建築設備のプロのアドバイザーである「建築設備士」とは?

2021年12月29日 更新

今回は「建築設備士」という国家資格についてご紹介します。

そもそも建築設備とは、建物の空調設備や給排水の設備などのことで、
「建築設備士」は、これらの知識を豊富に持っていることを表す資格になります。

設備設計では、建築設備の機械の配置やそれらをつなぐ配管のつなぎ方などを図面に書きおこします。建築物の用途によって必要な機械の種類や数が変わってくるので、それぞれに合った設備設計をしていく必要があります。

では「建築設備士」は具体的にどういうものなのか、見ていきましょう。

建築設備士とは?

「建築設備士」とは、建築設備の設計、工事監理に関する適切なアドバイスができることを表す資格の一つです。

建築士が建物を設計する際に、基本的には必要に応じて、建築設備士に対して、設備に関する助言を求めることができます。

また、建築士が、延べ面積が2000㎡を超える建築物の建築設備を設計及び工事監理する際、建築設備士に意見を聴くよう努めなければいけない、ということが建築士法で定められています。

例えばオフィスビルなどは、様々な用途で使用されていたり飲食店が併設されていたりするため、建築設備が複雑化・高度化しやすい傾向にあります。
こういった建築物を、新築することはもちろん改修することも多く、建築設備士の需要は高まっていると言われています。

資格について

資格試験の内容

続いて資格試験についてご紹介します。

建築設備士の資格は、年に一度、6月頃に行われる一次の筆記試験と、8月頃に行われる二次の設計製図試験に合格することで取得できます。

一次試験に合格したが二次試験が不合格だった場合、次の年の一次試験は免除になります。

また、令和2年から試験が変わりました。
建築一般知識と建築法規に関する問題数、配当時間が少なくなり、建築設備に関する問題数、配当時間が多くなっています。より建築設備に重きが置かれた内容になりました。

受験資格

受験資格については細かく定められています。

4年制の大学や専門学校で建築、機械、又は電気について学んだ場合は卒業後2年以上の実務経験が必要であり、短期大学や2年制の専門学校で建築、機械、又は電気について学だ場合は卒業後4年以上の実務経験が必要です。

詳しくは「建築技術教育普及センター」のHPを確認してみてください。

合格率

建築設備士の試験の近年の合格率は以下のようになっています。

令和元年一次試験 26.8%  二次試験 54.3%  総合 19.1%
平成30年一次試験 31.2%  二次試験 52.0%  総合 19.4%

一級建築士の試験よりは難易度は低いと言われていますが、建築設備のエキスパートとも呼ばれる建築設備士の試験は、決して簡単なものではないと言えます。

取得のメリット

次に、建築設備士の資格を取得することで得られるメリットを紹介します。

まず、一級・二級・木造建築士の受験資格が得られるということがメリットとして挙げられます。
基本的に建築を学んでいる学生さんは、卒業と同時に一級建築士の受験資格を得ることができますが、土木を学んでいる方については学校や学科によっては、一級建築士の受験資格を得るために、最短11年の実務経験が必要になります。

建築設備士の試験内容は一級建築士の試験内容に通ずるものがあるため、建築学科以外から一級建築士を目指すための近道の一つにもなります。

また、建築設備士がアドバイスを行った建築物は、より品質の高い建物として認識されます。最近の建築物は高度化、複雑化しているので、そこに対して信頼を得られるという点からも、建築設備士の需要は高く、この資格を持つことで、自身のキャリアアップにもつながるといえるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は建築設備士について紹介してきました。

実際には、「建築設備士」が関わらずとも建築物を造ることは可能です。
しかし、建築物の安全性や機能性への関心が高い今、日々進化し続けている建築設備のプロである「建築設備士」は、需要の高い資格といえるでしょう。

建築業界では、入社後に担当する業務内容に沿った資格の取得を求められる場合が多くあります。
そのため、自分が興味のある分野にどのような資格があるのかを知り、入社後のキャリアステップなどを想定しながら、就活に臨むと良いでしょう!

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