設計職への近道は“設計”だけじゃない?施工管理から目指すキャリア戦略!

2025年9月10日 更新

建築系の設計職は、自分のアイデアや図面がカタチとなり、人々の生活や街並みに残る魅力的な仕事です。しかし、一部の業界では、大学院卒や中途採用の即戦力中心の採用が多く、新卒で就くのことが難しい場合もあります。

設計職に就くキャリアパスには色々なルートがありますが、ひとつの方法として、まずは施工管理を経験し、建物ができるまでの現場の流れや施工の手順や工夫を肌で学ぶことで、実務としての設計に活かせる基礎知識が身につける方法があります。

この記事では、設計職を希望する学生に向けて、施工管理職から得られる知識・スキルなど、将来設計職として活躍するための強みになるポイントをご紹介します!

設計職に入りやすい業界・入りにくい業界

同じ「設計職」でも、業界によって新卒が採用されやすいかどうかは異なります。「ゼネコンやディスプレイ業界では門が狭く、ハウスメーカーは比較的入りやすい 」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

なぜ就職難易度の差が生まれるのでしょうか。この背景には、扱うプロジェクトの規模求められる専門性人員体制の違いがあります。ここからは、その具体的な理由を見ていきましょう。

入りにくい業界

ゼネコン(総合建設業)

ゼネコンの設計チームは、構造設計・意匠設計・設備設計といった複数の専門分野で構成されており、それぞれが連携してプロジェクトを進めます。大規模案件になるほど設計の分業化が進み、各分野に高度な専門知識と実務経験が求められます。

そのため、ゼネコンの設計職は大学院修了者や専門性の高い学科出身者が採用の中心となる傾向があり、新卒の学部卒の学生が直接配属されるのは比較的ハードルが高いのが現状です。

特に意匠設計や構造設計では、建築士資格の取得見込みや修士課程での研究実績が評価されやすく、採用の競争率も高くなります。

ディスプレイ業界(展示会・イベント空間など)

ディスプレイ業界(商業施設・店舗・イベント空間など)の設計チームは、コンセプト立案から図面作成、施工までを一貫して行う小規模〜中規模のチーム編成が多く、チーフデザイナー/プランナー・・デザイナー・CADオペレーター・制作・施工担当のような役割で構成されます。

ディスプレイ業界の設計職は、案件の多くが短納期かつ小回りの効く対応を求められるため、即戦力性が重視されます。デザイン系大学や専門学校で空間デザインや内装設計を学んだ学生、もしくはポートフォリオや実務に近い制作経験を持つ学生が採用の中心です。

そのため、新卒の学部卒(特に設計ソフトの習熟度や作品集が不足している場合)は、直接設計職に配属されるハードルが高くなります。

入りやすい業界

ハウスメーカー

ハウスメーカーの設計職は、ゼネコンやディスプレイ業界と比べて学部卒でも比較的就職しやすい傾向があります。主な理由は以下の3つです。

・設計業務の標準化
規格化されたプランや仕様をもとに顧客の要望を反映させる業務が多く、高度な構造計算や専門設計経験がなくても、研修やマニュアルを通じて短期間で実務に入れます。

・顧客対応スキル重視
住宅は顧客にとって一生に一度の買い物であり、設計職にもヒアリング力や人当たりの良さといった営業的コミュニケーションが求められます。そのため、専門知識よりも人物面を重視したポテンシャル採用が多く行われています。

・教育制度の充実
二級建築士取得の支援や社内研修、OJTなど新卒向けの育成環境が整っており、入社後に資格を取得しながらスキルを伸ばせます。こうした仕組みにより、学部卒でも採用の間口が広くなっています。

学部卒であっても、ハウスメーカーの設計職は「規格住宅をベースにした設計業務」「人物重視の採用方針」「手厚い研修制度」により、他業界と比べて就職しやすいと言えます。

将来的に一級建築士や構造設計などの専門性を高めるキャリアパスも描けるため、住宅業界への第一歩としても有力な選択肢です。

狭き門ではあるが、設計職の募集があるその他の業界

設計職といっても、その内容や求められるスキルは業界や担当分野によって大きく異なります。以下のように、設計職の就職先の選択肢が多いことを知っていることで、自分の興味や強みを活かす業界選びに役立ちます。

設計事務所(建築・インテリア)

設計事務所では、一般住宅から商業施設まで幅広い建築物の設計を手がけます。少人数でデザイン力を重視する傾向があり、事務所の状況によって、学部卒でも採用される場合があります。デザインに興味がある学生にとっては、創造性を発揮できる環境です。

商業施設・オフィスのデベロッパー

複合施設やオフィスビルなどを手がけるデベロッパーでは、社内に設計部門を持つ場合があります。建築設計だけでなく、内装や設備計画も含めた総合的な設計経験が積めるのが特徴です。即戦力を求められる場合もありますが、幅広い経験を得られるチャンスがあります。

インテリア・ディスプレイ関連企業(家具、店舗空間、イベント)

家具や店舗、イベント空間の設計・コーディネートを行う企業も、設計職を募集しています。小規模な設計から空間全体のコーディネートまで幅広く携わることができ、デザイン志向の強い学生はチャレンジしやすい業界です。ただし、即戦力を求められる場合もあるため、ポートフォリオなどの準備が重要です。

ゼネコンの設計部門(設備設計)

ゼネコンの中でも、中小規模の企業や、意匠設計だけでなく設備設計を担当する部門のある企業では、学部卒向けの採用枠を設ける場合もあります。大規模プロジェクトが中心ですが、現場との連携や施工知識も身につくため、将来的に設計力を高める経験が得られます。

新卒で設計職に就けなくても、まずは現場経験をした方が良いワケとは?

新卒でいきなり設計職に就くのは、特に大手ゼネコンやディスプレイ業界では難しいのが現実です。多くの場合、まずは施工管理職として入社し、現場での流れや工程管理、職人とのやり取りを経験しながら、数年後に設計部門へ異動するというキャリアパスが一般的です。

このステップは単なる回り道ではなく、実務に即した設計力を身につけるために大切な経験です。現場経験を持つ設計者は、図面と施工のギャップを理解し、より現実的で精度の高い提案ができるため、工事担当や企業からも高く評価されます。

また、入社時に設計職でなくても、施工管理で培った知識や人脈は、将来のキャリアを広げる大きな武器になります。

企業研究を行う際は、会社の規模やブランドだけでなく、職種別の採用条件やキャリアパス・ジョブローテーション制度・研修や資格支援の有無・案件の規模やチーム体制なども確認しましょう。

多くの企業では、最初の1〜2年は施工管理で経験を積み、その後設計部門や企画部門に異動できる制度があります。このルートを理解しておくことで、現場経験を活かして設計職にステップアップできる可能性が高まります。

入社時に希望職種に就けなくても、現場経験を武器に将来のキャリアを広げることができる点を意識して、企業研究を進めましょう。

設計職に活かせる施工管理職の経験

施工管理を通じて身につく経験や知識は、設計職で活躍していくために非常にタメになります。
今回は、施工管理を通じて身につけられる現場の知識やスキルについて紹介します。

現場の流れや工程管理、職人との連携

建物は基礎工事、躯体工事、内装仕上げ工事など、複数の工程を経て完成します。施工管理は各工程のスケジュールを把握し、職人や協力会社と日々調整を行います。

例えば、壁の下地工事が遅れると電気配線や内装工事に影響が出るため、適切な順序で作業を進める計画と調整力が求められます。この経験を通じて、作業順序の感覚や現場での柔軟な対応力、チームで仕事を進めるための調整力が身につきます。

これらの知識は、設計職としてクライアントとの打合せでも生かすことができ、工事内容の詳細な打合せができることによって、工事中の不備を減らすことができます。また、説得力のある説明が可能になることでクライアントからの信頼を得ることができ、次の仕事へとつながっていきます。

設計図面と現場施工の差異を理解できる

設計段階の図面上では問題がなくても、現場では工事が始まった後に材料サイズや施工手順の制約で変更が必要になることがあります。

例えば、既製品の窓枠サイズが現場の開口寸法に合わず現場での調整が必要になったり、配管の取り回しで壁の厚みを微調整したりする場面です。施工管理を経験することで、こうしたギャップを理解し、設計段階でも現場で起こりうる問題を予測することができ、臨機応変に対応できるような設計を計画できるようになります。

実務的な納まり・施工方法の知識が身につく

建具の取り付け方や壁と天井の取り合い、設備配管の通し方など、図面だけでは分からない“リアルな納まり”の知識が得られます。

例えば、キッチンの配管ルートをどう通すか、天井内の照明配線や空調ダクトの干渉をどう避けるかといった経験は、後に設計職で実現性の高い図面を描く力につながります。

設計職が作成する実施図面には、現場で使われる細かな部材を全てが記されているわけではなく、現場経験がある方が図面を詳細に読み取る能力が高く、設計職として図面を作成する際にも現場に伝わりやすい実現性の高い図面を書くことができます。

設計意図を現場に間違いなく伝えることが、工事を問題が少なく、スムーズに進めることにもつながります。

設計職への職種を転換できる制度とは

施工管理の経験を活かして設計職に進む方法として、新卒の場合は社内異動が最も現実的なルートです。社内異動を行うための制度やキャリアパスについて、企業によって用意されている制度はさまざまですが、代表的なものをご紹介していきます。

ジョブローテーション制度

入社後、一定期間ごとに異なる部署や職種を経験できる制度で、例えば入社1~2年目は施工管理として現場の工程や職人との調整を学び、3~4年目に設計部門へ異動、さらに企画部門でプランニング経験を積む、といった段階的なキャリア形成が可能です。

各部署で身につけた知識やスキルを相互に活かせるため、設計職として現場の制約を理解した現実的な図面作成ができるようになります。

社内公募・希望異動制度

社員が希望する部署に異動できる制度で、施工管理での実績や上司からの評価をもとに設計部門への異動が認められます。

例えば、施工管理として複数の現場を担当し、納期調整や職人との連携をスムーズに進められた経験は、設計職への応募時に「現場を理解した実務力」として高く評価されます。

研修・資格取得支援制度

二級・一級建築士や施工管理技士などの資格取得を企業がサポートし、設計職に異動する際に必要な資格取得を後押しします。

例えば、入社後に二級建築士を取得し、設計部門に異動後に一級建築士取得を目指す、といった段階的な資格取得が可能です。研修や講習を通じて、設計に必要な法規や構造知識、CADスキルを体系的に学べます。

これらの制度を活用することで、施工管理経験をそのまま設計職へのステップとして生かすことができます。

各企業が行う制度は様々です。自身の考えるキャリアと交えて考えながら企業研究を進めることで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

まとめ

建設に携わる設計職は、業界や企業によって新卒での採用条件が大きく異なります。そのため、希望する職種に就けない場合も少なくありません。

しかし、施工管理として現場を経験することで、「現場を知る」という強みを身につけ、将来的に設計職へ進むルートも十分に考えることができます。

現場での経験は、設計図面を実務に即して描く力や、職人との連携力など、設計職にとって価値の高いスキルになります。

そのため、最終的なゴールを意識しながら、どの業界で、どの職種からキャリアをスタートするかを戦略的に考えることが大切です。

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