デベロッパー業界は今後どう変わっていく? 各分野と業界全体の動向を掴み、デベロッパー業界の理解を深めよう!

2022年11月6日 更新

デベロッパー業界は就活生に人気のある業界の1つです。

仕事の規模が大きいことや、有名な建物、街づくりに関わり、貢献できるなど魅力的な面はたくさんありますが、業界を深掘りして各分野にスポットを当ててみると、企業ごとの違いや、これから力を入れている分野に気づくことができ、業界全体の理解も深まります。

今回はデベロッパー業界について分野ごとの現状、課題を踏まえたうえで、業界全体の今後の将来性、動向予測をご紹介します。

デベロッパー業界を目指す学生は、ぜひデベロッパー業界全体の理解を深め、今後の就活に役立ててみてください。

デベロッパー業界とは

デベロッパー業界を深掘りしていく前に、デベロッパー業界の仕事内容や魅力について知りたい方は、以下の記事でご紹介していますので、ご覧ください。

街づくりの中心である「デベロッパー」の魅力を種別にご紹介
デベロッパーの根本を担う「開発部門」の仕事内容とは?

デベロッパー業界の現状や課題を分野別に紹介

デベロッパー業界の中でも、特に総合デベロッパーは、マンションやオフィスビル、商業施設など、複数の分野の事業を行っています。

ここからはデベロッパー業界の現状や課題について、各分野ごとに紹介していきたいと思います。

自分の興味ある分野はもちろん、デベロッパー業界をより深く知るきっかけにもなるため、ぜひ各分野の特徴や、今後の課題など理解しましょう。

オフィスビル系

デベロッパー業界のイメージとしてオフィスビルを作り、街を発展させるというイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。

実際に大手デベロッパーは現在も各企業の得意な地域などでオフィスビルの建設を継続しています。

現在のオフィスビルの特徴としてあげられるのが、ビルの巨大化です。
大規模なオフィスビルも開業前にすでにテナントが埋まっているなど、オフィスビルの需要は現在でも高いことが伺えます。
実際東京のオフィスビル市場は好調なようで、今後も新しいオフィスビルが建設されていくと考えられています。

しかし、上記のような現状が新型コロナウイルスによって変化しています。
新型コロナウイルスが流行する前にもオフィスの供給過剰化は問題視されていましたが、交通の便が良い一等地に新しいオフィスを作り続けることで、テナントは埋めることはできていました。

このビジネスモデルがコロナの影響によって崩れる可能性があります。
要因としては、リモートワークを導入する企業の増加です。

そして3密の観点からも、1つのオフィスに集まるのではなく、分散させるのが効果的という見方もあります。

リモートワークが今後も定着していくようであれば、今までのような大きなオフィスの必要性は下がり、賃料の低下や空室の増加につながると予測されています。

しかし、現在の企業の傾向として、リモートワークに移行しオフィス規模を縮小している事実もありますが、本社機能は残す傾向はあります。

オフィスを構えるうえで、立地は重要な要素ですが、デベロッパーごとに注力するエリアが異なり、エリアごとに影響は異なるため、企業ごとに受ける影響も異なるでしょう。

オフィスビルは多くのデベロッパー企業のメイン事業でもあるため、今後の動向や流れをしっかりとチェックするようにしましょう。

商業系

商業施設の事業はデベロッパーにとってオフィスにつぐ重要な分野になります。

大型のショッピングモールは街の発展において大きな要素となり、社会や経済を支えるという面でも大きな役割を果たしています。
その商業施設に関しても、コロナの影響や暮らしの変化などによって今後のあり方を問われています。

まず商業施設にとって大きな影響を与えているのが、ECサイトの出現、増加です。
Eコマース、オンラインショッピングによって、商業施設に行かずに買い物ができるようになりました。
この状況に拍車をかけたのが、新型コロナウイルスになります。

コロナの影響によって、売り上げの前年比などが著しく下がり、商業施設の利用頻度が下がっています。
コロナの影響がいつまで続くのか、そして収束後に利用頻度が戻るのかなど不透明な部分が多いのが商業施設の現状です。

街づくりにあたって商業施設の果たす役割は大きいですが、今後は商業施設の役割をもう1度考え直す必要があるかもしれません。

住宅・マンション系

多くのデベロッパーがマンション・住宅事業を手掛けていますが、コロナによってマンション、住宅事業が受けた影響は、

・景気の鈍化に伴う販売不振や売り上げの減少の懸念
・内見〜契約までが基本的には対面で行われていたため、販売活動が円滑に進まない

といったことが挙げられています。

しかし、緊急事態宣言期間が最も影響を受けていた模様ですが、徐々に持ち直しているとの意見も多く見られます。
むしろ住宅市場は継続的に好調という見解も多くあります。この点については単なる景気の良し悪しだけではなく、金利によっても左右されるため、一概には言えませんがポジティブな見解が多いことは事実です。

また、住み手側の変化としては、コロナ禍を踏まえ、リモートワークの比重が高まっており、住空間に働くという機能が必要とされてきていることが挙げられます。つまり、住宅への新しい購入基準が出てきているとも言えるでしょう。

一方で、住宅は、人の生活の最も根本的な空間であり、需要がなくなることはありません。国内の人口減少や高齢化などの長期的な課題やコロナ禍の景気の影響はあるものの、住宅のあり方は多様化してきており、そこへの新しい提案を行うことで、伸びる可能性がある領域と言えるでしょう。

リゾート系

コロナの影響によって、新たな役割を担う可能性があるのはリゾート系も同様です。

現在デベロッパーやリゾート施設を運営するホテルが注目しているのは、リゾート地で仕事をするワーケーションの普及への取り組みです。

ワーケーションとは、仕事という意味のワーク(work)と休暇という意味のバケーション(vacation)を掛け合わせた造語で、観光地やリゾートホテルなどでテレワークを行う勤務形態を指します。

コロナウイルスの影響を受けたホテルやリゾート事業において、コロナ禍に対応した新しい利用を提供する事業モデルであり、デベロッパー各社がこの事業モデルをもとに新しいサービスを展開し始めています。

コロナの影響によって、リゾート地を訪れる人は減少しましたが、リモートで仕事をする人は増加傾向にあります。
在宅勤務と同様に、社員の勤務状況を把握しきれないという問題点など、普及に向けても課題はありますが、今後働き方の選択肢としてリゾート地が注目をされる可能性があります。

物流系・社会インフラ系

デベロッパーの分野の中で新規需要が見込まれるのが、物流系の事業です。

オフィスやショッピングモール(商業系)などの建設が一巡したという見方がある中で、物流に関しては、ネット通販が今後も発展していくと予測されていることからも、大型倉庫など新規需要があると考えられています。

また、都心や駅近などが付加価値となるオフィスや商業施設とは異なり、都内近郊という比較的安い立地に土地を買い、倉庫はスピーディに建てられるため、収益性が高いという特徴もあります。

また、社会インフラ系に関しては、太陽光や風力発電などが注目されています。

こちらは地方自治体や電力会社との協働によって、用地取得や運営は行われますが、電力という必要不可欠なインフラは、収益が安定するため、今後も成長が期待される分野と言えるでしょう。

デベロッパー業界全体としての今後の動向

ここからは業界全体に目を向けて、デベロッパーの今後の動向をご紹介します。

企業の選考を受けるにあたって、業界全体の課題、今後の動向を理解することも重要になるため、ぜひ前項の項目との関連を意識をしながら読んでみてください。

業界全体としての課題

現在デベロッパー業界が抱えている大きな問題としてあげられるのが、日本全体の人口・世帯数の減少、そして高齢化です。

人口、世帯数の減少は住宅需要の減少に繋がり、高齢化による生産年齢人口の減少は、長期的に見てオフィス市場の縮小に繋がると考えられています。

時代、時代に合わせて事業を変化させてきた背景のあるデベロッパー業界は、今後はこの問題を考慮したうえで、事業環境を変化させて、競争力を強化していくことになるでしょう。

今後の事業方針

今後の新たな需要として期待されているのが、高齢者向けの住まいです。
デベロッパーのこれまでの複合開発・街づくりの知識は、高齢者向け住宅を核とした、持続可能な街づくりへと活かすことが期待されています。高齢化が進むことで、ニーズが増えることに加えて、これからの高齢化した社会や家族のあり方などに新しく提案していくことが可能な事業領域とも言えます。

もう1つは現在のエリアの価値の向上です。
こちらは主に大手のデベロッパーに該当しますが、大手のデベロッパーは現在も需要がある一等地の良い物件を保有している場合が多く、今後もテナントや消費者のニーズに合った再開発や商業施設のリニューアルを行なっていくことで、エリア価値の向上が期待できます。

またハード面だけではなく、イベントやマルシェといったソフトのマネジメント(エリアマネジメント)を行うことで、地域の付加価値を向上させ、住みたい、働きたいと思えるような街をつくることが重要とされています。

海外進出

現在、そして今後もデベロッパーが力を入れていくと考えられているのが海外進出です。

2010年以降の海外進出以降、海外でも実際に成功している例が増えてきた背景もあり、近年はデベロッパーの海外進出は加速度的に増加しています。

海外の中でも東南アジアは今後も発展が期待できる国が多く、物件を建てる土地と物件の需要がとても高いのが特徴です。

現在アジアの諸都市では、オフィスビル、住宅といった個別物件の開発が先行しているため、今後は大手デベロッパーが得意とする複合的な再開発・街づくりのノウハウが活かす機会が十分にあると考えられています。

学生が意識するべきこととは

ここまでデベロッパー業界の現状や、これからの動向についてご紹介しましたが、デベロッパーの選考を受ける際には、どのような視点を持って取り組めば良いのでしょうか。

ここからは、選考に向けて意識するべき視点をご紹介します。

注力する分野やエリアや分野を見極める

今回の記事で紹介したように、デベロッパー業界の中でもいくつかの分野があり、企業によって力を入れている分野が異なります。

また同じ分野の中でも日本のどこのエリアを開発していくかによっても仕事内容も変わっていきます。

デベロッパー企業を調べるときは、それぞれの企業が得意とする分野やエリア、これから力を入れていく分野をしっかりと調べ、業界全体の課題や海外進出などの違いも明確にしておきましょう。

そのうえで、自分はどのような分野の開発に興味があるのか、どのエリアの開発に携わりたいのかを考えることによって、自分にあった企業を見つけやすくなります。

できれば、面接を受ける前に、その会社の代表的な物件やエリアを見ておき、よかった点とその理由を自分の言葉で言えるようにしておくと良いでしょう。

その際に着目するべきポイントは、人と空間の関係性です。どのような空間で人が何をしているのか、という視点を持っておくことで、デベロッパーとして働くための素養があることを示すことができます。

人と社風

続いては企業ごとの違いを抑えるためのポイントになりますが、ここで大事になるのが、各企業の人と社風です。

大手のデベロッパーなどは財閥から派生してきた企業も多いため、歴史も長く、企業の特徴が社風に反映されています。

企業研究や企業説明会では事業内容、仕事内容について調べることも大事ですが、その企業にはどのような人が働いていて、どのような考え方の人と相性がよいかなど、OBOG訪問やインターンシップの際に、把握しておくと良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

デベロッパー業界を目指すに当たって、業界全体を見る視点と、部分的な視点で理解することが大切です。

今回の記事では、部分的な視点は、デベロッパーの各分野の現状や今後の課題を理解することになり、広い視点は業界全体としての課題や今後の動向の理解になります。

デベロッパーは学生からの人気が高い業界の1つなので、業界をより深く知るためにも今回ご紹介した方法で業界研究を進め、就活に臨んでみてください!  

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