世界的なトレンドに建設業界はどう関わっている? 建設業界における脱炭素の取り組みについてご紹介

2024年2月21日 更新

環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)に対する関心は、近年急速に高まってきており、私たちの普段の生活の中でも、メディアを通じて環境問題や持続可能な社会に向けた取り組みについての情報を目にする機会が増えてきていると思います。

こうした環境問題やSDGsの重要性は、個人の生活だけではなく、ビジネスの世界においても、環境への貢献や社会的責任を果たすことや、持続可能なビジネスモデルの構築が求められています。

また、就活においても、選考対策や、企業の将来性を見極めるうえでも、環境問題やSDGsに関する知識や関心を持ち、その観点から業界や企業の取り組みを理解することはとても重要です。

今回の記事では、建設業界における脱炭素・環境対応の取り組みに焦点を当て、具体的な事例や展望についてご紹介します。

環境問題への取り組みの重要性や建設業界における脱炭素・環境対応の意義について理解し、業界研究や企業研究に繋げていきましょう。

脱炭素・環境対応が重要視されている理由

建設業界における脱炭素の取り組みをご紹介する前に、世界全体で近年脱炭素・環境対応が重要視されるようになった背景についてお伝えします。

近年、世界全体で脱炭素・環境対応がますます注目されるようになった理由としては、地球温暖化や気候変動といった環境問題が深刻化し、その影響が社会や経済に大きな影響を与えることが明らかになったため、持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)など、世界各国が共通の目標に向けて取り組む意識が高まったことが挙げられます。

また、環境問題への関心が高まったことによって注目されているのがカーボンニュートラルです。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガス排出量と吸収量の均衡を意味し、企業や個人から排出された温室効果ガスに対して、新技術によって排出量を抑えたり、植林や森林管理によってCO2を吸収することでCO2の排出を相殺し、実質的にゼロにする取り組みです。

日本ではすでに、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の改善など、カーボンニュートラルに向けた取り組みを進めてきましたが、2020年のカーボンニュートラル宣言において、2050年までにカーボンニュートラル達成という目標を打ち出し、注目度はさらに高まりました。

また、このカーボンニュートラル宣言は、ESG投資の観点からも注目を集めています。
ESG投資とは、企業や投資家が環境、社会、ガバナンスの観点を考慮して投資判断を行う取り組みです。

カーボンニュートラル達成には、政府だけでなく、企業の取り組みも欠かせないことや、企業が積極的にカーボンニュートラルへの取り組みを行うことで、ESG投資家や消費者からの支持を受け、競争力を高めることが期待できることなどから企業にとってもカーボンニュートラルの取り組みはとても重要であると言えます。

建設業界におけるカーボンニュートラル

上記のようなカーボンニュートラルの取り組みにおいて、建設業界での取り組みは注目され、その重要性が高まっています。

注目されている理由の1つが、他の産業と比較してCO2排出量が多いためです。
建設業界は建物やインフラの建設に伴い、多くのエネルギーと資源を消費し、それに伴って大量の二酸化炭素が排出されます。
そのため、建設業界が効果的な脱炭素対策を実施することで、大幅な炭素排出削減が可能となるのです。

また、建設業界が環境に配慮した取り組みを積極的に行うことで、建築物やインフラのライフサイクル全体での炭素排出削減が実現でき、カーボンニュートラル達成の可能性が高まります。

では、建設業界は脱炭素に向けてどのような取り組みができるのでしょうか?次の章では建設業界が実施している施策をご紹介します。

脱炭素に向けた建設業界の取り組みの大分類

エネルギー効率の向上

脱炭素に向けた建設業界の取り組みの1つは、エネルギー効率の向上です。

具体的な取り組みとしては、断熱性能の向上や省エネ設備の導入などが挙げられ、これらの取り組みにより、建物の熱や冷気の逃げを抑え、エネルギーのムダを減らすことが可能となります。

また、エネルギー効率の向上は、建築物の運用コストを削減するため、建物のオーナーには経済的なメリットももたらします。

再生可能エネルギーの導入

2つ目は再生可能エネルギーの導入です。

再生可能エネルギーとは、自然の中で再生されるエネルギー源のことを指し、主な種類には、太陽光エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー、地熱エネルギーなどが存在します。

再生可能エネルギーは自然のエネルギー変換プロセスを利用して電力や熱を生成するため、エネルギーを生成する過程でCO2を排出しません。
そのため、脱炭素の取り組みの中でも大きな注目を集めており、東京都は一戸建て住宅を含む新築建物に太陽光発電のパネルの設置を義務付ける条例の制定を進めています。

建設業界の再生可能エネルギーの関わりとしては、①施工時のCO2排出を抑えるために工事電力に再生可能エネルギーを活用する、②再生可能エネルギーの生成拠点を開発する、といった取り組みが主流となっています。

工事電力の再エネ化においては、立地的制約から実際に再エネで発電された電力をそのまま利用するのではなく、使用電力相当分について、発電業者が発行する「非化石証書」という再エネ電力における環境価値を示したものを取引市場で購入することで、その分の環境配慮をしているとみなしてもらう方法が主流となります。

また、再エネ拠点の開発においては、主にゼネコンやデベロッパーが太陽光発電や風力発電の拠点を開発し、そこで発電した電力を電力会社へ供給することで、CO2の削減に取り組むケースもあります。

再生可能エネルギーが建設の各業界とどのような関わりを持っているかについては、
環境保護とビジネスの観点から注目を集める「再生可能エネルギー」と建設業界の関わりをご紹介
の記事で詳しく説明しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

原材料のカーボンニュートラル化

3つ目は原材料のカーボンニュートラル化です。

現在、建物の主要な原材料であるコンクリートや鋼材などは製造の過程で多くのCO2が排出され、エネルギーが消費されます。

そこで、代替材料として木材や再生資源を利用することで、CO2排出を削減する取り組みが原材料のカーボンニュートラル化です。

また、建設業界は多岐にわたる供給チェーンを持つため、原材料の調達や輸送に多くのエネルギーが必要とされています。
そのため、外国ではなく日本の原料を使うことなども原材料のカーボンニュートラル化の取り組みの1つです。

脱炭素の取り組みの具体例

ここからは建設業界で行われている脱炭素の取り組みの具体例を紹介します。

ZEH・ZEB

ZEH、ZEBはそれぞれネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略であり、対象が家(ハウス)かビルかの違いはありますが、どちらも建築物のエネルギー効率化を追求することによって、一次エネルギー消費量を0にする(0に近づける)建物のことを指します

では、一次エネルギー消費量0はどのように実現しているのでしょうか?
ZEHやZEBでは、建物内部のエネルギー消費を最小限に抑え、消費するエネルギーに関しては建物自身で発電を行うことによって、自己消費型のエネルギーシステムを実現しています。

具体的には、断熱性能の向上、高効率な空調システムなどによって使うエネルギーを抑え、太陽光発電システムなどにより自身が使用するエネルギーは自ら生産します。

正確にはZEH、ZEBの定義はゼロエネルギーの達成状況によっていくつかの段階に分けられますが、基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減を達成できればZEHやZEBと定義される建物と言えるでしょう。

現状、ZEHやZEBの導入には初期投資の高さなどいくつか課題もあります。
しかし、エネルギー消費量の削減に伴う、光熱費の削減、一般的な建物と比較して不動産価値の向上、地球環境の配慮に取り組んでいる企業としての価値の向上やSDGsの貢献など、ZEH化ZEB化のメリットは多いため、今後も高い成長率が予想されています。

国産木材利活用

脱炭素の取り組みの具体例の2つ目は国産木材利活用です。

従来、高層建築の原料には主に鉄筋やコンクリートが使用されてきましたが、最近では技術の進歩により木材を活用した建築物がますます注目されています。特に、CLT(Cross Laminated Timber)という技術の発展により、木材を用いた高層建築などの建物が実現可能になりました。

これにより、従来の鉄やコンクリートからCO2を排出する製造過程を経ずに、木材を原料とした建築物が増えています。
木造の中高層建築については、今後の建築業界のトレンドに!? 木造の中高層建築の現状や将来性をご紹介で詳しく説明していますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

また、国産の木材を利用することには、いくつかの利点があります。

1つ目は輸送におけるCO2排出量の削減です。
国内で収穫された木材は、長距離の輸送を必要としないため、輸送過程で発生するCO2排出量を大幅に削減することができます。

2つ目は国内森林資源の持続的な管理です。
国産木材の利活用により、森林を適切に管理し、木材の供給を確保することができ、地域の林業や森林環境の保護にも寄与します。
また、国内にはさまざまな種類の木材が存在するため、国内の木材を活用することで、建築物のデザインにおいても多様性や個性を追求することができます。

脱炭素コンクリート

最後にご紹介するのが脱炭素コンクリートです。

建設業界は長年にわたりコンクリートを使用して様々な建築物を築いてきましたが、コンクリートの原料であるセメントの製造過程には高温での焼成が伴うため、CO2の排出源となっていました。

しかし、脱炭素型コンクリートでは、2つの方法によってCO2の排出削減を実現しています。

1つ目はセメントの代替材料として廃棄物や産業副産物の利用です。

セメントの製造プロセスを改良することによってCO2の排出を削減しています。
しかし、脱炭素型コンクリートでは、セメントの代替材料やセメントの製造プロセスの改良によってCO2排出量を削減しています。
また、現在研究が進められているカルシウムカーボンコンクリート(CCC)は廃コンクリートと大気中のCO2を原料とするためセメントを必要とせず、何度もリサイクルが可能なため、実用化されればCO2の排出削減が大きく期待できます。

2つ目はコンクリートにCO2を閉じ込める方法です。

こちらの方法はコンクリートにCO2を固定するため、コンクリートを製造すればするほど環境問題に貢献することが可能になります。

具体的にはセメントの硬化時にCO2を吸収させる方法とCO2を吸収させた炭酸塩を配合する方法の2つがあり、どちらの方法もコンクリート構造物がCO2を固定し続けることができます。

脱炭素コンクリートはスーパーゼネコンなどの企業が積極的に研究開発を進めている分野の1つなので、今後も実用化の範囲は広がっていくと考えられます。

就活で意識するべきこと

ここまで建設業界における脱炭素の取り組みの大分類や具体例についてお伝えしましたが、最後に建設業界における脱炭素・環境対応の意義について理解することが、就活においても重要である理由をお伝えします。

社会の価値基準のスタンダードになっている

1つ目は脱炭素の取り組みに対する関心が、新しい社会の価値基準のスタンダードになっているからです。

冒頭でもお伝えしたように、現在は環境問題や気候変動への懸念が高まっており、社会の価値基準にも持続可能性や環境への配慮が求められるなどの変化が見られ、脱炭素の取り組みはその中心的なテーマとなっています。

学生時代に今回ご紹介したような脱炭素の取り組みの背景を理解することで、社会の価値基準に則った意思決定や行動が可能となり、将来のキャリアにおいても、脱炭素に対する理解と関与は重要な競争力となります。

今後企業活動を行ううえでの継続的な課題

脱炭素の取り組みは企業や業界の持続可能性に直結しています。

建設業界では環境に配慮した技術やプラクティスの導入が求められているため、今後は脱炭素に関する知識やスキルが仕事を行ううえでも必要とされる可能性が高いです。

企業説明会や面接において環境問題や脱炭素についての質問が出る可能性も高く、その知識や理解が求められることも考えられるため、就活を機に脱炭素の取り組みを理解し、関連する知識やスキルを身につけることは、就職活動はもちろん今後のキャリア形成においても有利に働きます。

まとめ

今回は、建設業界における脱炭素・環境対応の取り組みに焦点を当て、具体的な事例や展望についてご紹介しました。

こちらの記事では、業界単位での脱炭素の取り組みをご紹介しましたが、企業単位で調べてみると、企業ごとに脱炭素の取り組みや進め方、重要視している項目は異なってきます。
これらの違いは、企業の差別化や特徴を理解する上での参考になるので、ぜひ今後は企業ごとの環境問題に対する姿勢や、脱炭素の取り組みを調べてみましょう。

脱炭素以外のトピックでは、近年話題になっているSDGsについて、
近年注目を集めているSGDsと建設業界の繋がりをご紹介の記事紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

このように、日本や世界規模で関心が寄せられているトピックに対して、建設業界ではどのような取り組みがされているのかを調べることは業界研究のきっかけになるので、ぜひ積極的に新しい情報をキャッチアップできるような姿勢で就活に望んでみてください!

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