高速道路の整備だけじゃない 高速道路業界における「土木職」の仕事とは?

2021年12月29日 更新

高速道路は人や物の移動時間を短縮し、さらにIC(インターチェンジ)の周辺地域の活性化にも貢献するなど、経済発展をするうえで大きな役割を担っています。

日本全国に広がる高速道路ですが、私たちが24時間365日利用できるように、裏では多くの方の仕事によって、高速道路の安全、そして安心が保たれています。

今回は高速道路や首都高を管理、運営する企業の土木職ではどのような仕事を行っているのか。

また環境保全の点でも重要で、土木の知識も必要である造園系の職種ではどのような仕事を行うのかを中心にご紹介していきたいと思います。

高速道路業界について

まずは、高速道路業界について簡単にご紹介します。

この業界はNEXCOの3社(東日本、中日本、西日本)と首都高、阪神高速、東京湾横断道路で構成されており、高速道路の管理や運営を行う企業群です。

高速道路業界の企業には、事務職などに加え、建築や土木、造園といった技術職もあります。建築職はサービスエリアなどの建築の設計や改修など、土木職は道路の整備・保守・点検、造園職は休憩施設内の樹木や園地工作物の設計や管理などを担います。

高速道路系企業での土木職の役割

高速道路系の企業では技術職から事務職まで、高速道路が社会インフラとして重要な役目を果たすために多くの職種が存在し、それぞれ役割があります。

その中で、土木職の役割は大きく分けて以下の3つです。

道路を整備する

現在も日本全国に高速道路は広がっていますが、さらなるネットワークの広がり、そして快適な移動を実現するため、新たな高速道路の建設も進められています。

高速道路を整備するには、

・国土交通大臣からの事業許可など、いくつかの許可の取得
・地方自治体や沿線地域に暮らす方々に、事業概要、今後の予定を説明、高速道
 路の建設の協力の要請
・土質・水文調査や測量
・道路・橋梁・トンネルなどを設計し、地域の方々との設計内容や高速道路の基
 本構造についての話し合い
・道路建設に必要な土地を譲ってもらう、用地の取得の交渉、契約
・工事の発注、土木工事、施設工事
・国などの関係機関の検査
・検査の合格後、高速道路として開通

と、計画から新たな高速道路が利用されるまでに多くのステップが存在します。

道路を守る

整備された高速道路は、その後何十年にも渡って利用されます。

近年では老朽化が進んでいる高速道路も多く、安心、安全な走行環境を維持するためにはその後の管理、保守作業は欠かせません。

高速道路の他に橋梁やトンネル、照明、なども点検や調査を行い必要であれば補修工事、リニューアル工事を施します。

また、渋滞や事故防止のための交通調査を行い、解決のため様々な設備を導入や必要に応じた対策を講じるのも高速道路の管理では重要です。

技術開発・環境保全

高速道路の安全性、快適性を上げるため、老朽化や損傷への対応などのさまざまな技術開発も行われています。

さらに、安全性だけではなく、環境に配慮した取り組みも進められています。

遮音壁の設置やクリーンエネルギーの採用だけでなく、円滑な交通によって自動車の排出ガスを抑えるなど、さまざまな点から環境への取り組みを推進しています。

土木部門の仕事内容

ここからは高速道路での土木部門の仕事内容を具体的にご説明していきます。

調査、設計

道路構造物の現状を把握しながら劣化が進んでいる構造物に対し、損傷の対策方法や耐震補強方針など、効率的な補修計画の立案や設計を行います。

点検業務

構造物や設備の老朽化に備え、定期的に点検を行います。

点検は高速道路だけではなく、橋梁(きょうりょう)、トンネル、切土や盛土のり面など多くが対象になります。

対象物の近くに寄って肉眼で確認する近接目視を基本とし、触診や打音、また非破壊検査も併用するなど、さまざまな方法を用いて実施します。

施工管理、プロジェクト管理

施工管理、プロジェクト管理では、主に工事を安全・円滑に進めるための各関係機関との協議、工程管理、予算管理など、プロジェクトの全体を把握し、マネジメントをする業務になります。

高速道路上の工事は、安全かつお客さまへの影響を最小限にするよう工事規制の日数を極力減らした規制計画を立てます。

既存の交通量は大きく変わらないため、工事を進めながら、交通をなるべく円滑に行うことが求められます。

また、地域の方々との話し合いや、工事会社との打ち合わせなど、人と関わる業務が多いのが特徴です。

交通マネジメント、調査

交通に関わる業務も土木部門の仕事の1つです。

交通調査では、過去から現在、そして将来の首都高速道路の交通量・利用状況に関する調査・推計・分析等の業務を行い、渋滞対策や逆走防止対策を立てます。

また、標識案内の改善、工事に伴う渋滞影響予測や対策の検討、歩行者立入・逆走の対策検討、沿道の環境調査、交通管制システム機能の改善検討、改築など、交通環境の改善のためのさまざまな業務があります。

その他の業務

上記で紹介した仕事以外にも、

・災害発生時における社員の行動などを細かく定めた各種要領の策定や改訂
・毎年行われる防災訓練や研修の企画・運営を行う危機管理
・地域の方々との交流イベントの企画や運営
・新しい技術を取り入れ環境保全や企業全体で取り組む環境施策の推進
・企業の今後を考え経営企画や事業戦略立案

上記のように直接工事に関わることはないけれど、高速道路を安全に運営するうえで欠かせない仕事が土木部門の仕事には多くあります。

土木部門の1つである造園職の仕事とは

主に自然環境保全の役割を担う造園職ですが、環境保全は土木の観点からも重要であるため、土木職と造園職は同じ土木系職種として採用されることが多くあります。

造園部門では

・休憩施設内の樹木や園地工作物などの植物をはじめ、遊具や造園工作物の定期
 的な点検、診断業務
・周辺環境や環境保全を考慮した緑地空間の造園設計業務
・植付けや移植などの造園工事の施工管理業務

の3つが主な仕事内容になります。

造園部門の仕事は自然環境と高速道路の共生を実現させるためにも重要な仕事になります。

土木部門に就職するためには

高速道路に関連する企業では基本的には総合職の土木系として募集されます。

募集要項として土木や建設、社会基盤、環境、造園など理系の学部、学科を指定がある企業や文系の学生でも技術系に応募できる企業があります。

気になる企業は一度募集要項を確認してみましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

国内の移動、輸送においては高速道路の存在は欠かせず、災害時にも大きな役割を果たします。

普段、車を運転しているときに道路の存在を気にすることはないかもしれませんが、土木職だけでも多くの仕事があり、高速道路を安全に利用できるよう日々の業務に取り組んでいます。

また、環境保全や安全面からも技術を積極的に研究、活用しているので土木や建設に関する最新の技術に触れる機会が多いのも魅力の1つです。

高速道路業界の他にも土木や造園の知識を活かせる仕事は多くあります。

今後社会に出た後に、現在学んでいることをどのように活かしたいのかを考えながら就職活動を進めていきましょう!

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