業界で関わる建物一覧!建築基準法の用途から学ぶ“仕事の広がり”

2025年12月30日 更新

これから建築・土木の学生が就職活動を始めるにあたって、自分がどの分野に興味があるのか、またこれまで学んできたことをどのように活かせるのかを整理することはとても重要です。

建設業界は住宅やオフィスだけでなく、学校や病院、工場、空港など、社会のさまざまな活動を支える建物に関わる仕事が広がっています。

そこで、建物の用途を段階的に整理しながら、建築・土木の学生がどのような仕事に携われるのかをわかりやすく紹介します。

都市計画法や建築基準法を基に、建設をする目的や建物の用途を知っておくと、設計業務や工事現場で守るルールや各企業ごとの建物の扱い方の違いや強み、また、自分がどんな仕事に向いているか整理するのに役立ちます。

都市計画法と建築基準法の関係を押さえよう

建設業界で扱う「建物や施設の種類」を理解するうえで、まず知っておきたいのが 都市計画法建築基準法 の関係です。

都市計画法:まち全体をどう使うかを決める法律

「住宅地」「商業地」「工業地」など、どんな用途の建物や施設を建てられるかを定めます。

例:「住宅地では工場や大きな物流施設を建てられない」「商業地では高層ビルや駐車場を作れる」などのルールがあります。

土木分野では、道路や河川、公共施設などの配置計画にも影響します。まち全体のインフラ整備や交通計画とも密接です。

建築基準法:個々の建物をどう建てるかを定める法律

構造・防火・避難・日影など、建物そのものの安全性や性能を規定します。

例:「耐震基準に沿った構造設計」「防火区画の設置」「一定規模以上の建物に必要な避難経路の確保」などの基準があります。

土木分野では、橋やトンネル、堤防、ダムなども同様に構造安全や防災基準に沿って設計・施工されます。

 2つの法律の関係

・「どこに建てられるか」は都市計画法
・「どう建てるか」は建築基準法

という役割分担になっています。

さらに、
建築基準法は必ずしも都市計画法の用途地域ルールに完全に縛られるわけではなく、
特定用途や特例措置によって例外的に建築が認められるケースもあります。
(例:公共施設の特例、地区計画による独自ルールなど)

建築・土木のどちらの分野でも、設計や施工はこの2つの法律の枠組みを理解したうえで進める必要があります。

建築・土木の学びを活かすフィールド

建築系・土木系の学生は、それぞれの専門性を生かして さまざまな“空間”や“インフラ”の整備に関わる仕事で活躍できます。ここでは、図に示した3つの領域(建築分野/建築×土木分野/土木分野)に分けて、それぞれが担う役割を紹介します。

建築分野:人が「過ごす空間」をつくる

建築系学生は、建物そのものをつくる専門家として活躍します。建物の用途に応じて、空間の快適性・安全性をデザインし、実際に形にするまでを担います。

・住宅・商業施設・オフィスなどの建築設計
 意匠・構造・設備の観点から、理想の空間をデザインします。
建築施工管理
 現場で工事の工程や環境、安全、品質や原価の管理を担当します。
設備設計・インテリア計画
 空調・給排水・電気設備の設計や、室内のデザイン計画などを行います。
意匠(デザイン)・構造設計
 外観や空間の美しさ、建物の強さ・安定性を決める中核業務を行います。

建築学生は、人が使う“建物の中身”に深く関わるのが特徴です。

建築 × 土木分野:建築とインフラの境界をつなぐ

空港・駅・港湾などの 巨大な公共施設 は、建物だけでも、地盤や道路だけでも成り立ちません。建築と土木の両方の技術が組み合わさってはじめて「安全に使える大規模インフラ」になります。

例えば、こんな場所が対象です

・空港:滑走路(土木)+ターミナルビル(建築)+周辺整備(土木)
:ホームや線路(土木)+駅舎(建築)+駅前広場(土木)
港湾施設:防波堤(土木)+ターミナルビル(建築)+コンテナヤード(土木)

一つの施設の中に、
「建物」+「インフラ」+「都市計画」 がすべて詰まっています。

以下のような強みを生かすことができます

・建築出身なら:建物の設計、利用者の動線設計、安全で快適な空間づくり
・土木出身なら:地盤・構造・道路・水の流れなど、大規模インフラの基盤づくり

どちらも:大きな施設を“総合的に”理解し、プロジェクト全体を動かす力が必要になります。

空港や駅、港は、 人や都市をつなぐ“まちの中心”となる存在です。スケールの大きいものづくりに挑戦したい人、公共性の高い仕事をしたい人にぴったりです。

土木分野:まちの「基盤インフラ」をつくる

土木系学生は、社会の安全を支える 道路・橋・河川・上下水道などの“土台”をつくることに携わることができます。

・道路・造成・上下水道の計画・施工管理
 都市を支えるライフラインづくりを行います。
橋梁・トンネル・河川改修
 高度な構造技術が求められる、スケールの大きな分野です。
ダム・護岸・緑地整備
 防災・減災や環境保全に直結し、地域の安全性向上に貢献します。
土木施工管理
 公共工事を中心に、品質・工程・安全を管理する重要な役割です。

建築は「建物そのもの」をつくり、空間の快適性や美しさを追求する仕事です。
一方で土木は、「まちや国を支える基盤全体」をつくり、社会の安全性や機能を支える仕事です。

近年では、空港・駅・港湾施設のように、建築と土木の知識を組み合わせて進める 大型プロジェクト も増えており、両分野の役割がより密接につながり始めています。

▼建築・土木の職種を詳しく知りたい方へ

建築土木にまつわる 職種の一覧と、それぞれの仕事内容をわかりやすく整理した記事 も用意しています。「どんな働き方があるのか知りたい」「自分に向いている職種を考えたい」という方は、こちらもぜひ参考にしてください。
【就活生必読】どんな仕事が世の中にある? 建築土木にまつわる職種の全体像をご紹介!

建築基準法の用途分類とは?

建築基準法では、建物を用途ごとに分類し、それぞれに防火・避難・構造などの基準が定められています。この分類は、設計図を描くときや、建築確認申請を行う際の基礎となる考え方です。

「建築基準法の用途分類」とは、都市計画法で建物を“建ててよい場所”が決まったあとに、その建物の“用途に応じた安全基準”を定めた仕組みです。大きく分けると、建物の用途は次のようなグループに分類できます。

「大きな4つの分類」でイメージしよう

建設業界の仕事を俯瞰すると、関わる建物は次の4つに大きく分けられます。

住宅系(暮らしを支える)

一戸建て、マンション、集合住宅など、私たちの暮らしに直結する建物です。ハウスメーカーやゼネコン、設計事務所などが関わり、設計、施工、リフォーム、維持管理まで幅広い業務があります。

建築学生は間取りや意匠、設備計画などに関わる一方、土木学生は宅地造成や上下水道、道路といったインフラ部分で力を発揮します

商業・オフィス系(働く・買う場を支える)

オフィスビル、商業施設、店舗など、人が働き、買い物をする場を提供する建物です。デザイン性と利便性を両立させる空間づくりが求められ、意匠設計、インテリア設計、設備設計などが活躍します。

大型施設の場合は、土木学生が駐車場や敷地内の動線計画、外構・地盤改良などに関わることもあります。

公共・教育・医療系(地域を支える)

学校、病院、庁舎、図書館など、地域社会に不可欠な施設です。多くは入札方式で進む公共プロジェクトで、耐震性、バリアフリー、環境配慮といった“人にやさしい設計”が重視されます。

建築・土木の両方の分野が関わり、建物そのものの設計だけでなく、周囲の道路整備や排水、公共空間との連携も重要です。

産業・インフラ系(経済を支える)

工場、倉庫、空港、駅、港湾など、生産や物流、交通を支える施設です。高度な構造や大規模施工が求められることが多く、建築と土木が密に連携してプロジェクトを進めます。

土木学生は地盤改良、橋梁・滑走路などの構造物設計や施工管理、建築学生は工場や駅舎など建物部分の設計に関わります。

就活でよく見る「中分類」で整理してみよう

就活でよく見る“中分類”で整理してみましょう。実際の求人や企業紹介では、次のような分類で紹介されることが多く、「自分はどの建物づくりに関わりたいか」 を考えるヒントになります。

この一覧表は、就活でよく出てくる「建築分野の中分類」を整理したものです。建設業界には多種多様な建物・領域がありますが、ここに示した分類がすべてではありません。

建築分野は会社ごとに担当領域が大きく異なります。

同じ分野でも、構造設計を行う会社、まちづくりを担う会社、内装・空間設計を専門とする会社など、関わる範囲は企業によってさまざまです。そのため、これは「自分が興味のある領域をイメージするための表」 として活用してみてください。

建築系学生は意匠・構造・設備などの観点から建物そのものに向き合う傾向があり、
土木系学生はインフラや大規模構造、まちの基盤づくりを担う傾向がありますが、
分野同士が重なるプロジェクト(空港・駅・アリーナなど)も増えてきています。

就活では、この表を参考にしながら、
「自分はどんな建物・どんな役割に興味があるか」 を探していくのがおすすめです。

建築・土木の企業タイプの分類を理解しよう

建設業界には、建物や施設を「つくる」企業だけでなく、設計・計画・開発・設備など、さまざまな立場でプロジェクトに関わる企業があります。ここでは、建築・土木学生が就職活動を進めるうえで知っておきたい 企業タイプの一覧 を整理しました。

たとえば、ゼネコン(総合建設会社) はプロジェクト全体を統括し、設計から施工、工事管理までを一貫して行う企業です。

その一方で、サブコン(専門工事会社) は空調・電気・内装などの特定分野に特化して施工を担い、マリコン(土木系専門工事会社) は橋梁・港湾・滑走路など、大規模な土木構造物を専門に手がけます。

また、住宅分野では ハウスメーカー が戸建て住宅を中心に、設計事務所 がデザイン性の高い建築やリノベーションを担当。

公共・行政系 の職員は学校や病院、道路などの公共施設を計画・整備し、インフラ系企業 は鉄道や空港などの社会基盤を整備・管理します。

建築系学生は、意匠設計や設備計画、施工管理など「建物のかたちをつくる仕事」に関わるケースが多く、土木系学生は、構造設計や地盤改良、インフラ整備など「基盤を支える仕事」に関わることが多いです。

この表を参考にしながら、「自分が興味を持てる分野はどこか」「学んできた専門分野をどう活かせるか」「どんな企業で働きたいか」などについて整理してみましょう。

まとめ

自己分析を通して、「どんな建物をつくりたいのか」「どのような分野に携わりたいか」を明確にすることは、将来のキャリアを考えるうえで大きな手がかりになります。

住宅のように「人の暮らしに寄り添う」分野もあれば、商業施設やオフィスのように「多くの人々が快適に過ごせる空間に携われる」分野、インフラや工場のように「社会全体を支える」分野もあります。
建設業界は分野が広く、携われる建物の種類も企業ごとにさまざまです。

まずは用途や分野ごとに自分の興味を整理し、
「自分はどんな建物に関わりたいのか」「そのためにどんな専門性を伸ばしたいのか」
を意識しながら企業研究を進めていくと、志望動機づくりがぐっとしやすくなります。

建築・土木の仕事は、あなたがつくった「カタチ」が長く社会に残り、人々の生活を支える仕事です。だからこそ、自分がどんな分野に関わりたいかを少しずつ言語化して就活を進めていきましょう!

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