まちづくりを通して地域社会に貢献する「まちづくり会社」とは?

2022年11月6日 更新

皆さんは、「まちづくり会社」という業界をご存知ですか?

まちづくりと聞くと、デベロッパーや不動産業界を思い浮かべる人が多いかと思います。

しかし、一口にまちづくりと言っても、事業内容はさまざまであり、それぞれの業界にハード面やソフト面といった規模の大きさの違いがあります。そのため、デベロッパーや不動産業界以外にも、さまざまな業界がまちづくりに力を注いでいると言えます。

その中でも、まちづくり会社は、人口の減少や超高齢化社会などの課題をもった地域やまちのにフォーカスしたまちづくりや、にぎわいづくりによって街の魅力の向上を担う会社・業界を指します。

今回は、そんなまちづくり会社について、どのような事業内容を行っているのか、また、どような職種があるのかについて、実際の企業を参考に詳しくご紹介します。

まちづくりに携わる職業に就きたい、と思っている就活生の方は、ぜひ参考にして、デベロッパーや不動産業界以外の選択肢を増やしてみてくださいね。

「まちづくり会社」とは

まちづくり会社の潮流

元々、まちづくり会社は、「まちづくり三法」と呼ばれる3つの法律が平成18年に改正されたことから、中心市街地を活性化し、活気あるコンパクトなまちづくりと推進することを目的として成立した会社のことを指します。

これといった明確な定義はありませんが、言うなれば、まちづくり会社とは、行政や市民、事業者が一体となり、まちづくりを進めるために設立された民間の会社のことです。

つまり、行政や事業者が単体で行うものではなく、市民やNPO、地権者、商業者、民間企業、交通事業者などが一体となって、まちづくりを行っていると言えます。

そのため、物理的に建物や設備などを整備するハード面だけでなく、人の動きをイメージし、アイデアや企画を出すソフト面も重要な点として捉える必要がある業界でもあります。

近年は、にぎわいづくりに重点をおき、マルシェ等のイベント主催に重点をおいた会社なども出てきています。

以上のように、まちづくり会社といっても特定の業態があるわけではありません。まとめるとすれば、

「まちづくり会社=地域に根ざしたまちづくりを推進する会社」

となります。

建築などのハード面を起点としてまちづくりの拠点を作るものや、既存の地域資源を活用しながらまちのよくしていくものなど、さまざまな手法でまちづくりを推進して行くのが、まちづくり会社ということです。

まちづくり会社の役割とは?

そんなまちづくり会社は、具体的に5つの役割を担っていると言えます。

1つ目は、「デベロッパー」的な役割です。持続可能な中心市街地を目標に、先ほどご紹介したインフラや施設といった物理的なハード面の整備、また開発を行います。まちづくりの拠点となるような建物を建てるイメージです。

2つ目は、「マネジメント」の役割です。地域のニーズを捉え、まちの価値を高める事業を実施するだけでなく、まちの維持管理まで行うことを指します。地域資源を活用し、まちの魅力を高めて行くため、同じではありませんが、観光に近いイメージです。

3つ目は、「公益性の担保」の役割です。まちづくりとしての公益性を持ち、何より市民に役立つための事業の実施が求められます。まちづくりの主体はあくまでも地域のステークホルダーのため、住民や地権企業にとって良い取り組みであることが大前提となります。

4つ目は、「収益性の担保」の役割です。まちづくり会社はあくまで企業であるため、組織運営に必要な財政基盤をきちんと持ちつつ、企業経営の意識を持つことが求められます。まちづくりにおいて重要なものが、モノとカネを用いてヒトを動かして行くことです。そのため営利的な側面を担保することで、持続的なまちづくりが可能になります。

5つ目は、「地域密着性の担保」の役割です。まちづくり会社の目的でもある、まちの魅力を高め、かつ地域に根差したビジネスの創出や人材の育成を担います。持続して地域が自立的に事業を進めて行くためにも、地域に密着した事業である必要があります。

このように、まちづくり会社は地域においてさまざまな重要な役割を担っていると言えます。

ここからは、まちづくり会社の具体的な事業内容について、実際の企業の事業を例に挙げてご紹介します。

「まちづくり会社」の事業内容

例1. 行政や企業、教育機関と連携したまちづくり

ある会社では、住みたい人たちが主体となり、協同で集合住宅をつくっていく事業や、住まいだけでなく、街路や植栽などの街並みをつくっていく事業、アートやカルチャーを取り入れたホテルの提案をする事業、人を集める商業施設の発案から設計を行う事業など、さまざまな分野の事業を手掛けています。

分野はそれぞれ異なりますが、地域に密着しつつ、不動産の領域で地域を活性化使用というコンセプトのもと、さまざまな人に役立つ事業を手掛けています。

また、まちづくり会社によるまちづくりは、会社単体で行われるものではなく、行政や地域の民間企業、NPO法人といったさまざまな主体と連携して行われます。

例えば、

・行政と連携したまちづくりであれば、事業コーディネーターと連携し、企画・設計を行ったスマートハウスの建設
・小田急の沿線での食と暮らしをテーマにした複合施設の建設、企業と連携し、企画したコンセプトを基にコンテンツやデザインを開発・デザインする事業
・NPO法人と連携して、子供達が自然体験や冒険遊びを楽しむための区立公園の開発

などが挙げられます。

例2. ハード面×ソフト面、開発から運営まで手掛けるまちづくり

開発から運営まで行うまちづくり

まちづくり会社の特徴として、企画・開発から設営後の運営まで行う点が挙げられます。

そのため、まちづくりを念頭においた運営のし方まで当初から計画を行ったうえで、用地・物件取得から施設の設計、施工の委託、を自社で行うような形態のまちづくりもあります。

ハード面、ソフト面から行うまちづくり

また、まちづくり会社のもうひとつの特徴として、ハード面とソフト面の両方の側面を持ち合わせていることにあります。

例えば、マルシェやマーケット、ワークショップ、講座、音楽イベント、街イベントなど、さまざまなイベントの企画や施設の設営といったハード面と、施設ができた後のにぎわいづくりや集客といったソフト面を手掛けている会社もあります。

自治体や企業へのまちづくりのプロデュース・コンサルティング

また、自治体やさまざまな企業をクライアントとして、施設開発から設計、運営まで一気通貫で担うまちづくり会社もあります。

そのため、まちづくり会社の中には、0からまちづくりを行うプロデュースはもちろん、クライアントの要望に対してきちんと応えるコンサルティングも行っている場合もあるため、自分の携わりたい幅の広さや規模感に合わせて、企業探しを行うと良いでしょう。

ここまでは、まちづくり会社がどのような事業を行っているのかについてご紹介しました。
では、実際にまちづくり会社は、どのような職種に分かれて仕事を行っているのでしょうか。ここからは、まちづくり会社の職種について、ひとつの会社を例に挙げながらご紹介します。

「まちづくり会社」の仕事内容は?

企画・プロデュース

まず最初に挙げられるのは、企画・プロデュースです。

まちづくり会社の事例にもあったように、事業の企画はもちろん、建築のコーディネートや、その後の運営まで行います。

また、ホテルや住宅といった、地域に密着した不動産をクライアントのニーズに合わせて提供できるように提案をするのも、企画・プロデュースの仕事内容です。

設計・空間デザイン系

次に挙げられるのは、設計・空間デザインです。
こちらの仕事では、ホテルや住宅、商業施設といった幅広い不動産の設計を行います。

また、建築だけでなく、内装・家具・建材の設計やデザインも、設計・空間デザイン系の職種が行います。クライアントと直接取引することが多く、クリエイティブな仕事に携わることができる仕事であると言えます。

運営・マネジメント系

最後に挙げられるのは、運営・マネジメントです。
こちらの仕事では、実際に設営されている施設などの現場で運営を担当しています。

例えば、ホテルやホステルといった商業的な施設のフロントや、レストラン・カフェなどのサービスやキッチン、食堂の栄養士や調理師といった仕事が挙げられます。
このように、この職種は、自分自身のスキルを活かしながらまちづくりの運営をスムーズに行うための仕事を担っていると言えます。

まちづくり会社のやりがいと魅力

ここまで、まちづくり会社の具体的な事業内容や職種をご紹介しましたが、まちづくり会社で働くやりがいや魅力とは何でしょうか。

冒頭でご紹介したように、まちづくり会社は、さまざまな機関を連携をし、中心市街地の活性化に貢献する会社です。その為、規模の大きさに関わらず、幅広い分野に携わりながら地域社会、そして日本の社会全体に貢献することができると言えます。

そのことから、自分が行っている仕事が社会に貢献できていると実感がしやすい業界であるため、やりがいを感じやすく、そのことが魅力であると言えるでしょう。

まちづくりを通して、地域社会の活性化や地域への貢献がしたい、という方は、自分のやりたい事業内容や自分に合う規模感の企業を探してみてくださいね。

まとめ

今回は、まちづくり会社についてご紹介しました。

普段の生活では聞きなれない業界ですが、まちづくりに関わりたい方や、地域社会の活性化に携わってみたいという方にはぴったりの業界であると言えます。

今回ご紹介した事業内容や仕事内容意外にも、さまざまな規模や事業を行う会社が多くあるため、興味のある方は選択肢のひとつに加えて、業界研究や企業研究を行ってみてくださいね。

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