土木工事における代表的な資格「土木施工管理技士」とは?

2021年12月29日 更新

建設業界では職種によってさまざまな資格が必要となります。そのなかでも多くの建設業従事者にとって重要な資格が施工管理技士という国家資格です。

今回は施工管理技士の資格のなかでも、土木工事を行う際に必要になる土木施工管理技士の資格について資格の説明などを中心にご紹介していきたいと思います。

土木工事とは

そもそも土木工事は建設業界のなかでどのような分野のことを指すのでしょうか?

土木工事は道路工事や海岸工事、ダム工事、トンネル工事、水道工事など、建物をのぞいた建設工事全般を指します。土木工事で関わるものは公共工事で日本のインフラを支えるという点において私たちの生活の基盤を支えてくれています。

また、災害復旧や防災対策に関連する施工も行うなど社会貢献性が高いことも魅力の1つです。

土木施工管理技士について

施工管理の仕事とは

今回紹介する土木施工管理技士という資格は土木工事の施工管理という仕事で必要な資格です。では、この施工管理とはどのような仕事なのでしょうか?

施工管理での仕事内容は大きく分けて現場での「安全管理」、「工程管理」、「品質管理」、「コスト管理」です。

現場で全体を見渡しながら工事を安全にそして計画通り進めていくことが、施工管理には要求されます。

なぜ土木施工管理技士の資格が必要か

土木工事に携わるためには、必ずしも土木施工管理技士の資格が必要になるわけではありません。

しかし、土木工事には「主任技術者」や「監理技術者」という施工管理を行う技術者を配置することが法律で義務付けられています。

主任技術者は、工事における安全、工程、品質、環境など、工事全体を管理する役割です。

監理技術者は、主任技術者の役割に加え、下請け業者の指導監督を行うという役割があります。

下請けに発注する工事費用の総額が4,000万円を超える場合は、監理技術者を配置する必要があるので、「監理技術者」の方がより規模の大きい工事に関わることができます。

そして、その役割を務めるためには土木施工管理技士の資格が必要になります。

施工管理において土木施工管理技士は基本的な資格になります。そのためゼネコンやサブコンで土木関係の仕事を希望している方は、土木施工管理技士の資格は入社後に取得することが前提と考えておきましょう。

また、土木工事において重要な役割の仕事をしたい人や、将来のキャリアアップのためにも土木施工管理技士の資格の取得は企業で働くうえでも推奨されるでしょう。

土木施工管理技士の資格について

土木施工管理技士には1級と2級の2種類の資格があります。それぞれどのような点が違うのか詳しく説明していきます。

土木施工管理技士1級

土木施工管理技士1級を取得すると全ての土木工事で「監理技術者」と「主任技術者」の両方の役割をこなせます。

試験形式

試験は年1回、、札幌から那覇まで全国13地区の試験会場で実施されています。

学科試験と実地試験の2部構成で、学科試験はマークシート、実地試験では記述式の回答形式になっています。

受験資格

1級の受験資格については
学科試験では大学、専門学校の「高度専門士」で指定学科を卒業した場合は3年以上、指定学科以外を卒業した場合は4年6か月以上の実務経験が必要になります。

また、短期大学、高等専門学校、専門学校の「専門士」で指定学科を卒業した場合は5年以上、指定学科以外を卒業した場合は7年6ヶ月以上の実務経験が必要になります。

上記の学校を卒業していない場合でも実務年数は長くなりますが、一定の期間の実務経験を経る事で受験資格を得ることができます。

特に1級の学科の受験資格は2級との関係もあり詳細に設定されています。

実地試験については1級の学科試験を合格することで受験資格を得ることができます。しかし、前年度の学科試験の合格者は学科試験を受けることなく実地試験を受けることができるなど、学科試験を免除できる場合もあります。

土木施工管理技士2級

土木施工管理技士2級では土木、鋼構造物塗装、薬液注入の3つに資格形態が異なり、それぞれの工種で「主任技術者」になることができますが、「監理技術者」を名乗ることはできません。

試験形式

試験は1年に前期と後期の2回実施されます。こちらも学科試験はマークシート、実地試験では記述式の回答形式になっています。

前期は全国で10地区、後期は19地区と試験地が異なり、また後期試験は受ける資格の種類によって受験地は異なります。

受験資格

2級の受験資格については
学科試験では、土木施工管理技士2級では大学、専門学校の「高度専門士」で指定学科を卒業した場合は1年以上、指定学科以外を卒業した場合は1年6か月以上の実務経験が必要になります。

また、短期大学、高等専門学校、専門学校の「専門士」で指定学科を卒業した場合は2年以上、指定学科以外を卒業した場合は3年以上の実務経験が必要になります。

上記の学校を卒業していない場合でも実務年数は長くなりますが、一定の期間の実務経験を経る事で受験資格を得ることができます。

また、満17歳以上の方であれば、学科試験のみ受験することができます。

実地試験については2級の学科試験を合格することで受験資格を得ることができます。しかし、前年度の学科試験の合格者は学科試験を受けることなく実地試験を受けることができるなど学科試験を免除できる場合があり、2級の場合は学科試験免除者がより詳細に設定されています。

土木施工管理技士の合格率

資格を受けるうえで試験の難易度、合格率は重要な指標になります。

土木施工管理技士の試験は学科、実地試験どちらも60%の正答率が合格のラインとされています。

合格率は年度によって変動はありますが、近年では土木施工管理技士の1級、2級共に学科試験では50%から60%。実地試験では平均して30%なので、全体の受験者のなかで2割程が実地試験まで合格しています。

土木施工管理技士は国家試験のため、難しいというイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、過去問の本や参考書、動画教材なども豊富にあるので、しっかりと計画を立てることができれば対策のしやすい試験と言えるでしょう。

まとめ

土木施工管理技士は全ての土木工事で必要とされるため今後も建設業界では一定の需要があるでしょう。

また、 土木施工管理技士の資格を取得すると、浚渫(しゅんせつ)や石工事、とび土工の現場でも監理技術者として業務が可能になるため、海洋土木事業を行うマリコンなどの企業で働くうえでも重要な資格です。

土木施工管理技士の資格は実務経験が必要になるので、学生の方の多くは入社後に取得することになると思います。

しかし、資格を取得することを前提とし、資格サポートや補助の制度が整っている企業など、自分のキャリアアップがしやすいのはどの企業かという視点で就活をするとまた違う企業の見方ができるかもしれません。

学生の皆さんはぜひ、入社後の自分の進みたいキャリアなどをイメージしながら就活を進めていきましょう!

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