ハウスメーカー業界の現状と今後の動向とは?コロナやIT技術を踏まえたハウスメーカーのあり方を考えよう

2024年9月14日 更新

皆さんは近年、住宅業界に起こっている変化をご存知でしょうか。

CMで見かける企業も多く、人生の中でも大きな買い物である住宅を提供するハウスメーカーは、学生からも人気の業界の1つです。しかし、少子化問題や技術の発展などに伴い、人々が住宅に求めることや、ハウスメーカーが提供する住宅にも変化が現れ、新型コロナウイルスの影響でその傾向はより強まっています。

このような状況の中で、ハウスメーカーを志望している学生はどのようなことを心がけながら就活をするべきなのでしょうか。

今回は現在ハウスメーカーが抱える課題やコロナの影響によっての変化、そして今後の動向などを踏まえたうえで、就活生が持つべき視点を紹介していきます。

ハウスメーカー業界とは

ハウスメーカーの将来性などを考える前に、ハウスメーカー業界の基本的な知識をつけておきましょう。以下の記事で、ハウスメーカー業界にまつわる職種や業界全体についてご紹介していますので、ご覧ください。

理想的な住宅を提供する「ハウスメーカー」ってどんな業界?
人々の人生に寄り添うハウスメーカーの「設計職」とは?
私たちの暮らしを支える 「ハウスメーカーの営業職」の仕事内容と魅力とは?

ハウスメーカーの課題と現状

国内の市場規模

現在の住宅業界の国内の市場規模は長い間減少傾向にあります。

経済の低迷なども原因の1つですが、国内市場の縮小の1番の原因は少子化です。
そして今後も日本の人口、総世帯数は減少することが予想されています。

また戸建住宅は主に家族向けの需要が大きい中で、単身世帯などの少人数世帯が増加していることも原因の1つです。
それを踏まえて、海外進出を進めてきた企業もあります。

少子高齢化問題

ハウスメーカーの今後の課題として少子高齢化問題は避けられません。
新築需要減少への取り組みだけではなく、高齢者に向けての医療や介護をどう住宅と結びつけていくかという課題があります。

新築住宅以外のビジネスモデルの創出

日本の住宅取引量に占める既存住宅の割合は海外と比べても低く、日本人は新築の住宅を好む傾向にあります。
そのため住宅が建てられてから、壊されるまでの平均年数も諸外国に比べ短くなっています。

今後は現在の新築需要依存から脱却し、新たな形のビジネスモデルを作り上げることが各企業の課題となるでしょう。

新たな技術への対応

現在様々な業界でIT・ICT化が進められていますが、住宅に関してもIT技術をどのように応用し、より住みやすい住まいを作っていくかを考える必要があります。

ハウスメーカーと新型コロナウイルスの関連

コロナが住宅業界に与えた影響

コロナショックという言葉が存在するように、コロナの影響によって多くの業界が影響を受けていますが、ハウスメーカーも例外ではありません。

住宅設備を構成する部品の中で、海外で生産していた部品の生産、供給がコロナの影響で遅れてしまい、契約の期日までに竣工・引き渡しができない状況が起こりました。

その結果工事代金を回収することが難しくなるといった影響がありました。

住宅は、多くの部材や設備を組み合わせて建ており、サプライチェーンが広いことからも、コロナによる世界的な影響の煽りを受けた事例も見られるようです。

コロナ禍で戸建て販売はV字回復している?

コロナによる経済の落ち込みが続いている中で、住宅市場は回復の傾向を見せているようです。

アパートやマンションから一戸建てへと住み替える人が増えているようですが、背景としては子供を持つ20代、30代の家族の戸建への需要が増えたことが要因としてあります。

コロナによって個人消費は落ち込んでいますが、在宅勤務の増加により家での過ごし方が変化し、住み心地の良い戸建て住宅を求める人が増えたため、ハウスメーカーにとっては新たな好機と捉える見方もあります。

コロナの中での各企業の取り組み

先述のように、コロナは住宅業界にとって、一戸建の購入を考えるきっかけにもなっています。

緊急事態宣言が出されていた時期には閉鎖されていた、住宅展示場やモデルルームも回復の兆しを見せていますが、今後ハウスメーカーはwithコロナ、afterコロナに合わせた戦略を見つけていかなければなりません。

現在行われている取り組みでは、オンラインでの住宅の内覧や相談会を行なっている例や、バーチャル展示やモデルハウスが3Dの動画や画像で見ることができるようになるなど、実際に住宅に足を運ぶことなく、家全体を把握し、その場にいるかのような体験をできるようになっています。

withコロナ、afterコロナの取り組みは企業によって異なるため、各企業の取り組みを知ることによって、企業の特徴を掴むことにも繋がります。

ハウスメーカーの今後の動向

では現在の現状や課題、コロナの影響を踏まえながら、ハウスメーカー業界としての今後の展望を紹介していきます。

スマートハウスやスマートホームの発展が加速

住宅とIT・ICT技術を掛け合わせ、今後の発展が期待されているのが、スマートハウスやスマートホームになります。

スマートハウスとスマートホームはどちらも住宅にIT技術を掛け合わせたもですが、正確な定義は、

スマートハウス:
IT技術を使ってエネルギーを効率的に使い、省エネルギーを実現させる住宅

スマートホーム:
AIやIoTを活用し、安全性や利便性を高め、効率的で快適なライフスタイルの実現を目指す住宅

になります。

前者は、エネルギーの観点からの効率、つまり経済性を重視した住宅のあり方を指すのに対して、後者は、安全性や利便性も含めたより広義のライフスタイル全体の質の向上を掲げています。

特にスマートホームに関しては、人々の需要にマッチしたサービスが出ておらず、一般的な普及にはしばらく時間がかかるかもしれませんが、スマートスピーカーが普及していることなどから、徐々に実現に向けた基盤が整えられており、各企業が今後力を入れていく分野として期待されています。

一方で、初期費用の高さや、個人情報に関するプライバシーやセキュリティの問題など、解決すべき課題が多いのも事実です。しかし、生活の質を高めるうえで効果が高いため、スマートハウス、スマートホームは今後の住宅業界にとってのトレンドとなりそうです。

中古物件とリノベーション市場の拡大

ハウスメーカーの課題にもあったように、日本は新築需要がとても高いという特徴があります。

しかし長期的な視点では、空き家問題や人口減少、住宅ローンを避け、賃貸住宅で良しとする人が増加しているなどの背景から、新築住宅の需要は落ち込むとの見方もあります。

新たな新築需要を作り出すことも取り組みの1つですが、今後は建築した住宅をアフターフォローやメンテナンスなどによる管理で、住宅の寿命を延ばし、住み継ぐ、受け継ぐ住宅システムを作り出していくことが重要になります。

この中でハウスメーカーとして重要になるのはリフォームなどの中古市場へのアプローチです。

DIYが流行していますが、世間一般的の住まい手にとっては、自ら住宅を手入れするという意識は低いのが現状です。

高齢化が進む中で親との同居を考えたリフォームや、年齢や家族構成など顧客に合わせたベストな提案をできるかがポイントになります。

新規市場の開拓

その他の戦略としては、集合住宅や商業施設の開発や建設など、新しい市場に参入するという方法もあります。

実際にハウスメーカーによるゼネコンの買収やグループ化の例は過去にあり、企業を買収し、ゼネコン業界へ参入するという動きが加速するという予測もあります。

学生が就活で持つべき視点とは

ここまでハウスメーカーの現状や、これからについて紹介してきましたが、ハウスメーカーに興味がある、学生はどのような視点を持って就活に取り組めば良いのでしょうか。

今後の家のあり方・役割を改めて考える

これまで紹介してきたように、少子高齢化など日本が抱える問題や、IT技術の発展、コロナの影響などにより、人々が住宅に求めるものに変化しています。

人々が求めるニーズに対しての供給ができていないと、企業は競争力を無くし、価値を失ってしまいます。

今回の記事で紹介した例や、ニュースなどの情報から、住宅の定義や付加価値はどう変化していくのかを自分で考えみましょう。

また今後のハウスメーカー業界は、IT/IoT化がさらに進むことが予想されるため、設計だけでなく、どんな技術が実装されているのかを興味を持ち、日常的に考える訓練をしておくことが重要になります。

ひとりで考えることが難しい場合は、友人と知っていることを共有してみるのも良いでしょう。

各企業の戦略を調べ、将来性を見極める

ハウスメーカーを調べるうえで大切になる重要なポイントの2つ目は、各企業の今後の戦略を調べることです。

今回の記事でも紹介したように、業界が転換期を迎えている中で、今後の方針は企業ごとに異なります。

現在の企業の強みがどこにあり、今後はどの分野に力を入れていく予定なのかをリサーチしましょう。 これは、単に海外に進出していれば良いということではなく、組織規模や事業の拠点によって、地域密着や、国内全域~海外など領域を拡大していくのかという差別化戦略が異なります。

そのうえで、自分が考えた家の定義や、今後住宅が持つ役割の変化の考えと近い企業が自分と相性の良い企業となります。

企業選びの際はこのような考え方で、自分の考えと近い企業を探していきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

人々が住宅に求める役割や、住宅が人々に提供するものは今後も変化していく可能性がありますが、住宅の購入が人生の中でも大きな決断であることは変わりません。

人生の中でも大きな選択に携わることができるとてもやりがいのある業界だからこそ、時代の流れとともに住宅の役割を考えながら仕事をすることが大切になり、学生の段階からこのような視点を持っていると、就活だけでなく社会人になってからも役立ちます。

自分と同じ考えを持っている企業で、仕事にやりがいを持ちながら働くためにも、今回の記事でご紹介したことを参考に就活を進めてみましょう!

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