建設界のリーダー「ゼネコン」とはいったいどんな業界?
建築土木系の方であれば、ゼネコンについてはよく知っている方も多いかと思います。日本のゼネコンは、世界に誇れる建設技術を持つ会社として知られており、これまでも国内の主要な建築物や土木構造物の建設を行ってきました。
今回はゼネコンについて、仕事内容や業界の現状、今後の展望などについて、詳しくご紹介したいと思います。ゼネコンについて、さらに深く知り、就活の参考にぜひ役立ててみてください。
この記事の目次
ゼネコンとは一体どんな会社?
ゼネコンとは、ゼネラルコントラクター(General Contractor)の略で、商業施設、マンション、ビルといった建築や、駅、ダム、橋梁などの社会インフラの建設を請け負う総合建設請負業者です。
それらの構造物を建設するにあたり、ゼネコン企業の社員のみで施工するのではなく、、ゼネコンは元請けという立場で現場を管理しながらそれぞれの工程で、協力業者と呼ばれる「専門の工事業者」に施工を依頼しながら工事を進めていきます。
一つの建築物を立てることには多くの会社が関わっています。ゼネコンは各会社と連携を取りながら全工程を統括する役割を担っているのです。
ゼネコンの種類
ゼネコンと呼ばれる会社はたくさん存在しますが、売上高によって「スーパー(大手)ゼネコン」、「準大手ゼネコン」、「中堅ゼネコン」の3つに分けられます。
このうちスーパーゼネコンは売上高目安が1兆円前後の会社で「大林組」、「鹿島建設」、「清水建設」、「大成建設」、「竹中工務店」の5つの会社のことを指します。この5社はゼネコンの中でも規模や従業員数も多く、有名な構造物の建設を行っています。
また、ゼネコンは建築から土木まで幅広い領域を担当しますが、会社によって事業や得意分野に特徴が見られます。
会社ごとの実績などを見比べ、自分の興味がある分野の建設を行っている会社はどこなのかを調べてみると良いでしょう。
ゼネコンの仕事内容を部門別に紹介
ゼネコンが行っている仕事は規模や会社によって多少の違いはありますが、一般的なゼネコンの仕事は以下の通りです。
営業
建設を始めるうえで、まずはクライアントから案件をもらう必要があります。
クライアントの要望を聞き、提案書を作成することや、競争入札に向けた事業計画書の作成を行います。
建築であれば、個人や企業など様々な主体が顧客になるため、その顧客の要望に対し適切で具体的な提案をすることが最も重要になります。
一方で、土木の場合は、公共事業がメインのため、公共的、行政的な目線での提案が必要となります。
競争入札では、複数の事業者が応募してくるなかで案件を勝ち取らなければならないので、予算や質を考慮しながら最適な提案をすることが望まれます。
営業はいわばプロジェクトを立ち上げる根幹に関わりゼネコンとクライアントとの窓口となる重要なポジションです。
顧客との信頼関係や人脈作りが不可欠になるので、ビジネススキルやコミュニケーション能力が求められます。
設計
ゼネコンの設計部門の役割は大きく分けて2つあります。
1つは、文字通りの構造物の設計です。
設計部門を自社で持っているゼネコンの会社は自社で設計を行う場合と、施工のみ行う場合があります。設計はクライアントの要望を聞きながら、デザイン性、利便性両方を考えながら進めていきます。設計業務には意匠・構造・設備などの分野ごとに専門の知識、建築士の資格取得が必要になります。
また、設計職は単にデザインや機能をを決定するだけでなく、地震などに対する構造計算・解析を行いながら、設計を行います。
2つ目は、現場の監理者役です。
建築物は、設計者が図面を制作し、施工者が建設を行います。その際に設計者の業務として工事が正確に行われているかを確認する監理者という役割があります。図面を製作した設計者(監理者)と施工者が施主を通して連携し、工事を進めていくことで正確で質の高い建物がつくることができるのです。
また、設計事務所と共同設計を行う場合もあり、大規模な建物の設計にあたって、設計JV(ジョイントベンチャー)と呼ばれる設計チームをつくる場合もあります。
施工管理
施工管理とは建設工事において計画通りに工事を完了させるための総合的なマネジメント業務のことです。建築土木における施工管理の主な役割は建設現場でQuality(品質)、Cost(原価)、Delivery(工程)、Safety(安全)の4つの項目を管理することです。
1. 品質管理(Q)では材料の受入検査、業者の施工状況の確認、図面・仕様書との整合性確認を行います。業者が使う材料が適切なのか確認し、その材料を使用し適切に作業が行われているかを現場で確認します。
2. 原価管理(C)では、予算管理、資材発注・管理、コスト削減の検討を行います。近年では、施主の要望に対し、機能を維持・向上させながら価値を最大化し、コスト削減するVEが建設業界で広く活用されています。
3. 工程管理(D)では、工程表の作成と進捗管理、作業員・機械の手配調整、各業者間の作業調整を行います。作成した工程を厳守するために業者とコミュニケーションをとり、異なる業者同士の作業がスムーズに進むように綿密な打合せをします。
4. 安全管理(S)では安全衛生計画の立案・実施、安全パトロールの実施、作業員への安全教育、事故防止対策の実施を行います。よく聞く言葉ですが、建設現場では「安全第一」です。事故や災害を起こさないために安全装備の点検、安全パトロールによる作業の安全性の確保を徹底します。
5. その他の業務として、発注者との打ち合わせ、各種書類の作成・管理、近隣対応、環境対策などがあります。
これらの業務を通じて、安全で品質の高い建造物を、定められた工期内に予算内で完成させることが施工管理の最終目標となります。
研究開発
新しい技術や工法の開発を行っている部門です。独自に開発した技術は他社との差別化にもなり、高品質で低価格のものを提供するために多くの企業で積極的な投資が行われています。最近の事例では、ZEB(Zero Energy Building)と呼ばれる、快適な室内環境を維持しながら建物内のエネルギー収支を0にする技術の開発などが盛んに行われています。
ゼネコンで行われている研究は日本の建築業界の発展のためにも必要不可欠なものです。高度な専門知識が必要とされますが、最先端の技術を研究、開発していく職業で大きなやりがいを感じる仕事です。
都市開発部
ゼネコンは基本的に工事を受注し、施工することで利益を得ますが、営業の一環として「都市開発」を行う部門を持っているゼネコンがあります。この部署では、自社で土地を仕入れて自社でビルなどを建設をする場合や、コンペと呼ばれる行政からの公募を通じて公共施設の設計、建設、運営を統括する場合もあります。これらはいずれも、工事を自社で行い利益につなげるために行われています。
ゼネコンに就職するには?
ゼネコンは一般的に建築・土木学生から人気なため、就職することが難しいといわれている業界です。そのためゼネコンに就職するためにはある程度の就活準備が必要になります。ではゼネコンに就職するためにはどのような準備をしておくべきなのでしょうか?
インターンへの参加
インターンは現在多くの企業が実施していますが、ゼネコンに就職する際にもインターンの参加は重要になります。会社の雰囲気を知るだけではなく、社員の人に顔を覚えてもらうことや、インターン中に良い印象を残すことでその後の選考を有利に進めることができます。
施工管理職のインターンでは実際に工事中の現場に数日間所属し、リアルな仕事を体感することができます。複数の会社のインターンに参加し、自分が希望する職業や業界のイメージを鮮明なものにしていきましょう。
近年では、インターンに参加することで、早期選考に繋がり他の人よりも早く内定が貰えるケースが増えてきました。夏のインターンから準備・計画し、参加していくのが良いでしょう。
OB訪問
インターンや選考の際にも社員の方からお話を聞く機会はあると思いますが、OB訪問では1対1でより具体的なことや、リアルな話も聞くことができます。その企業で働くことを明確にイメージするために、日々の業務の中で社員の方が感じていることや、会社の強みと弱み、給与などの待遇、私生活のイメージなどを聞くと良いでしょう。
また、ゼネコンに就職するうえでは先輩社員との繋がりも大事になってきます。実際に働いている社員の方との繋がりを多く持つことがその後の就活にも大きく影響してきます。
作品やポートフォリオ制作
特に建築学生にとっては設計作品やポートフォリオが就活をするうえで重要な評価対象となります。特に設計部署を希望する学生はポートフォリオは必須になるので時間に余裕を持って作り始めるようにしましょう。
ポートフォリオは企業や面接のシチュエーションによって複数のパターンを用意しておくと有利に就活を進めることができます。
ゼネコン業界の現状&今後の展望
現状
近年ではゼネコンだけでなく、建設業界全体で人手不足が深刻化しています。特に協力業者では、高齢化が進み若者がほとんどいない業者もいます。如何にして技術を継承していくのか、IT技術やロボットでは解決できない部分をどう補っていくのでしょうか。
建設業界は年功序列が特徴的な業界であることや、ゼネコンに関しては仕事内容が難しく、残業が多いというイメージから若者離れが進んでいます。DXによる業務効率化、給与と労働時間のバランスの見直しなど、業界のイメージの転換することが課題であり、業界躍進の鍵であると言えるでしょう。
また、建設・土木業界は景気や政治の動向によって非常に影響を受けやすいです。コロナ以降の物価上昇により材料の金額が高騰し、利益を取り戻すことが難しいプロジェクトが多くあると言われています。時代の流れを予想し、ニーズを理解し、柔軟な対応をしていくことが重要になっていきます。
今後の展望
近年はオリンピックや震災復興などで業績は好調でしたが、日本の人口が減少傾向にあることから、地方の建設数は減少し、大規模な建築物の改修工事が増加すると予想されています。
将来的な市場の縮小が避けられない中でゼネコン業界は今後どのような展開をしていくのでしょうか。
DX化
先ほどの業界の現状を改善するために必要とされるのがDX化とされています。DX化とは簡単に言うとデジタルの力で会社や業務のプロセスを新しく変えて市場環境へ適合し、自社の競争優位性を高めることです。
例えば、資材の置き場所を図面上で検討するのではく、ドローンで航空写真を撮影しイメージがしやすい写真上で検討することなどです。部分的なIT化とは異なり、会社全体で取り組む必要があるDX化を推進していくことで、業務効率を上げ、課題に対応していくゼネコンが増えることが予想されます。
海外展開
今までは国内事業がメインだったゼネコンですが、大手のゼネコンなどは海外展開に積極的で海外関連会社が売上高の20%を超える企業もあるなど、今後もこの流れは強くなっていくでしょう。
特に、東南アジアの発展途上国での建設事業が多いです。そして、アフリカ大陸への進出が予想されます。アフリカ進出の理由として、アフリカの人口は2050年には25億人になると予想されています。これは、世界人口の約4人に1人以上がアフリカ人になることを意味します。しかし、外国の企業との競争や連携、日本と海外ではゼネコンの役割が異なることもあり海外展開にはまだ改善の余地がたくさんあるといえます。
また、日本では地震に対する法規制が厳しいですが、海外ではそれがなく自由で奇抜なデザインを再現することが可能なため建設に対する考え方が異なり技術の差が広がっている現場があります。
他の事業への参入
スーパーゼネコンなどでは、太陽光や洋上風力を活用した再生可能エネルギー発電やバイオマス発電といったエネルギー事業や、アグリビジネスと言われる農業関係の事業、そのほかにもPPPと呼ばれる官民連携の事業等に力を入れるなど、新しい事業領域への参入によって事業の多様化がみられます。
今後、多くのゼネコンでSDGsの方針を踏まえて環境やエネルギー、宇宙分野などで事業を展開していく企業は増えていくでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。建築物というのは大昔から存在していて人々の生活を支えていました。時代が進むにつれデザインや素材などが発展しているのもゼネコンの貢献が大きいと言えます。
ゼネコンの魅力は関わる事業のスケールの大きさです。数千人規模の人をまとめ上げることは簡単ではありませんが、世界で一つの建築物を建てるという唯一無二の仕事です。そして今後何十年、何百年にもわたって多くの人に利用されることを考えると社会貢献性という面でも果たす役割は非常に大きいです。
全ての職業はあらゆる形で社会や人に価値を提供して成り立っています。自分が将来どのような形で社会に貢献していきたいかを考えながら業界や企業を見ていくことで、将来の目標を明確にしていきましょう!
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