快適なまちづくりに貢献する 「再開発プランナー」の資格とは?
成熟社会と言われる日本において、すでに都市化している市街地を、より心地よく過ごせるように再整備していく活動が求められています。
上記の活動を実現するには専門的な知識と豊富な実務経験が必要になります。そこで活躍するのが「再開発プランナー」です。
今回は都市再開発において欠かせない、再開発プランナーの仕事内容や魅力についてご紹介していきます。これを機に理解を深めて、資格取得の選択肢として検討してみて下さい!
この記事の目次
市街地再開発事業とは何か?
再開発プランナーのご紹介の前に、「市街地再開発事業」とはどのような事業かご紹介します。
市街地再開発事業とは、特定の市街地を対象に、道路や公園などの公共施設の新設および再整備を行う事業です。他にも老朽化の進んだビルの改修や防災に効果的なマンション建替え事業も行います。
例えば、木造の建物が密集している地域では、大規模な火災が起こる危険性が常にあるため、防火および耐火性能を持つ建物に建て替えたり、公園の整備や道路の幅員を広げたりする必要があります。
上記の事業を通じて、より快適で安全に過ごせるような街づくりをしていく仕事です。
再開発プランナーについて
役割
再開発プランナーは「一般社団法人再開発コーディネーター協会」が認定している民間資格で、日本で唯一の再開発専門技術者の資格とされています。
日本の都市の国際競争力や防災性などを上げるために行われる都市再開発事業において、社会的課題(財政、環境、人口減少、高齢化など)を考慮しつつ、法律(都市計画法、建築基準法、借地借家法など)的な知識を動員しながら、円滑な事業の進行を担う資格です。
こちらの項目では、再開発プランナーが手がける仕事の内容や取得するメリットについてご説明します。
仕事内容
再開発プランナーが担う仕事は以下が挙げられます。
事業計画(資金計画)
再開発プランナーは、再開発事業の全体を見ながら、事業を円滑に進める役割を担いますが、その際、事業の収支の整合性を担保することも重要な役割です。例えば、再開発事業にかかるコスト(設計、施工など)を鑑みて、資金調達の方法や金額を決めていきます。後述する権利変換も絡んでくるため、複雑です。
資金調達の方法のなかには、事業後の建物の一部をデベロッパーへ売却するなどといったものがあります。
また、都市計画法や建築基準法、区分所有法、不動産鑑定評価基準など都市再開発に関する法律だけでなく、不動産に関する法律とも引き比べながら、事業を推進します。
実際に、都市計画法や建築基準法のなかで、一定の条件を満たした場合、容積率(建物の規模)が緩和され、より大きな建物を建てられる場合もあります。それにより、売却できる部分が増え、事業収支上良くなることもあります。
権利変換に関する手続き
こちらは、市街地再開発事業において、従前と従後の建物の価値を考慮しながら、権利者に対して、床を分配をしていく作業になります。
具体的には、建替える前の土地に保有していた権利や資産を新しいマンションに引き継ぎです。
建て替え前に保有していた資産総額と、事業後に得る資産が釣り合うように、住民などの各権利者に分配していきます。
その際には、当事者間での手続きや同意書などが必要となるので、これらの作業を円滑に進めるため、サポートします。
以上が再開発プランナーの主な仕事内容になります。
市街地再開発事業で必要な法律の知識と各書類を作成するスキルを兼ね備えているので、事業を進めていく上で欠かせない存在です。
取得するメリット
再開発プランナーの資格を取得後、所定の研修を終えることで「URCAマンション建替えアドバイザー」として登録することができます。
こちらの資格はマンション建替え事業に特化して、上記でご説明した権利交換などの業務をサポートする仕事になります。
さらに、再開発プランナーとしての業務経験が5年を経過すると「再開発コーディネーター」を取得することができます。
再開発コーディネーターは、市街地再開発事業において、建築士や不動産鑑定士などの専門家を統括して事業を進めます。要するに、再開発プランナーよりも高い視座で事業を俯瞰し、建築士などの各専門家をまとめながら、事業全体を推進していく役割を担うことができる資格です。
このように、再開発プランナーとして、再開発のノウハウを蓄積していく中で、再開発コーディネータのような、事業統括ができるようになることから、再開発におけるプロとして希少価値を高めることができます。
取得が望ましい職種(就職後)
これまでご紹介したように、再開発プランナーは、より安心して快適に過ごせるような街づくりに貢献します。
取得が望ましい職種としては、
・ゼネコンの都市開発部門
・デベロッパーの再開発部門
・再開発コンサルタント
・都市計画コンサルタント
など、再開発に関する実務を行う方は取得が望ましいでしょう。
試験情報について
再開発プランナーの試験は、年に1回開催され、受験資格は満20歳以上であればどなたでも受験できます。
そして資格を得るためには筆記試験に合格した後に、再開発事業などの実務を3年以上経験する必要があります。一般的には、ゼネコンの都市開発部門や大手デベロッパーなどで実務経験を積む方が多いです。
筆記試験の内容
筆記試験は4択問題の学科試験と、記述式問題を含む実技試験の2部構成です。
主に都市計画法や不動産関連の法律に関する問題が出題されます。
そのため、単なる知識量だけでなく、書いてまとめる文章力も求められる試験です。
合格率
2017年から2019年まで3年間の合格率を見ると
年度 合格率(%)
2017 29.2
2018 29.2
2019 28.6
平均すると約29%です。
対策方法
合格するための対策としては、過去問題集を読み解き、出題数の多い範囲を抑えておくといいでしょう。また再開発プランナーを対象とする資格講座などもあるので、こちらも活用して試験に備える方法もいいでしょう。
「一般社団法人再開発コーディネーター協会」のホームページでは合格者の方の体験談が記載されているので、是非参考にして下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
再開発プランナーとは、大規模である市街地再開発事業を円滑に進めるための資格であるとご紹介してきました。
途中でもお伝えしましたが、日本では老朽化により建て替えなどが必要な施設が増えています。さらに、地震の多い国であることからも、防火や防災効果の優れた街づくりが求められています。これらの課題を率先して解決できるのが、再開発プランナーの強みであり、需要な役割とされる理由でしょう。
再開発という大規模な事業に携わりたい方に望ましい資格のため、将来のキャリアを想像しながら、再開発プランナーの取得を検討してみてください!
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