ドローン測量で建設現場はどう進化する?最新トレンドと将来展望

2025年9月28日 更新

近年、建設業界では人手不足・安全性の確保・工期短縮といった課題を解決するため、デジタル技術の導入が加速しています。

国土交通省が進める「 i-Construction 」という政策にも”デジタル技術の導入”があり、業界動向にも測量や施工に最新技術を積極的に取り入れる流れが生まれました。

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そして、その中でも普及しているデジタル技術のひとつが ドローン測量です。短時間で高精度な測量データを取得できるため、これからの多くの工事現場で欠かせない存在になりつつあります。

今回は、この ドローン測量技術がどのようなものか、最近の動向や具体的な活用例、そして将来の展望 についてご紹介していきます。

ドローン測量技術とは?

ドローン測量とは、UAV(無人航空機) にカメラやセンサーを搭載し、上空から地形や構造物を計測する技術です。
「測量」について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になります。
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そして大きく分けると、次の2つの方法があります。

写真測量

ドローンに搭載したカメラで上空から多数の写真を撮影し、専用ソフトで合成・解析することで、オルソ画像(歪みを補正した航空写真)や3Dモデルを作成する手法です。

従来の平面図や数値データに比べ、直感的に現場の状況を把握できるのが特徴です。たとえば、建設現場の進捗管理や、完成後のイメージ共有に役立ちます。

設計者や発注者が同じ情報を視覚的に共有できるため、コミュニケーションの円滑化にもつながります。

レーザー測量(LiDAR測量)

レーザー測量(LiDAR測量)は、ドローンにレーザースキャナを搭載し、地面や物体にレーザーを照射して反射データを取得する方法です。

得られた膨大な座標データ(点群データ)を解析することで、樹木に覆われた斜面や複雑な地形も高精度に再現できます。特に道路工事やダム建設のように、広大かつ起伏のある地形を扱う現場で活躍します

従来では測量士が数週間かけて行っていた作業を、短期間で行える点が大きなメリットです。

以前はレーザースキャナが数百万円〜数千万円と高額で大型、さらに操作にも専門知識が必要だったため普及が進みにくい状況でした。しかし近年は小型・軽量化やソフトの進化により、ドローン搭載が容易になり利用が拡大しています。


ドローンを活用することで短時間で広範囲をカバーでき、さらに現場に合わせて「写真測量」「レーザー測量」を使い分けることで、効率性と精度を両立できるようになっています。

このように、ドローン測量は近年の建設現場のデジタル化を支える技術として、効率性と安全性を高めながら、精度も確保できるようになっています。

建設業界での活用メリット

工事現場で欠かせない存在になりつつあるドローン測量は、次のようなメリットがあります。

安全性

従来の測量では、測量員が急斜面を歩いて移動したり、河川の中洲や盛土の端など不安定な場所に立ち入る必要がありました。

ドローンなら上空から撮影するだけで済むため、「人を危険にさらさない」作業が可能になります。特に、土砂崩れリスクのある山間部や大型河川の護岸工事など、安全確保が難しい現場で大きな効果を発揮しています。

そもそも建設現場は、重機の稼働や足場の不安定さ、天候による地盤の変化など、多くの労働災害リスクを抱えています。

そのため施工管理職には「工程管理」「品質管理」と並んで「安全管理」が重要な役割として求められており、作業員を危険にさらさない仕組みづくりは現場運営の基本です。ドローン測量はこの安全管理を強力に支える技術として注目されているのです。

精度向上

ドローンで取得した画像から生成される点群データやオルソ画像は、数cm単位の精度を実現します。

これにより、土量計算や出来形管理を正確に行えるため、余分な掘削や盛土を防ぎ、材料費や燃料費のロスを削減できます。

また、進捗を3Dモデルで可視化できるので、設計と現況を照らし合わせながらリアルタイムに計画修正が可能になります。

データ活用

取得した3Dデータは、クラウドやCIM(Construction Information Modeling)と連携できます。

設計段階の3Dモデルと現場データを重ね合わせれば、発注者・設計者・施工者が同じ画面で確認・議論でき、手戻りを減らせます。

また、施工後のデータは維持管理や次の工事にも流用可能で、記録が蓄積され、”データ資産”となります。

省人化

従来の測量では、測量士2〜3人がトータルステーションを設置し、数日間かけて行うのが一般的でした。

ドローン測量なら、操縦者と補助員の2人程度で数時間で完了

これにより、限られた人員でも複数現場をカバーでき、人手不足の建設業界における省力化の切り札となっています。結果として、工期短縮・人件費削減に直結します。

また、省人化によって余力が生まれることで、若手技術者がデータ解析やICT建機の操作など、付加価値の高い業務に注力できる点も大きな魅力です。


ドローン測量は、従来の測量作業に比べて「効率化」「安全性」「精度向上」「データ活用」「省人化」といった多くのメリットをもたらします。

特に、造成工事や道路建設など大規模プロジェクトでは「測量の自動化」が生産性向上に直結しており、導入が進んでいます。

最近の動向と活用事例

近年、ドローン測量が建設現場での普及が進んでおりますが、その背景には、人手不足や安全性の課題に加え、技術の進歩制度面の整備があります。

従来は時間と労力がかかっていた複雑な地形の測量も、最新のドローン技術を活用することで、効率的かつ安全に実施できるようになりました。

さらに、取得したデータはクラウドやAIを使って簡単に解析できるようになり、専門知識がなくても活用できる場面が増えています。

こうした背景を踏まえ、現在では以下のような分野での活用が進んでいます。

インフラ点検での活用事例

高所や危険箇所での点検

ドローンを活用することで、高所や危険な場所での点検作業を安全に行えるようになりました。作業員が高所に登ったり、足場や高所作業車を設置したりする必要がなく、危険を伴う作業を大幅に減らせます。

可燃性ガスの漏れや落石など、人が立ち入ると危険な場所でも、ドローンで空撮や計測を行うことで、正確に状況を確認できます。これにより、点検作業の安全性と効率が同時に向上します。

赤外線カメラ搭載ドローンによる点検

ドローンに赤外線カメラを搭載することで、目視では確認できない異常箇所を検出できるようになりました。これにより、従来では見落としがちな小さな損傷や劣化も把握可能です。

この技術を活用することで、早期の異常発見や予防保全が実現し、メンテナンス作業の効率向上にもつながります。点検の頻度や時間を削減しつつ、安全性を確保できる点が大きなメリットです。

災害対応・測量での活用事例

災害発生地帯での迅速な状況把握

ドローンは、土砂崩れや地滑りなどの災害現場でも活用され、迅速に状況を把握できる技術として注目されています。人が立ち入ると危険な場所でも、ドローンを使うことで安全に測量や状況確認が可能です。

この取り組みにより、災害対応チームは現場の全体像を短時間で把握でき、救助活動や復旧計画の立案を迅速に行えます。従来よりも安全で効率的な災害対応を実現できるようになります。

山間部や未開拓地での測量

山間部や未開拓地など、従来の測量が困難な場所でも、ドローンを活用することで短時間で広範囲の測量が可能となりました。人手で測量するよりも効率的に、精度の高いデータを取得できます。

取得した測量データは、企画や設計段階での判断材料として活用され、工事計画や土地利用の検討に役立ちます。これにより、事前調査の時間を大幅に短縮し、設計・施工の精度向上につながります。

これらの事例からもわかるように、ドローン測量は多岐にわたる分野で活用されており、効率性や安全性の向上に寄与しています。

活用を支える制度の整備

国土交通省は「UAVを活用した公共測量マニュアル」を整備しており、条件を満たせば公共事業でも正式にドローン測量を使えるようになっています。

これにより、道路や河川、港湾などの工事現場でも、従来の人力測量に比べて効率よく、安全に作業できる環境が整いました。

公共工事での活用が広がることで、ドローン測量は建設現場での活躍も、期待できます。

出典:国土交通省 新技術・新工法説明会

「KUMIKI」によるAI・クラウド解析

クラウド型写真測量サービス「KUMIKI」は、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されており、公共工事において加点対象として認められています。

このサービスは、ドローンで撮影した画像や点群データをクラウドにアップロードするだけで、AIが自動でオルソ画像や3Dモデルを生成し、土量算出や出来形チェックまで完了します。

これにより、測量の専門知識が少ない現場担当者でも、短時間で精度の高いデータを活用できるようになり、施工計画や進捗管理を効率的に行うことが可能となっています。そして、自治体発注の現場でも導入が進み、信頼性の高いサービスとして幅広く活用されています。

ドローン測量の企業による導入事例

ドローン測量は、建設・土木・インフラ点検などの分野で、効率性や安全性を大きく向上させる技術として注目されています。以下に、導入事例をいくつかご紹介します。

建設・土木現場での企業による導入事例

清水建設による大規模交差点改良工事

清水建設は、大規模交差点の改良工事でドローンによる定点観測を導入しました。空から現場全体を撮影することで、施工の進み具合を俯瞰で把握でき、現場に人が常駐しなくても進捗管理が可能になりました。

この取り組みにより、作業員の安全性が向上するとともに、撮影した空撮写真をそのまま資料として活用できるため、発注者への進捗報告もスムーズになっています。

鹿島建設の3Dレーザースキャナ搭載ドローン

鹿島建設は、ドローンに3Dレーザースキャナを搭載し、基準点を設置せずに短時間で高精度な測量を行う取り組みを実施しています。これにより、従来よりもスピーディーに現場データを取得できるようになりました。

特に大分川ダムの測量では、ドローンで取得した高密度データを活用し、樹木がある場所や複雑な地形でも正確に地表面を計測することが可能となりました。これにより、設計や施工計画に必要な情報を迅速に集めることが可能です。

ドローン測量の将来展望

ドローン測量は、今後さらに進化し、建設現場での活用範囲が広がると考えられています。すでに効率化や安全性向上に貢献している技術を、より高性能・高精度に進化させる方向が期待されています。

まず、自動飛行・自動処理の進化です。将来的には、測量範囲を設定するだけで、ドローンが自動で飛行・撮影・解析まで完了する「ワンストップ測量」が一般化すると予想されています。これにより、現場担当者の操作負担が減り、より多くの現場を短時間でカバーできるようになります。

次に、リアルタイム測量BIM/CIMとの統合の進化です。取得したデータを即時に解析し3Dモデルとして確認できることで、土工事や道路工事の現場では施工の進み具合や誤差をその場で把握でき、作業のやり直しや計画修正が迅速に行えます。

また、設計データとの照合がリアルタイムで可能になることで、設計段階と施工段階の情報ギャップを減らし、効率的で精度の高い施工管理が実現します。

さらに、維持管理・点検への活用も広がっています。橋梁やトンネル、ダムなどのインフラ点検にドローンを活用することで、安全性を確保しながら効率的に調査が可能です。


こうしたドローンの進化は、建設現場の「無人施工化」 への流れともつながっています。無人施工について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になります。

[無人施工化の最新動向と事例はこちら]
無人化施工とは?これからの建設業界を支える技術をご紹介します!

まとめ

ドローン測量は、今後ますます建設業界の標準技術になっていくと考えられます。測量・設計・施工管理など、どの職種でも基礎知識を持っていることは大きな武器になります。

就職活動の場面では、ドローン測量や最新技術に関する理解を示すことで、企業に「新しい技術に柔軟に取り組める人材」としてアピールできます。

ドローン測量は、効率化・安全性・精度向上を支える革新的技術であり、LiDARやAI・クラウド解析などと組み合わせることで、活用の幅はさらに広がっています。

将来的には、BIM/CIMとの連携や橋梁・ダムなどのインフラ点検への応用も期待されており、建設業界での価値を高める知識として、学生のキャリア形成にも役立つ分野分野なので、気になる方はぜひ業界研究の一環として詳しく調べてみましょう。

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